日本の侵略戦争を"アジア解放の戦い"と描く
ムルデカ17805』を批判するアピール

 世界各国から激しい批判を浴びた映画『プライド・運命の瞬間』公開から3年、東日本ハウスを中心とした『プライド』製作グループが、今度は日本の侵略戦争を"アジア解放の戦い"と描く映画『ムルデカ17805』を作り、5月12日から全国東宝系劇場で公開する。

 この映画『ムルデカ17805』は、中野学校出身の架空の青年将校を主人公に据えて、インドネシア独立のために生命をささげた日本軍人の物語を作り上げ、アジア侵略の歴史的事実を完全に逆立ちさせて、日本がアジア民族に独立をもたらした、とする映画である。日本の侵略戦争の歴史をわい曲し、美化するものである。

 本年2月18日に自民党の野呂田予算委員長が「大東亜戦争によってアジアは独立できた」などと発言し、今また、侵略戦争を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書が子どもたちに押しつけられようとしているが、映画『ムルデカ17805』の公開は、この右傾化の流れを加速させる、きわめて危険なものである。

 すでにインドネシア大使館から映画の内容に抗議が寄せられ、一部をカットした、などと報道されているが、数秒のカットでこの映画の本質が変わるはずはない。映画の公開が近づくにつれ、国内外から厳しい批判が相次ぐことだろう。

 映画『ムルデカ17805』は、日本の国民、特に子どもや若者たちに偽りの歴史を教え込む映画である。また、インドネシアをはじめアジア諸国の人々に筆舌に尽くしがたい苦痛を強いた日本の侵略戦争を美化するものである。私たちが愛する日本映画が、そのような邪悪なたくらみに手を貸していいはずがない。

 私たち「映画の自由と真実ネット」は、映画の自由と真実を妨げる動きに反対して活動を続けてきたが、日本の映画人として、アジアと世界の仲間に私たちの良心の存在を示すためにも、この映画『ムルデカ17805』に対して心の底からの怒りをもって抗議し、批判するものである。

2001年4月19日

 映画の自由と真実を守る全国ネットワーク
(略称/映画の自由と真実ネット)


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