映演労連は2010年3月23日、'10春闘行動の一環として初めての厚労省交渉を行いました。窓口は厚労省・労使関係参事官室の田沼久志氏です。
要請事項は労働者派遣法の抜本改正(とくに専門26業種の見直し)と、映画映像製作現場のフリー契約者への雇用保険の適用、の二点で、事前に要請書を送付しています。
まず、労働者派遣法の抜本改正についてですが、職業安定局需給調整事業課の坂本裕一係員が対応しました。
映演労連は、「映画映像製作の現場では、労働法違反がまかり通っていて、請負労働者が派遣されている」現実などを訴えました。
坂本係官は、「労働者性の問題がある。指揮命令があれば偽装請負だ。正しい請負になるよう指導する」「今年2月に専門26業務派遣適正化プランを出した」「改正派遣法案では、派遣先会社が期間制限を知らなかっただけでなく、まったく過失がないところまで証明されなければ、みなし雇用制度が適用される」などと答えました。
映演労連が、「専門26業務というが、派遣されてきた新人スタッフを現場で教育している状況だ。賃金など労働条件も一方的に押し付けられる。専門26業務は製作会社の雇用責任を免罪しているだけでなく、人材育成をも阻害している」などと指摘すると、坂本係官は「直用にすれば良いのか?」などと返答したので、「映画映像産業のためにも、映画・映像労働者の最低限の社会保障を作る必要がある。製作現場の実態を調査し、専門26業務を抜本的に見直してほしい」と訴えて、この問題の交渉はタイムアウトになりました。
次のフリー契約者への雇用保険の適用問題は、職業安定局雇用保険課の松岡宗寛・適用係長が対応しました。
映演労連は、「今国会に提案されている改正雇用保険法は、非正規労働者の適用範囲の拡大を目的に適用基準が『31日以上雇用見込み』に緩和されるが、映画映像産業で働くフリー契約者にもこれが適用されるのかどうか」問いただしました。
松岡係長は、「適用されるが、フリースタッフが労基法上の労働者でなければならない」と答えたので、映演労連は「労働者かどうか、雇用保険を申請するたびに裁判を起こして地位確認を求めろと言うのか」と詰め寄った。すると係官は、「労働者かどうか、当該の労基署に申告して判断してもらえば良い」と答え、「請負かどうかが問題で、労働者と判断されれば、あとは作品ごとに31日以上の雇用見込みがあるかどうかという適用要件の問題になる」と答えました。
映演労連は、「『水戸黄門』などの連続テレビドラマは2班立てでスタッフ編成され、契約期間が2週間ずつのレンガ積みになるが、実態は31日以上拘束されている」などの実態を訴えた。係官は、「それは書面などで確認できるか」などと問うたので、「途中で役者の都合などで空きができることがあり、その場合別の作品に付いた方がよいので、ローテーションを固定しないこともあるが、おおよそは1クールとか、2クール拘束される。それは確認できる」と答えました。