映演労連 '06 春夏闘方針

2006年2月6日 映演労連第1回中央委員会

憲法を守り抜く春闘!
要求を本気で勝ち取る春闘を!

はじめに

 自民党から「新憲法草案」が出され、今国会には国民投票法案が提出されようとしている今、06春闘ではなによりも憲法改悪に反対して「憲法を守りぬく春闘」を展開しなければならない。

 また06春闘は、久しぶりに賃上げムードの春闘になりそうである。闘い如何によっては、要求が勝ち取れる状況が広がっている。しかしそれも、私たちのやる気次第だ。本気で要求を勝ち取る春闘を展開しよう!

I. '06春夏闘をめぐる情勢

1. 政治・経済の情勢

 ミニ・バブルとも称される、日経平均株価の連日の更新に株式市場が沸く中、1月20日第164回通常国会が始まった。任期満了を迎える小泉は相変わらずの自画自賛演説をぶったが、昨年末より構造改革の弊害と指摘される事件が噴出し始めた。

 一つはヒューザーを核とした耐震強度偽装事件であり、被害者だけでなくゼネコン、不動産関係者を震撼させた。そして、この事件では自民党の代議士の事件への関与が疑われている。

 そして、年明けには小泉構造改革の申し子とも云える存在である堀江社長のライブドアに証券取引法違反等で強制捜査が入り、堀江社長も逮捕された。個人株主の売りが殺到し、東証の全株式の取引停止という事態を招いた。

 そして、時を同じくし、米国産牛肉の輸入再開を政府が「安全」を担保に強行したところ、危険部位が混入されており、政府も再禁止を決断せざるを得ない状況に陥った。

 これらに共通することは、「小泉構造改革」「規制緩和」「官から民へ」の実態は社会を破綻させ、国民の生命を危険に曝し、一握りの者がその利権を喰らうものであることが明白化して来た。

 しかし、郵政民営化を「国民のお墨付き」で進めた小泉政権には、最早後戻りする気はなく、遂に今国会で9条改悪の突破口としての国民投票法案に着手する。また国の債務は本年度末には770兆円に達し、高齢少子化の時代に沿う税制改革を検討せざるを得ない状況である。

2. '06春闘をめぐる経済界、労働界の動き

*日本経団連

 日本経団連は13日、2006年版「経営労働政策委員会報告」(サブタイトル「経営者よ 正しく 強かれ」)を発表した。2005年の夏以降、景気は踊り場を脱し回復局面に入った」と景気回復を断言。他方、賃金決定の考え方については、「総額人件費の徹底」にむけ、賞与・一時金反映型重視や定期昇給制度、退職金・年金、継続雇用など制度見直しを打ち出している。また今年も引き続き、「横並びの『春闘』終焉」「春季の労使討議の場として『春討』へ」を標榜し、春闘解体攻撃を繰返している。

 しかし、部分的ながら業績向上の企業に労働条件改善を促すような矛盾する記述も見られるが、労働者・国民のくらしや雇用が、7年連続の年収ダウン、依然として高止まりの失業率、経済的理由による自殺者の急増、年金・医療・介護など社会保障負担の増大など「景気回復」を実感できるような状態には到底ないことを裏付けるものである。

 また同報告は、「地域経済回復のカギは地元の中小企業である」としながら、大工場海外移転、郊外大型店舗展開による商店街のシャッター化、下請けいじめを省みることはせず、加えて税制・財政、および年金・医療・介護の一体的改革を消費税率の引き上げを前提とするものと位置づけている。

 さらに労働分野における規制改革として、(1)雇用・就業形態に多様化に対応するインフラ整備(ハローワーク関連分野での市場化テスト導入や雇用保険三事業の見直し、派遣期間の延長)、(2)労働時間の規制改革(ホワイトカラーエグゼンプション制度の導入)、(3)労働契約法制(解雇の金銭解決など)、(4)最低賃金制度(産別最賃の廃止)などを打ち出し、06年通常国会での最低賃金法改正、07年通常国会での労働契約法制など労働法制の全面改悪と労働組合の弱体化を狙ってきている。

 同様に「規制改革」や「公務員制度改革」を声高に叫び『官から民へ』、『中央から地方』へめざす構造改革は引き続き推進することを強調している。

 「今後の経営者のあり方」の項では、企業の社会的責任のとりくみ強化を指摘している他、今回はじめて「メンタルヘルスの重要性」について項をおこして記述しているが、これも、大規模な労働災害や続発する不祥事などモラルの低下、また雇用差別による賃金引下げや成績・業績主義賃金制度は技術継承の寸断による現場力の低下と職場内チームワークの希薄化、ノルマ強要・過重労働による健康・精神障害まで起こし、この間の矛盾が噴出し、「『日本的経営』の再構築・再評価」をせざるを得ない事態におかれてきていると見るべきである。

*連合

 連合は05年11月1〜2日に開催した06春季生活闘争中央討論集会において、木会長は、産業、企業は総じて急速に回復している一方、マクロで労働分配率が低下し、可処分所得が低下していると指摘。労働者家計の疲弊と企業体力回復のアンバランス調整が課題であり、「月例賃金を重視し、会社側に賃金カーブ維持をした上で、真水(賃金改善)の要求を」と訴えた。

 また、同年11月30日に開催された第46回中央委員会において、2006春季生活闘争方針(案)が示され、マクロの生産性向上に見合った1%以上の成果配分を目指すと共に、組織化促進と均等待遇実現に向けた「パート共闘会議」の立ち上げ、中小共闘のさらなる強化を図ることを基本スタンスとし、スローガンを「みんなのはたらき、みんなに分配、幸せの底上げを」とすると共に、(1)賃金カーブ維持分+賃金改善分2,000円以上、(2)パート共闘会議での正社員との整合性が確保された人事・賃金制度づくり、待遇改善支援、(3)連合リビングウェッジ(月額146,000円・時給840円)による企業内最低賃金の協定化などの方針(案)が決定された。

 一方憲法問題に関しては、7月に「九条改正」に言及した「国の基本政策に関する連合の見解」案を発表したものの、1月19日の中央執行委員会において加盟組合の批判が強く、意見の一致がみられないことから、「九条を中心とした憲法改正問題について一元的に考えを集約すること、およびそのもとで統一的に対応することは現段階では控える」とした。

*全労連、国民春闘共闘委員会

 国民春闘共闘委員会は05年10月26日、2006年度年次総会を開催し、06春闘に向けた基本構想について討論を行い、1月17日、第1回単産・地方代表者会議を開き「みんなでつくろう、もうひとつの日本−はたらく仲間が元気の出る社会−」と銘打った06国民春闘方針を確立した。

 またすべての組合の課題として、「だれでも1万円以上、時間給100円以上」の賃上げと「月額15万円、日額7400円、時間額1000円」の最低賃金を実現させるため、(1)すべての労働者のベア実現、(2)企業内最賃の締結・改善、(3)均等待遇実現、格差是正、の3点で統一闘争に取りくみ、生活破壊の小泉「構造改革」や憲法改悪の動きに反撃する国民的大闘争を呼びかけた。

 岩田事務局長より提案された06国民春闘方針案重点課題は、以下の通りである。

  1. すべての労働者の賃金引上げ
  2. いのちと安全、まともな雇用確保、CSR確立
  3. 大増税と公共サービス切捨てを許さない闘い
  4. 国民投票法案反対、憲法改悪阻止をめざす大運動
  5. 地域春闘の役割重視、企業の枠をこえた共同
  6. 要求実現に執着し、全員参加の追求

 春闘期における力の集中と統一行動では、1月19日の「丸の内デモ、日本経団連包囲行動」を成功させたことをはじめ、2月11日にトヨタ本社を包囲する「愛知総行動」の実施、2月9日には「許すな医療改悪・大増税!2・9国民大集会」(さいたまスーパーアリーナ)への積極的な参加。2月中旬〜下旬のゾーンで地域総行動を各々が設定、3月10日には「青年、女性、パート中央行動」(5000人規模)を実施する。その上で、3月15日を集中回答日とし、翌16日に「ストライキを含む全国統一行動」を配置します。また、「重税反対3・13全国統一行動」に全国で結集し、4月14日には憲法・増税・医療などの国民的要求と06春闘の早期決着の統一行動を配置、第77回中央メーデー(東京は代々木公園)を成功させ、5月27日に、憲法・教育基本法・大増税・医療改悪などに反対する国民大集会(10万人目標)への参加などが提起されている。

 こうした動きに呼応し、全労連は小泉内閣の「構造改革」と「小さな政府」路線に対し、昨年12月に「もうひとつの日本闘争本部」を設置、1月26日、27日に第38回評議員会を開催し、国民春闘共闘と共同すべく06春闘方針を確立した。

 同評議会では坂内氏は、〇六国民春闘で重視する新たな運動の視点として、

  1. もうひとつの日本をめざす新しい流れをつくる
  2. 青年、女性、非正規労働者に光をあてる
  3. 国民の安全・安心、公務・公共サービスを守る
  4. すべての組合での組織人員の実増

の四点が提起された。

 賃金要求では、誰でも月額一万円を、パート労働者の時間給はアンケート結果をもとに、100円以上を求め、最低賃金は月額15万円・日額7400円・時間額1000円以上を掲げ、企業内最賃協定の締結や非正規労働者の時給引き上げの実現をめざすとしている。また「もうひとつの日本闘争本部」を中心に、「安全・安心の破壊」「格差拡大」「地域切り捨て」の三つをキーワードに、公務員攻撃や公共サービスの放棄に反撃する世論づくりの国民的運動を展開するとしている。さらにサービス残業根絶など働くルールや企業の社会的責任の確立を求める運動、庶民大増税と医療改悪を阻止するために、ストライキを構えてたたかうとしている。

 そして自民党と民主党が競い合う改憲の動きに対し、労働組合分野での共同と職場・地域の「九条の会」で草の根からたたかいを盛り上げ、四十四都道府県に確立された憲法改悪反対センターで、国民投票法案の国会上程や強行成立に反対する運動にとりくむとしている。

*MIC

 MICは2005年12月17日春闘討論集会を開催、各単産より06春闘にむけての取り組みの報告を行い、06春闘を始動させている。

 また1月16日幹事会において、「憲法改悪反対」、「知る権利の擁護」、「日米軍事一体化反対(沖縄問題を含めて)」の三本柱のサブスローガンに基づいた06春闘リーフレットづくりに取り組み、各単産の春闘に活用すべく2月中に完成させ配布する予定である。さらに3月16日は昼デモ(神保町)と、夜はMIC春闘決起集会を豊島公会堂で開催、4月7日には夜の銀座デモ、4月14日にはMIC争議支援総行動を実施することが確認されている。

3. 映画・映像産業の情勢

(1) 映画産業の情勢

*映画界

 映連発表の映画統計によると2005年の興行収入は1981億6千万円(前年比94.0%)、観客動員数は1億6045万3千人人(前年比94.3%)と、前年を下回った。映連ではマイナス要因は洋画大作の不振と位置づけているが、スクリーン数の増加に観客動員が追いついていない点にも警鐘を鳴らし始めた。

 数字の特徴としては洋画の落ち込み(前年比88.3%)に対し、邦画が前年103.4%と数字を伸ばしたため、邦洋比率が41.3:58.7となったことだろう。

 大作アニメ「ハウルの動く城」(興収196億円)のほか邦画で10億円以上のヒット作は26作品にも達している。邦画実写では「踊る大走査線」スピンオフの2作品「交渉人真下正義」42億円、「容疑者室井慎次」38億円や、「NANA」40億円、「電車男」37億円と東宝作品が上位を占め、アニメを含めれば東宝配給だけで26作品中19作品が名を連ねている。中でも「星になった少年」のように、公開当初苦戦が伝えられた作品でも23億円を叩き出すなど、東宝邦画マーケットの力を見せつけた。

 シネコンの台頭でヒット作へ観客が集中しやすい傾向は、東宝マーケットの寡占化でより鮮明にその性格を現し始めたといえよう。東宝の劇場シェアは14%程度だが、年間興収は525億円と、国内シェアの26.5%を占めたことになる。しかも06年は公開本数も増加(24→30番組前後)するなど、さらなる拡大を目指している。

 またハリウッド作品一辺倒だった洋画の流れに、アジア映画が大きく食い込んだのも昨年の特徴であろう。一昨年に引き続く韓流ブームは衰えをみせず、今年も「僕の彼女を紹介します」20億円、「四月の雪」27億円、「私の頭の中の消しゴム」30億円などが並んでいる。

 ただ、一方で韓国映画の買付額の高騰も指摘されはじめた。ハリウッド大作の不振は米国でも前年95%の興収が予測されているほか、メジャーで組織されるUIP(ユニバーサル・パラマウント)は35カ国の拠点のうち15ヶ国を解散(日本は存続)するなど厳しさが目立った。

 昨年は投資家からの資金により、松竹の「阿修羅城の瞳」「忍SHINOBI」、角川では「戦国自衛隊1549」などが相次いで製作され「映画ファンド」が注目されたた。製作委員会方式と違って権利関係が簡素化される分、製作側のメリットが注目されているが、興行面での大きな成功がなければ配当にも結びつかない現状では、高騰する製作費の根本的な解決策としては行き詰まりを招きかねない。ただし、予算に応じた様々な形態も登場しており今後も活発な動きを見せそうである。

*映画興行

 興行情勢の面では、シネコンが05年一年間で23サイト・204スクリーンが開業し、既存館と併せ全国で2,926スクリーンに達したが、一方で103スクリーンが淘汰された計算となる。これでシネコンの占める割合は67%に達した。

 06年開業の計画だけで30サイト近くが予定されており、今年中に3,000スクリーンに突入することになる。

 そのシネコン内にも再編の動きがあり、AMCがユナイテッドシネマを通じて住友商事に買収され(AMCイクスピアリはテナント料の問題でオリエンタルランドに)、外資主導で始まった国内のシネコンだったが、いまや外資はワーナーマイカル(ワーナー50%出資)のみへと変貌した。逆に国内資本の角川が中国へ、シネカノンが韓国へそれぞれ進出を果たしている。

 昨年、既存館の生き残り策で特徴的だったのは、東急レクリエーションのアイデアであろう。丸の内ルーブルの命名権を久光製薬に売却し、「サロンパス ルーブル丸の内」が12月に誕生。3年契約で数千万円を手にしたと言われている。丸の内ルーブルの興収はシネコン登場の10年前と比較すると50%程度に落ち込んだため、その解決策として打ち出されたものらしい。興行収入だけでは存続が厳しくなってきた劇場運営の新たな手法として注目されている。

 配給システムの流れを大きく変えると言われるデジタル・シネマでは、東宝・ワーナー・NTTなどが協力し、光ケーブルを使ってハリウッドからの直接配信実験が05年末から開始された。今後のデジタルシネマ標準規格(05年7月に米メジャー5社で設立するDCIが定義)とも言われる4K(従来200万画素→800万画素=HDTVの4倍の精細度)の登場もあって、米国や中国のような巨大マーケットを中心に拡大しており、これまでプリント代が解消される反面で観客へのメリットが見えないなど、劇場側の設備投資に懸念を示していた国内の動向が注目されている。

 国内では、05年7月時点で約50箇所(1.8%)のデジタルシネマシアターが稼動している。上映に必要なデジタル対応のシステムは、当初設備費として2,000万円とも言われていた。しかし、2K対応システムであれば現在では500万円程度でも導入可能と言われており、DCIの4K規格がまとまった今後は、インフラの整備に伴いさらなる設備費の圧縮も遠くないと見られる。

 また、デジタル化によって製作分野についても配慮が必要とされるのがセキュリティの問題で、公開と同時に闇で流通される海賊版DVDやネットでの流出原因として、製作過程でデータごと盗まれている可能性が否めないからである。海外のポスプロに対するセキュリティは、国内では想像できないほど厳しくなっているのが現状で、そうした対策が後手に回れば、市場に水を注すことにもなりかねない。

*ファンドに注目される映画産業

 年明け10日に投資会社プリヴェチューリッヒ企業再生グループが阪急ホールディングスの株式5.01%を保有したことを財務局に提出し、筆頭株主となった。プリヴェ側は阪急HDと東宝との経営再編や宝塚歌劇団の上場などを提案したとされているが、阪急側が一蹴した印象を与えている。その後、阪急HDは「昨秋からの株出来高の高騰を懸念して」という理由で、株主総会を待たずに新株予約権の発行を含む敵対的買収の防衛策を発表している。

 続いて11日には、米証券大手のモルガンスタンレーが松竹の株式6.03%を取得したことを財務局に提出。ただしグループ4社による株式貸借など、通常の証券業務に関わる保有であり投資目的ではない、とのことから特段の動きは見られていない。

 さらには新会社法の施行により、子会社が保守する親会社の株式放出が憂慮される東映など、映画産業に対するファンドの注目度は従来に増して高まると思われる。映像製作のノウハウや、蓄積された映像ライブラリの活用といった産業そのものに対する価値観とは違った視点による再編もあり得ることから、今後も警戒が必要である。

*大手邦画各社の状況

東宝 05年の興収は前年実績こそ割り込んだものの(96.8%)、歴代3位の好成績となった。劇場面ではグループ全体で45サイト・406スクリーンに達し、ワーナーマイカルに並び始めたほか、配給面でもマイカル全サイトで東宝配給作品の上映が決定するなど、マーケットの拡充もさらに進んでいる。撮影所ではリニューアル以降高稼働が続くも外部スタッフに頼らざるを得ず、人材育成の点では課題が残る。

東映 不良債権処理と減損会計処理を終わった東映は、今年「東映元年」を宣言した。映画「男たちの大和」が40億円を超す大ヒットとなったものの、その後の番組には宗教映画や右翼映画が並ぶなど、基幹事業である映画事業は揺らぎ続けている。
 新会社法により、子会社による親会社(東映)株式の所有が禁止された。東映は、東映の子会社が持つ33%の株式を外に放出しなければならなくなった。これによって東映の資本構成は大きく変わる。東映は、新たに「親会社」を持つことになるかもしれない。

松竹 創業110周年を前面に出しながらも、05年の年間興収は136.8億円と前年より大きく後退し(66.7%)、演劇の歌舞伎襲名興行に支えられた年となった。
 その映画の不振が影響したのか、労組も参加して11月に出した新撮影所構想の最終答申に対して、1月時点でも建設の具体的方針は見出せないでいる。

日活 日活は昨年10月28日に臨時株主総会が行われ、インデックス傘下で佐藤直樹社長を中心とする新しい体制となった。中村雅哉氏は最高顧問に就任、撮影所はマルの所有であることは変わっていない。
 新経営陣は邦画会社として「邦画製作の強化」を基軸に日活の再編を検討しており、3月以降に経営方針の発表、新組織体制、邦画のラインナップ発表を予定している。しかし、前経営陣の杜撰な経営により発生した不良債権の処理も重要な課題となっている。

角川映画 「戦国自衛隊1549」「妖怪大戦争」という2本のヒットに恵まれ3期連続の黒字が確実となり、業界初の2階建て新スタジオも1月にオープンし、無事、今期を乗り切るかに見えたが、2005年12月、角川ヘラルドピクチャーズを吸収合併するという大きな問題が浮上した。
 経営陣は、シナジー効果のある有益な合併と説明するが、角川ヘラルド・ピクチャーズは2005年角川グループの100%子会社になるまで、上場会社でありながら3期連続の赤字を出してきた会社であり、インディペンデントの洋画買い付け・配給会社のビジネスが、全般に苦戦している映画業界の現状を考えると、角川映画への多大な影響が懸念されている。

*映画の公的支援の状況

 本年1月に文化庁18年度予算案が発表され、これにともない映演労連としても文化庁へ要請行動を行っている。

 文化庁総予算は昨年17年度より微減(1006億円、対前年▲0.9%)に対し、「日本映画・映像」振興プラン推進への予算は21.8億円に大幅減(対前年▲11%)となった。この数年増加傾向にあった日本映画への支援が、2年連続でマイナスとなっており、「日本映画振興のための12の提言」が具体化しない中でのこうした動きには、警戒が必要である。

 予算減が続くフィルムセンター関係は、独立行政法人である東京国立近代美術館の一施設という位置づけもあって、中期目標の最終年度を経なければ国立フィルムセンター(仮称)への具体的な進展は難しいとのこと。

 また、文化関連産業に携わる労働者の社会的地位向上を目途に実施した映画スタッフ・アニメーターの活動実態調査の結果についても、文化庁内で誠実に議論されていないことが要請行動を通じて判明している。

 印象としては文化庁が現時点で手がける事業運営だけで手一杯となり、文化芸術振興のための新たな展開については、構想だけが宙に浮いているようだ。

(2) 放送界の現状

*問われる放送局の公共性と社会的責任

 昨年前半、ニッポン放送をめぐり、ライブドアと親会社のフジテレビとの間で攻防戦が繰り広げられたが、終息から5ヶ月後の10月13日、今度は楽天がTBS株を15.46%取得して筆頭株主となり、TBSに対して経営統合を申し入れたことから、放送局株をめぐるIT関連産業と放送局との新たなたたかいが勃発した。

 ニッポン放送株問題のさ中、フジの日枝会長は、「放送局には公共性があり、マネーゲームにはなじまない」と主張したが、世間的にそれが「古い経営を引きずり、保身に走る守旧派」との烙印を押され、逆に批判を受ける結果になった。TBS問題では民放キー局の社長らが、放送局に課せられた報道機関としての使命や、放送法などで様々な規制を受けていることから、ブロードバンドなどの通信の世界との違いや、収益を求める体質だけではないとして、TBSを擁護する発言を行なった。しかしながら、管轄省庁の長である竹中総務大臣は、「放送と通信の融合は実現の段階」と述べており、放送局がM&Aの対象にされる危険は強まっている。いま放送局に求められているのは、放送の「公共性」や「社会的責任」を再認識し、自らが制作する番組を通じ、視聴者に直接訴えかけることである。

*指定公共機関問題

 国民保護法に基づく「指定地方公共機関」の指定は、沖縄県などを除いた殆どの放送局が指定されている。放送局も打診に対して「報道の自由の確保」などの要請を県などに行ったところも多くあったが、結局指定は拒否することなく受け入れ、国民保護協議会に委員を送り出している局もある。指定公共機関では、今後「業務計画の策定」を行うことになっているが、労働組合や関連する労働者と十分協議を行うよう求めることが必要である。

 05年11月27日には国民保護法に基づく初の実働訓練が福井県で行われたが、地元の放送局は、連絡FAXの受信確認という形で訓練に参加した。こうした実績が積み重ねられることについて注意が必要である。

*地方局でデジタル化対応進む

 地上デジタル放送は、静岡、東北、北関東でも放送が開始され、現在デジタル放送を実施している民放局は34局になっている。2006年末までには全国でデジタル放送が開始される予定になっておりローカル局ではその準備に追われている。

 デジタル放送対応の設備・システム導入では、その準備作業や習熟訓練で過重労働、長時間労働が報告されている。人員増なきデジタル化によって、労働者の負担は増大している。また、デジタル化対応のため、制作や技術現場の人員が減り、自社制作番組の縮小や、業務の外注化が進められており、注意が必要である。

 放送と通信の融合を一気に進めるこうした政策は、放送局の存立の基盤を揺るがしかねない大きな問題である。また自助努力によって中継局が整備できない局に対しては、公的支援の導入の条件として経営情報の開示が求められており、こうした事態は徹底した「リストラ」や、放送局の統合・合併を引き起こす可能性もある。

*NHK「新生プラン」発表

 NHKは1月20日、信頼回復と財政対策を柱とする「新生プラン」を発表した。受信料支払い拒否・保留世帯に対し、法的措置の「支払い督促」を導入する方針を示す一方、06年度から全職員の10%、1200人を削減するなど「組織のスリム化」を明文化した。同日の経営委員会で議決し、橋本元一会長が発表した。NHKが受信料の督促に踏み出すのは初めてである。

 新生プランは「何人からの圧力や働きかけにも左右されることなく、放送の自主自律を貫き」「『すべては視聴者のみなさんのために』という原点にいま一度立ち返ります」などとうたった。

 プランは次ぎの3本の柱を掲げている。

  1. 視聴者第一主義
  2. 組織や業務の改革・スリム化
  3. 受信料の公平負担に取り組む

 督促の対象は、いったん受信契約をしたが、支払い拒否に転じ、請求書を出し続けても応じない世帯で、簡易裁判所を通して督促状を送る。受けとった視聴者は差し押さえなどの強制執行を受ける可能性もある。未契約者に対しても、法的手続きを視野に入れて対応を検討する。NHKでは当面、これらの対象になる世帯を約50万世帯と見込んでいる。

 督促は「活用などについて検討」という表現にとどめたが、橋本会長は「導入する」と話した。その場合は「各戸を訪ね、受信料制度の意義を繰り返し説明する。努力してなお、支払ってもらえない場合の最後の手段」とも述べた。

 プランにはこのほか、「06年度から3年で職員1200人削減」「受信料を口座引き落としで長期間支払っている人への優遇措置」も盛り込んだ。また、業務改革・経費削減の具体例として、民放各局の批判を受けた「衛星ハイビジョンでの24時間終夜放送」など海老沢勝二・前会長時代の計画の見直しも含めた。

 しかしNHKが発表したプランは具体性に乏しく、危機感が伝わってこない。新生プランを説明する特集番組で、橋本元一会長は「不祥事以来、多くの厳しい意見を受け、経営や業務を見直した」と述べた。しかし、これで改革への道筋が明確になったとは言えない。

 受信料については、罰則がないだけに「払わずに済むのなら、払うのは馬鹿らしい」と思う人も多い。財政健全化のみならず視聴者の不公平感をなくすためにも、不払いの解消は大きな課題である。だが、法的手段を振りかざす強硬姿勢は、かえって視聴者の反発を招くのではないか。しかも、全部の不払い世帯に法的手段を取ることは物理的に不可能だろう。また、未契約の約960万世帯は対象外である。これでは、新たな不公平を生むことにもつながる。

 それよりも、最優先しなければならないのは信頼の回復であろう。プランでは信頼回復へ向け「公共放送の使命」を果たすことを宣言した。橋本会長は、受信料不払いの一因となった従軍慰安婦番組の改編問題にも触れ「政治的圧力で番組を変えたとの批判を受けたが、そのようなことはない」と語った。この問題では、報道した朝日新聞との間の決着はついていない。

 多チャンネル化で肥大した組織、番組制作費の増大を抜本的に見直し、不正や無駄遣いを排除する必要性がある。その上で、デジタル時代にふさわしい公共放送の在り方とはどういうものか、明示しなければならない。

 NHKをめぐっては、受信料制度の見直しや民営化論まで議論されている。情報公開によって視聴者と危機感を共有しながら改革を進め、信頼回復に全力を挙げるべきである。

(3) 映像ソフト業界の状況

 VHSからDVDへシフトしたことで拡販傾向にあったビデオ業界も、遂に頭打ちとなった。05年のビデオグラム販売額は約3,500億円(対前年95%、但し概算見込み)と、初めて前年を下回った。旧作品のDVDが出尽くしたことなどもあって、VHSの落ち込みをDVDでカバーしきれなくなったためである。

 日本映像ソフト協会の上半期報告によると、DVDの主力であった個人向け販売が伸び悩んだこと、レンタル店の在庫整備(VHS→DVD)が一段落したこと、などを具体的な要因として挙げている。

 しかし、VHS市場の登場から終焉のサイクル(前年対比マイナスまで約20年)を考えれば、半分以下の寿命ということでもあり、産業としてのありようにも課題が多い。既に旧作DVDは出尽くされたともいわれ、新作以外は従来以上に叩き売りになることが想定される。過剰供給によって生み出される莫大な不良在庫が、最終的にはメーカーの首を絞めることにつながるだろう。米国では失敗と言われている48DVD(48時間で消えるDVD)も昨年初めて国内で販売されたが、市場の活性化には結びつかず、次のメディア登場へ期待するといった状況にある。

 こうした中、海賊版防止にむけて劇場内での盗み撮り行為に罰則を設ける法改正の要望を、映連をはじめ5団体が発表している。

(4) アニメ産業の状況

 昨年大会以降のアニメーション業界の主な動きとして、テレビアニメは、10月30本、11月3本、12月2本の新番組。

 今年の正月興行は、劇場アニメーションでベストテン入りは3本。「ふたりはプリキュアマックスマックスハート2 雪空のおともだち」が東映配給。「あらしのよるに」「超星艦隊セイザーX/甲虫王者ムシキング」の2本が東宝配給。

 動画協会が05年12月1日、権利者団体、法人とインターネットサービス業者およびオブザーバーで内閣府、経済産業省、総務省、警察庁などで構成される「インターネット知的財産侵害品流通防止協議会」に参加。

 劇場作品では、宮崎作品などの大作はないが、テレビシリーズの劇場版は好調。テレビは、深夜枠を中心に新番組が出てきている。経営者団体はインターネット配信にむけ権利侵害防止にむけて積極的に動いている。

 しかし、あいかわらず、製作現場は、置き去りのままで、荒廃が進んでいる。特に以前から言われているアニメーター不足は改善されていない。

 昨年行われた芸団協の「アニメーター活動実態調査」で、アニメーターの劣悪な生活実態が明らかになった。この実態を改善し、日本国内でアニメーションを作り続けるための、アニメーターの国内育成、原動画の最低単価など具体的例を示した「アニメ産業改革の提言」を映演労連が中心となって文化庁に提出した。これからも、厚生労働省、内閣府などの官公庁や、動画協会など経営者団体に働きかけてゆく。

 現場の発言力が弱いのは、アニメーションの製作現場を代表する組織がないからだ。組合員の周りにいるアニメ関連のスタッフに東映動画労組や、個人加盟の映演労連フリーユニオンへの参加呼びかけを強めよう。

4. 演劇界の情勢

 演劇の市場規模は数年来拡張傾向にあるが、ひとえに劇団四季を中心としたミュージカルの成長がこれを牽引し、反面で現代演劇の伸び悩みが続いている。

 古典芸能においては、歌舞伎が05年3月〜5月、3ヶ月連続の歌舞伎座を皮切りに6月博多座、7月大阪松竹座、10月名古屋御園座ほか、全国各劇場にて行われた「十八代目中村勘三郎」襲名興行が前年の「十一代目市川海老蔵」襲名興行を超える増収をもたらしているほか、鴈治郎は240年ぶりの名跡復活である「四代目坂田藤十郎」襲名興行を12月京都南座顔見世興行からスタートさせている。

 ただし、以降の大名跡の襲名は予定されておらず、再び緩やかな逓減傾向に向かうことが予想される。05年11月に歌舞伎を世界無形文化遺産に指定したユネスコの審査委員会の見解も「直ちに消滅する危機には直面していないが、観客数は一時的ブームを除けば徐々に減っている。西欧的演技スタイルの導入は創造的な進化をもたらしているが、同時に伝統芸の衰退の危機にもつながっている」というものである。

 また公演回数の高止まりが稽古時間の短さとメインテナンスの不行き届きを招来し、舞台スタッフは大道具、小道具など過酷な労働条件を強いられ、後継者不足が慢性化・深刻化している。

 歌舞伎興行の最大の拠点である歌舞伎座の老朽化に伴う改築問題について、松竹は05年に入り4月「歌舞伎座再開発の検討開始に関するお知らせ」、11月「歌舞伎座再開発の協議開始に関するお知らせ」と題する文書を発表、再開発開始時期こそ明言しないものの、全体のスケジュールとして準備期間2年、工事期間3年、合計5年の計画となるとの見解を示している。

 歌舞伎座には松竹のみならず、劇場内には複数の企業が常駐し、200名を越える従業員が働いている。にもかかわらず再開発とその後の劇場運営、従業員の雇用に関する方針、計画は未だに示されていない。

 ミュージカルでは相変わらず劇団四季が好調を持続し、2番手の宝塚歌劇におおきく水をあけている。04年は五反田「キャッツ・シアター東京」オープンにより都内5サイトを有するにいたったが、05年1月には「大阪四季劇場」をオープンさせ全国では9サイトとの専用劇場を持つにいたっている。6万人を超える会員組織「四季の会」を活用するなど、ショービジネス=演劇興行という不確定要因の強い分野において、ビジネスとして確実性を高める方策を常に打ち出し続けている「ライオンキング」「オペラ座の怪人」「マンマ・ミーア」などを成功させ、年間観客動員数は約250万人に及ぶ。

 帝国劇場では、2000回を超えた「ミス・サイゴン」の3月〜5月公演、日本記録をさらに更新した「ラ・マンチャの男」(1086回)、7〜8月の「モーツァルト!」が好評を博している。

 宝塚歌劇は2003年創立90年を向かえて以降も高稼働を続けているが、歌舞伎同様トップスターのお披露目公演に興行成績が左右される傾向も顕著である。

 大劇場や大会社による演劇興行は、月替わりの女優・歌手による座長公演、団体客依存といった旧来のシステムが通用せず、いずれも苦境に立たされており、各劇場とも旧来の興行システムからの脱却と活性化を手探りで模索している状態である。 新橋演舞場は6月に大規模な改装工事を行うとともに、演目の選定、公演時間の見直しに手をつけ始めた他、大阪松竹座との連携などにもとりくんでいる。ただし、新派の凋落傾向には歯止めが掛かっていない。

 2003年11月に阪急電鉄に売却されて以降ドラスティックなリストラを実行してきた梅田コマ劇場は、2005年4月よりシアタードラマシティーとあわせた2館を「梅田芸術劇場」と改称して再スタートを切ったが。ネット会員制を導入するなどのサービス強化、演目の強化により観客動員を回復しつつあるようである。

 東京・有楽町の東宝本社ビル再開発に伴い、2005年3月森光子主演『放浪記』を最後に芸術座が閉館した。東宝は新本社ビルに芸術座と同規模の劇場を設置し、2007年11月にオープンさせる予定である。

 翻訳劇の名作の上演などで親しまれてきた「三百人劇場」(劇団昴の拠点劇場)は、今年末で閉館することを発表した。劇団員の去就が心配される。

 文化庁は文化芸術への重点支援を行う「文化芸術創造プラン」など文化芸術の振興施策を推進しているが、平成18年度の文化庁要求案は、「最高水準の舞台芸術公演・伝統芸能等への重点支援等」として99億2600万円(前年99億2600万円)。内訳は「芸術創造活動支援事業」67億円(5分野、697公演)、「芸術拠点形成事業」10億2300万円、「舞台芸術の国際フェスティバルの開催」3億3900万円、「優れた芸術の国際交流」18億6400万円となっている。

 映画同様、団体支援がなくなり公演支援となったが、映画と異なり、演劇分野においては団体にこそ支援されるべきである。公演ごとの支援となれば、697もの支援公演を公演ごとに審査しなければならず、大混乱と支援の停滞が予想される。

 また舞台製作現場を中心に、働く仲間は常に過酷な労働条件と危険な職場環境での就労を余儀なくされている。過労死・労災事故を防止するために、制度と環境の整備、すべての職場への労働基準法適用が急がれなければならない。

II. '06春夏闘の課題と取り組み

1. 憲法改悪阻止をめざす闘い

  1.  憲法改悪阻止の闘いを06春闘の中心課題に位置づけ、創意工夫した運動を展開する。憲法改悪阻止の闘いを映画演劇界、単組支部の隅々に広げる。
     「映画人九条の会」の事務局団体として、運動の発展に全力を傾ける。3月8日(水)には「憲法と映画」をテーマに、映画人九条の会学習会(18:45〜文京シビック・シルバーホール)を行う。
     「九条の会」アピールを映画人、映画ファン、映画関係団体の中に広め、映画人九条の会会員1500人(現在約1100人)の早期達成をめざす。
     自民党の新憲法草案(憲法破壊草案)の狙いを明らかにするために、さまざまな学習会や宣伝活動を展開する。
  2.  「九条の会」「憲法改悪反対共同センター」「マスコミ関係九条連」「憲法を守る有志の会」との連携を進め、憲法改悪反対の全国的なネットワークを広げる。MICにも、憲法闘争についてもっと主体的な取り組みを求める。
  3.  憲法改悪阻止に向けて労働組合としてやるべきこと、労働組合の団結権、行動権を武器にしてできることを検討する。
     国民投票法案、教育基本法改悪に反対し、全労連などの呼びかけに応じて諸行動を展開する。

2. 大幅賃上げ、高額夏季一時金の獲得、諸要求実現の闘い

  1.  「経営者よ、正しく強かれ」と題した経団連の2006年版「経営労働政策委員会報告」では、好調企業の賃上げを容認する半面、春闘の終焉を繰り返している。
     私たち映演労連は、「映演労働者に誰でも1万円以上」の産別底上げ要求基準に基づいて、多くの企業で賃上げ1万円台の復活をめざす。すべての時間給労働者に時給100円以上の賃上げを勝ち取る。
     また全国一律最賃制の確立(ナショナル・ミニマム)を軸に、産別最賃制(月額16万円、日額8,000円、時給1,000円=いずれもキャリア・ゼロの場合)を要求し、映演労連各社との協定化をめざす。
     成果主義賃金、裁量労働制などの導入に反対する。
  2.  労働者の年収がマイナスとなっているなかで、生活を守る一時金の獲得はかつてなく切実な要求となっている。夏季一時金の要求額は、「生計費原則」をもとに各労組で組合員が確信を持てる要求を作り上げ、粘り強く闘って高額生補金獲得をめざす。
  3.  「合理化」反対闘争と経営批判闘争、経営の民主化と再生に向けた闘いを映演労連 '06春闘の中心課題とし、経済闘争と結合しながら全力を挙げて闘う。
  4.  四月昇給、定年延長、退職金制度の維持・拡充、福利厚生の充実など諸要求を重視し、前進を勝ち取る。
     産別の緊急課題として、高齢者雇用安定法(4月施行)に基づく労使協議を早急に映演各社で進め、希望者全員を対象とした60歳以上雇用延長を実現する。
  5.  非正規労働者の雇用と権利を守り、非正規労働者がまともに生活できる賃金をめざして、均等待遇、労働基準法適用、賃金・労働条件と雇用契約の改善を要求していく。
  6.  女性労働者の労働環境改善をめざす。コース別採用差別、学歴差別、昇進・昇給格差など、あらゆる女性差別に反対し、真の男女雇用機会均等の実現、女性労働者の能力活用、職場での地位向上をめざす。育児休業制度、育児時短、看護・介護休職制度の実現と改善を進める。
  7. 映演各社で36協定の締結、長時間労働の解消、週休2日制・週実働35時間の実現、不払い・サービス残業の一掃をめざす。
  8.  「単組ごとの春闘」から「産別としての春闘」をめざす。
     「映演労連'06春夏闘要求書」を豊かなものにし、映演各社との映演労連団交をいっそう重視する。映演労連フリーユニオンも組合員が働く企業に要求書を出し、交渉を行う。また、今年も「全労連'06春闘統一要請書」を映演各社に提出する。
     各労組の要求書はできるだけ早めに提出し(3月上旬)、スタート良く闘う。
  9.  3月中に「 '06春夏闘勝利をめざす産別統一スト権」を確立して闘う(2月20日投票開始、3月17日集約予定)。
  10.  産別統一闘争を強化するため、3月16日「MIC昼デモ、MIC'06春闘決起集会」、4月7日「夜の銀座デモ」、4月12日「映演労連講演会」、5月1日「第77回メーデー」、5月27日「国民大集会」などを【映演労連統一行動日】と設定し、全力で成功させる。
  11.  国民生活の全分野にわたって安全と安心を破壊し、ルールなき競争と格差社会、国民負担増をもたらす小泉「改革」「小さな政府論」に反対する。全労連の「もうひとつの日本闘争本部」に結集して闘う。

3. 「合理化」に反対し、職場と権利を守る闘い

  1.  日活の経営再建闘争を今後も支援するとともに、資本の勝手なM&Aを許さない闘いを進める。映演労連関連争議、MIC争議団、全労連争議団の勝利をめざして、積極的に支援する。
  2.  「合理化」攻撃には臆せず毅然とした姿勢で対処し、産別の闘いに広げる。「解雇権乱用の禁止条項」や労基法改正案の国会付帯決議、「整理解雇の4要件」を生かし、解雇権の濫用を許さず、争議経験と教訓を結集して闘う。CSRやコンプライアンスの実行を映演各企業に強く求めていく。
  3.  重大なリストラ「合理化」攻撃があった場合には、緊急に産別統一スト権を立てて闘う。日ごろから経営チェック能力を高めるとともに、事前協議制を確立する闘いを進める。また、経営責任を厳しく追及する。「不当労働行為」には機敏に反撃する。
  4.  最悪の労働ルール破壊法制である「労働契約法制」案について学習会を進め、反対運動を起こす。全労連など全国の仲間と連帯して闘う。

4. 映演産業の基盤拡充と文化発展をめざす闘い

  1.  多くの映画人、映画愛好者に訴えて日本映画の製作基地確保の闘いを進める。日活撮影所の存続・リニューアルについては、新生・日活と調布市などに積極的に働きかける。松竹新撮影所建設については、都労委合意に基づいて新撮影所建設の早急な着手を要求する。
  2.  文化庁・映画振興懇談会「12の提言」と、映演労連の「2005映画振興に関する要望書」の早期実現を求めて、'06春闘で文化庁、経済産業省、映連交渉、映像産業振興機構などとの交渉をめざす。
     また映画スタッフとアニメーターの活動実態調査の結果を映画・映像に働くものの社会的地位の向上に活かすため、厚労省とも交渉を行う。
  3.  日本映画への公的支援拡充運動の新たな方向性を探るため、「映画政策委員会」の活動を強化する。特に、撮影所への公的支援強化、公設オープンセット建設、人材育成、フィルム保存、フィルムセンターの独立行政法人・国立近代美術館からの独立、日本映画上映網の確立などについて議論を深める。
  4.  1月17日に第1回会議が行われた「演劇政策委員会」の活動を強め、本年7月までに「演劇支援要望書」を作成し、文化庁などに提出し交渉する。
  5.  アニメ対策プロジェクトで作成した「アニメ産業改革への提言」を関係諸団体に提出し、知財本部、日本動画協会とも交渉する。また、日本のアニメ労働者を組織するため、思い切った手を打つ。
  6.  フリー労働者の権利確立と生活保障、労働災害防止、労災保険、雇用保険、労基法適用の前進に向けて闘う。
  7.  歴史の真実を偽り、社会の現実をねじ曲げて国民の目を惑わす軍国主義的、右翼的な映画・映像・演劇については、毅然たる姿勢で批判して行く。
  8.  優れた映画・映像・演劇を推薦し、鑑賞普及運動に協力して行く。日本映画復興会議の活動に積極的に参加する。舞芸の「芝居を見る会」、映演労連「舞芸劇団支部の舞台を観る会」も継続し、映演労連の文化活動を旺盛に展開する。

5. 平和と民主主義を守る闘い

  1.  憲法改悪阻止の闘いを中心に、平和と民主主義を守る闘いを進める。イラクからの自衛隊撤退、憲法改悪反対などの大集会に積極的に参加する。
  2.  平和運動推進委員会による映演労連の反戦平和イベントを行う。MIC行う8月の「MIC広島フォーラム」にも参加する。
  3.  マスコミの報道を監視し、不公正報道には機敏に抗議する運動を進める。言論・表現に対するテロ行為は、これを絶対に許さず、厳しく批判して行く。
  4.  治安維持法のようなとんでもない悪法である「共謀罪法案」、憲法を改悪するための「国民投票法案」の阻止に向けて行動を起こす。

6. 組織強化と拡大の闘い

  1.  2年後の個人加盟方式の単一組織「映演労組」への組織転換をめざして、全単組で本格的な討議を行う。組織改革委員会も第二期の議論をさらに深める。
  2.  魅力ある組合づくりを進める。'06春闘の中で計画的に組織拡大を進め、今年度中に組合員を1400名に拡大する(20名の純増)。
  3.  組合に入っていない契約社員、アルバイト労働者、フリー契約者、管理職労働者を「映演労連フリーユニオン」に組織していく。また、アニメ労働者の映演労連フリーユニオンへの組織化を重要課題とする。
  4.  「映演総連カード(組合員証)」の活用地域を拡大し、「映演総連カード」を組織拡大の武器にしていく。
  5.  映演労連の教宣活動を重視し、「映演労連ニュース」の月一回発行、「映演労連ホームページ」「パソコン・ネットワーク」の更なる充実をめざす。
  6.  映演労連内の連帯強化をめざし、各労組間の交流や学習会、決起集会、映演労連女性連絡会、青年部活動、文化部活動、平和運動などへの参加を強化する。映演労連女性連絡会の活動を復活させる。

III. 闘いの主なスケジュール

予定
2月 9日 医療改悪・大増税許すな2・9国民集会(14:00〜さいたまスーパーアリーナ)
16日 JR闘争の勝利をめざす2.16決起集会(18:30〜日本教育会館)
17日 実現させよう!「男女雇用平等方法」2.17決起集会(18:30〜全労連)
20日 産別スト権投票開始
21日 演劇政策委員会(18:30〜映演労連事務所)
3月 上旬 各労組要求書提出
8日 映画人九条の会学習会「憲法と映画」 (18:45〜文京シルバーホール)
15日 集中回答日
16日 '06春闘第1次全国統一行動、MIC昼デモ (12:15〜錦華公園)
MIC'06春闘決起集会 (18:30〜豊島公会堂) 【映演労連統一行動日】
17日 産別スト権集約予定日
26日 日本映画復興会議全国集会(10:00〜文京区民センター)、復興賞授賞式
4月 4日 九条を守るマスコミの夕べ (18:30〜星陵会館)
7日 夜の銀座デモ (18:30〜銀座公園) 【映演労連統一行動日】
12日 映演労連講演会「映画産業のこれからを予測する」
(18:45〜文京シルバーホール) 【映演労連統一行動日】
14日 MIC争議支援総行動
中旬 '06春闘第2次全国統一行動
5月 1日 第77回メーデー (代々木公園) 【映演労連統一行動日】
25日 全労連争議支援総行動
27日 国民大集会 (予定) 【映演労連統一行動日】

IV. 産別スト権の確立

 06春夏闘でも産別スト権を確立する。高率での確立をめざそう。

以上