抗議要請文

1999年10月12日

千葉県 柏市
本多 市長殿

 私たち「映画の自由と真実を守る全国ネットワーク(略称:映画の自由と真実ネット)」は、昨年、世界的に拡がった映画『プライド運命の瞬間(とき)』への批判運動を引き継いで生まれ、映画の創造と鑑賞の自由、歴史の真実を守るために活動している団体です。

 本年10月8日付けの朝日新聞で私たちは、10月9日に予定されていた映画『南京1937』上映会について、柏市が会場の市民文化会館の使用許可を取り消したことを知り、驚愕しました。

 朝日新聞によれば、「右翼団体からとみられる約50件の抗議電話があった」ことなどによって、「同市は『抗議行動が行われると市民生活に支障をきたす恐れがある』と説明している」とありますが、これが真実ならば、貴市の行った行為は暴力的行為への屈服であり、表現の自由、映画の公開と鑑賞の自由に対する重大な侵害です。

 侵略戦争の歴史の真実を描いた映画『南京1937』については、昨年5月に映画『プライド運命の瞬間(とき)』が公開されたのと軌を一にして、各地で右翼団体などの上映妨害運動が激化し、昨年6月には上映中の映画館のスクリーンが切り裂かれるなどの事件が起こりました。この映画の上映をめぐっては、その後も右翼団体の上映妨害活動が続いていますが、茅ヶ崎の上映会のように毅然たる姿勢で右翼団体の妨害をはねのけ、上映会を成功させたケースもあります。

 右翼団体などが「気に食わない」などと言って抗議したら、すぐに上映会場の使用許可が取り消される、というような事態は、表現の自由を掲げる民主主義社会にあってはならないことです。こんなことが進行すれば、映画の公開と鑑賞の自由などは簡単に無くなり、歴史の真実を描いた映画は作られなくなります。

 貴市は「救急車両の運行にも支障をきたす」などの理由を述べておられるようですが、それは妨害排除の警備態勢の問題です。問題をすり替えてはなりません。

 私たちは、貴市の映画『南京1937』上映会場の使用許可取り消しに対して、厳重に抗議するとともに、勇気をもって会場の使用許可取り消しを撤回されることを強く要請するものです。

 なおこの抗議文は、「映画の自由と真実ネット」のホームページに掲載するとともに、マスコミ各社にも配布する予定です。

以上

映画の自由と真実を守る全国ネットワーク
代表委員 山田 和夫


10月8日付け朝日新聞より


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