映演労連第68回定期大会報告
10月17日(木)、映演労連は東京・文京シビックセンター5階C会議室にて第68回定期大会を開催しました。大会は、来賓のMIC・南 彰議長からの連帯挨拶、台風災害対応のため急遽欠席となった日本共産党・吉良よし子参議院議員からのメッセージ紹介の後、「安倍改憲に終止符を打ち、平和と立憲主義を取り戻し、言論表現の自由を守ろう!」「映演産業から格差と貧困、ハラスメントを根絶し、8時間働いて人間らしく暮らせる社会を実現しよう!」、「映演労連を拡大、強化して 映演労働者の生活と権利、雇用を守り、要求を実現しよう!」のスローガンの下、活発な議論を展開しました。
午後には来賓の全労連・小田川義和議長からも連帯挨拶を頂き、「情勢報告」や「運動方針案」提案後の会場討論では、各単組の代議員、執行委員から顧問も含めて、安倍9条改憲阻止の取り組みや、組合員の減少傾向にある単組や地連の組織の強化・拡大の取り組みにおける課題などが語られました。また、産別組織「映演労連」の存在意義と使命についての問題提起や、劇団地点を解雇されたAさんからの争議支援の訴え、亜細亜堂労組の闘いの現状とアニメ労働者の団結の課題、ハラスメントを容認する東映ラボ・テック経営者との闘いなど、多岐にわたって討議が行われました。
その上で大会は第68期の運動方針を採決し、新執行体制を確立しました。続いて大会は「大会宣言」「文化庁による補助金不支給を求める特別決議」を採択し、成功裏に終了しました。
映演労連は既に19秋闘方針を確立し20春闘準備も含めた秋年末の闘いを開始しています。映演産業に働く仲間が結集する労働組合として、憲法改悪を阻止し、平和と民主主義を守り、個人の尊厳を取り戻し、改悪労働法制の職場への導入を許さず、生活と権利を守りぬく闘いに全力を尽くしましょう!
- 第68期・主な映演労連役員
- 中央執行委員長
- 金丸 研治(松竹労組)
- 中央副執行委員長
- 飯野 高司 (日活労組)
- 南雲 真由美 (角川映画労組)
- 沼子 哲也(全東映労連)
- 書記長
- 梯 俊明 (松竹労組)
- 書記次長
- 竹中 博子 (松竹労組)
- 宮下 卓 (映演労連フリーユニオン)
大会宣言
本日、われわれ映演労連は第68回定期大会を開催し、一年間の闘いを総括し、大会に結集した仲間たちで活発な討論を行った。4月に「働き方改革」関連法が施行され、実質「残業代ゼロ法」ともいえる「高度プロフェッショナル制度」などの悪法が企業に導入されようとしたが、単組や産別の交渉を基に、われわれの職場からは導入を阻止した成果があった。
しかしながら、消費税は10%に増税され、今後の労働法制改悪や「アベノミクス」の失敗によるさらなる景気の悪化、格差と貧困の悪化が深刻さを増している。それにもかかわらず安倍政権は、年金財政の破綻を隠すために支給を延ばし、その為にわれわれを将来70歳まで働かせようとしているのである。そのような政策に断固抗議し、将来的にわたり安心して暮らせるような社会を実現するよう強く訴える。
また、地球温暖化による災害が頻発し、巨大台風が毎月のように日本列島を襲い、9月の台風15号が千葉県や伊豆諸島に莫大な被害を与えたのに続き、今度は10月に台風19号が日本の各地に甚大な被害を及ぼした。そのような激甚の被害状況にもかかわらず安倍首相は「自然災害で被害を受けるのは自己責任」とでも云わんばかりの軽視を決め込み、自らが先頭に立つような姿勢を見せない。そればかりか自民党の二階幹事長は「(この程度の被害で)まずまずに治まった」などと放言を発する始末である。われわれはこのような国民の命と尊厳を守ろうとしない無責任な政権を断じて容認することはできない。一刻も早い安倍政権の退陣を強く要求する。と同時に、全ての職場における従業員の安全・安心に資する防災体制の確立を呼びかける。
本日、われわれは映画・演劇産業の発展はもとより、言論・表現の自由の危機を打開するための闘い、労働法制改悪の断固阻止、憲法9条改悪反対、すべての原発ゼロと再稼働反対、「モリカケ問題」を中心とする安倍政権の数々の疑惑解明など、広く社会的課題にも取り組むことを決意した。平和と民主主義を取り戻し、平和憲法を護り、その社会において誰もが安心して生活し、人間らしい当然の権利を謳い、格差と貧困をなくし弱者を救済するためにも、映演労連のさらなる組織力、要求実現力を高めた運動を目指そう。
組そのためには全労連やMIC、地域共闘とも連帯し、あらゆる思いを共有できる仲間とともに、これからもさらに闘い抜くことをここに宣言する。
2019年10月17日
文化庁による補助金不支給撤回を求める特別決議
2019年10月14日「あいちトリエンナーレ2019」が75日の会期を経て閉幕を迎えた。
国内最大級の芸術祭の運営をめぐる紆余曲折は、私たち映演労働者が決して看過することのできない、この国の言論表現空間の、異常かつ深刻な現状を示している。
企画展「表現の不自由展・その後」は、「ガソリン携行缶を持って行く」というテロ予告や脅迫などを含む大量の抗議を受け、8月1日の開幕から3日で中止に追い込まれた。暴力による表現弾圧は断じて許されるものでない。
あいちトリエンナーレ実行委員会が設置した「あり方検証委員会」はこの間3回の会合を行い、9月25日に委員会としての中間報告案を発表し、「表現の不自由展・その後」について、「条件が整い次第、速やかに再開すべきである」との方向性が示す提言を大村知事に提出した。
しかしその翌日9月26日、文化庁は「文化資源活用推進事業の補助金審査の結果、補助金適正化法第6条等に基づき、あいちトリエンナーレへの補助金(約7800万円)を全額不交付とする。」と発表し、すでに採択通知が出された補助金を全額不交付とする理由として、「来場者を含め展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず、それらの事実を申告することなく採択の決定通知を受領した上、補助金交付申請書を提出し、その後の審査段階においても、文化庁から問合せを受けるまでそれらの事実を申告」しなかったことを挙げた。常軌を逸した判断であり、文化芸術基本法の前文で謳われた「文化芸術の礎たる表現の自由の重要性を深く認識し、文化芸術活動を行う者の自主性を尊重する」という理念を当該官庁が真っ向から否定し踏みにじる蛮行である。そして展覧会を妨害する脅迫行為に実質的に加担する検閲行為に他ならない。
この検閲行為は、国内の文化芸術活動を委縮させ、衰退させるものであり、その後進性を全世界に曝け出す愚行である。
その後10月8日に「不自由展」は再開され、抽選に定員の22倍超の観覧者が押し寄せたが、しかし菅義偉官房長官や河村たかし名古屋市長らはこの検閲行為を是認、称揚するかのような言動を繰り返している。
日本国憲法第二十一条は「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」ことを謳い、「 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」と規定している。
私たちが働く映画演劇産業は平和と民主主義、言論表現の自由なくしては成立しえない産業である。
私たち映演労連は言論表現の自由を蹂躙する文化庁の検閲行為に強く抗議し、補助金不支給決定を即刻撤回することを求めるものである。
2019年10月17日