映演労連 '17 春闘方針

2017年1月24日 映演労連第1回中央委員会

★STOP戦争!STOP改憲!平和と民主主義、働くものの雇用と権利を守るため、生存権をかけた闘いとして2017年春闘を闘い抜こう!
★映演労連を拡大強化し、要求実現力を強化して産別春闘に取り組み、すべての映演労働者の労働条件向上と雇用確保のために闘おう!
★映演産業から過労死・過労自殺を根絶しよう!

I. '17春闘をめぐる情勢

1. 政治・経済の情勢

 日米開戦から75年目に安倍首相が真珠湾を訪問した。安倍首相は「戦争の惨禍は、二度と繰り返してはならない」と、「平和国家」を国際社会に改めて発信した。その首相が強行成立させた戦争法に基づき、「駆け付け警護等」の新任務が付与され、自衛隊が南スーダンPKOへ出発した。稲田防衛相は、「駆けつけ警護は人道性等に鑑みて対応できる範囲で行う」と強調したが、これにより日本は、「戦争できる国家」へと変貌した。そして現行憲法の施行から70年の今年、強引に改憲を推し進めようとしている安倍政権の動きにも注視しなければならない。
 また1月20日召集の通常国会で、「共謀罪」法案の提出を検討している。安倍首相は、「法案の成立はテロ対策で国際条約上、各国連携のために必要であり、2020年東京五輪・パラリンピック開催のための法案だ」と主張しているが、「共謀罪」法案は会話や相談も犯罪になる恐れがあり、憲法で保障された思想信条の自由など基本的人権を侵害する。沖縄の基地反対運動、原発政策批判、そして私たち労働組合の活動も処罰対象にされかねない。安倍政権はこの法案も戦争法同様に、数の力で強行に押し切るつもりかもしれないが、絶対に許されないし許してはならない。
 経済に目を向ければ、デフレ脱却を促すアベノミクスの誤りと日本経済の低迷が浮き彫りになった。目玉政策の金融緩和は次第に「黒田バズーカ」が不発になり、経済成長の実感が持てない上、2%のインフレ目標も「2018年度ごろ」と5度目の先送りをし、デフレからの脱却には程遠く、とても成功したとは思えない。
 大企業の内部留保は313兆円に積み増すが、株主への配当の強化へ回っており、労働者の賃上げには還元されない。また「同一労働同一賃金」は、実は全労働者に賃金切り下げを押しける道具であることが次第に明らかになってきた。
そしてTPP協定が国会で承認されたが、米国のトランプ新大統領は1月23日、TPP永久離脱令に署名し、発効は絶望的になった。トランプ政権の誕生は、日本に対し米国追随ではない、アジア重視の主体的外交の必要性を喚起しているのではないか。「日米同盟一辺倒」からの大きな転換が求められる。
 平成29年度一般会計予算案は、医療・介護費用などの自己負担が拡大、将来に借金を回して膨張予算を続け、97.5兆円と過去最大を更新する一方で、防衛費は中国や北朝鮮の対応として5兆1251億円と5年連続の増加。厳しい財政状況下では突出した「厚遇」である。これでは周辺国へ軍備増強と捉えられるのは必至である。
 17春闘は改憲、「共謀罪」法案、労働法制改悪に反対し、安倍政権から「平和国家」を取り戻すための闘いが重要である。

2. '17春闘をめぐる経済界、労働界の動き

(1) 経済界の動き

 日本経団連は1月17日に発表した「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)の中で、「年収ベースの賃金引上げ」について、「定期昇給やベースアップ、賞与、一時金の増加など『多様な選択肢』から見出すべき」として、賃金抑制の姿勢を示し、大手企業と中小企業の格差是正には「中小企業の経営者の理解は得られにくい」と格差を容認、313兆円に達すると言われる内部留保に ついては「『成長投資』の原資」と居直り、内部留保の活用による賃上げを否定した。
また過労死・過労自殺の原因である長時間労働の規制についても、「無制限な残業」を可能とする「抜け穴」づくりを要求するなど、働くものの生活と権利を一顧だにしない方針を打ち出している。
 安倍政権は、大企業向けの減税を毎年のように行い、3年で4兆円減税した。大企業優遇税制で空洞化した税収を埋めているのが消費税である。安倍政権が14年4月に強行した消費税増税は、個人消費を冷え込ませ、日本経済の低迷の要因となっている。
 労働法制では「同一労働同一賃金の実現に向けて」(16年7月提言)の中で、不合理な待遇差の是正など美辞麗句で表面を飾り立てながら、「賃金は役割や仕事への貢献度への期待」と強調するほか、労働時間問題では「上限規制は一律で決めるべきではない」と会長自らの発言でけん制し、派遣法改悪に引き続いて「アベ働き方改革」と表裏一体の「残業代ゼロの過労死促進」「解雇金銭解決」といった危険な法案の成立に躍起だ。

(2) 労働界の動き

 連合は昨年11月開催の中央委員会で「ベア2%程度を基準(定昇と併せて4%程度の要求)」などの17春闘方針を決定した。要求基準はほぼ前年通りで、4年連続のベア要求である。しかし、アベノミクス破たんなど先行きの不透明感からか、自動車総連などは2年連続で連合基準の半分(ベア3,000円以上)程度の低調な方針となっている。
 「アベ働き方改革」に対しては実効ある規制強化策を求めており、この点では労働戦線の違いを超えた取り組みも期待されている。
 全労連は1月の評議員会で月額2万円以上、時間額150円以上の統一要求基準を設定し、アベ政治による二つの暴走(1、戦争する国づくり 2、大企業優先のグローバル競争国家)によって生じた格差・貧困の下で取り組む17春闘を歴史的岐路と位置付け、3月の回答集中日、翌日(16日)にストライキを軸とした大規模な総決起行動を決意した。
 「アベ働き方改革」では、その狙いがアベノミクス破たんの誤魔化しと同時に、雇用のさらなる流動化にあることを早々に指摘し、真の雇用制度改善を求めるとともに、政財界が企図する成果による賃金決定や自己責任的な労働の在り方に正面から対峙する構えである。

3. 映像産業の情勢

(1) 映画産業の情勢

 映連が1月24日に発表した2016年全国映画概況によると、2016年の映画界は、興行収入が2355億800万円(前年比108.5%)となり、2000年の興収発表以来最高を記録した。内訳は、邦画が1486億800万円(前年比123.5%)、洋画が869億円(前年比89.8%)で、邦画が大幅に伸びた。構成比は邦画63.1%:洋画36.9%。
 入場者数も増えて、1億8018万9000人(前年比108.1%)。公開本数は1149本(邦画610本、洋画539本)、スクリーン数は3472(前年比35増)だった。
 2016年の映画業界は、昨年に引き続いてアニメーションが存在感を示し、国内での興行収入トップ10のうちアニメーション作品が7作品を占めた。

 中でも8月に公開された『君の名は。』はロングランを続け、235.6億円の興収を記録している。この数字は2001年公開の『千と千尋の神隠し』(興収308億円)に次ぐ邦画歴代2位の数字であり、洋画を含めても、国内興収歴代4位を記録している。『君の名は。』以外では『ズートピア』『ファインディング・ドリー』といったアニメーション作品も牽引した。

 新たな可能性を示したアニメーション作品として、昨年11月公開の『この世界の片隅に』にも言及したい。製作費2.5億円のこの作品は、当初63館での公開だったにも関わらず、SNSを中心に評判が伝わり、12月末になっても公開館数を増やしている。また、本作の制作にあたっては、国内の映画ジャンルにおいては最多かつ最高額である約3400人による3900万円以上の資金がクラウドファンディングによって投じられている。映画業界における「SNSによる宣伝効果」「クラウドファンディング」、これらの可能性を示す作品になったと言える。

 ここで改めて昨年の作品別興収を見てみると、1位『君の名は。』235.6億円、2位『スター・ウォーズ フォースの覚醒』116.3億円、3位『シン・ゴジラ』82.5億円、4位『ズートピア』76.3億円、5位『ファインディング・ドリー』68.3億円、6位『名探偵コナン 純黒の悪夢』63.3億円、7位『妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』55.3億円、8位『ONE PIECE FILM GOLD』51.8億円、9位『信長協奏曲』46.1億円、10位『ペット』42.5億円となっている。

 続いて、興収成績を配給会社別に見ていきたい。邦画では、東宝が854.3億円(前年比116.8%)という過去最高の興収を記録した。4本もの作品で50億円以上の興収を記録したことなどが起因した。松竹も興収10億円以上の作品が8本、うち3本は20億円を超えた。年間興収は187.4億円で、前年比161.9%となった。東映も『ONE PIECE FILM GOLD』のヒットなどにより、興収149.6億円(前年比136.7%)を記録している。外国映画では、『スター・ウォーズ フォースの覚醒』や『ズートピア』を配給したディズニーが圧倒的な力を見せた(興収337.5億円)。

 さて、2016年は劇場施設の進化が進んだ1年でもあった。ユナイテッド・シネマなどが積極的に導入を進める4DXは16スクリーン増加して計49スクリーン、TOHOシネマズが導入しているMX4Dは6スクリーン増加して計17スクリーンとなった。また、高品質の視聴体験を売りにしたIMAXデジタルシアターも6スクリーン増加し、計28スクリーンとなっている。
また、2015年11月に公開された『ガールズ&パンツァー劇場版』は3ヶ月間で興収12億円を記録した後、4DX版を上映したことで熱を取戻し、最終的には24.4億円を記録した。4D上映が功を奏した一例と言える。

 だが一方で、資金力に劣る老舗映画館は、これまで以上に苦戦を強いられている。昨年一年間でミニシアターを中心に10館以上の映画館が姿を消し、映画館が無い地方都市も今や珍しくない。また、映画業界で働く労働者を見ても、製作スタッフや映画館労働者、アニメーターなど、厳しい労働環境に身を置く人材が目立つ。映画業界全体の好調の陰で、改善すべき問題は山積している。

(2) 映像ソフト・配信産業の情勢

 JVA(日本映像ソフト協会)発表の2016年1月から11月のビデオソフト売上累計は1778億9600万円で、前年の同期と比べても93.9%と、ほぼ例年と同様に数字を落としている。内訳はDVDが1020億4500万円で前年同期比93.4%、BDが758億5100万円で前年同期比94.6%と減少に転じている。

 DVDはセルが607億600万円(特殊ルート含む)で前年同期比95.9%、レンタルは504億1000万円で、前年同期比87.9%と目減りしている。

 BDはセルが720億8900万円で、前年同期比93.8%に減っているが、レンタルは40億400万円で、前年同期比102.5%と引き続き純増している。欧米などはパッケージから配信にほぼシフトしているが、日本は完全には移行できない特殊な側面があり、撤退などの方針を打ち出しづらい事情もある。

 有料動画配信は2015年に961億円を記録。2016年度中では1130億円を突破する勢いである。視聴層は、10代~20代はスマホでの視聴が多く、30代以上ではPCでの視聴が中心である。家庭のテレビで見られる環境が整い、シェアを拡大させる要因になっているが、その一方でエイベックスがソフトバンクと合弁で行なっている音楽・映像定額配信サービスの「UURA」が3月末を以って終了と、撤退のケースも出始めている。

 NetflixやHu-luなどの大手配信事業者は、独自のコンテンツを確保するためにドラマなどの映像制作に乗り出し、制作スタッフが足りなくなる状況が続いている。また放送やビデオなどにある業界自主規制団体が存在しないがため、放送コードの基準に抵触しないインパクトのある作品が作られる傾向が見られ、倫理面での悪影響の問題が危惧される。

(3) アニメ業界の状況

 2016年のアニメ業界は、明るい話題と暗い話題の双方で尽きない一年であった。
 明るい話題としては、映画産業の情勢で詳しく書かれているので割愛するが、一方でアニメにおけるパッケージビジネスが徐々に崩壊しつつある。インターネットの普及でパッケージの金額が高額になり、数話ごとの入れ替えや収納スペースの限界といったマイナス要因によって購入者が減ったことで、パッケージビジネスは厳しくなった。

 しかしながら製作委員会方式としては、「海外販売」や「商品化」が根強く残り、ビデオ以外での回収を目指すようになったため、未だにアニメーション自体での収益を望んでいる。しかし、制作現場はこの実態に対して対応ができない状況に陥っている。

 2016年のテレビアニメーションの10月期で、数本の中止や延期が出た。2010年には57本だった深夜アニメが2015年には170本を越え、2016年はそれ以上の本数であったことから、既に制作のキャパシティの限界を超えたために、放送中止や延期が続発したと考えられる。

 アニメーターを取り巻く労働環境は決して明るい状況ではなく、業界全体で考えていかなければならない問題にまで発展しつつある。製作委員会や原作の出版社が利益を出しても、アニメ制作会社には利益が還元されず、2015年の㈱マングローブに続き、2016年11月にはスタジオ・ファンタジアなど倒産に追い込まれるケースも出てきた。

4. 演劇界の情勢


 演劇界では、宝塚歌劇でトップの交代が続き、節目の年となった。また、劇団四季の『ライオンキング』のロングラン公演、堂本光一さん主演舞台『Endless SHOCK』が上演1400回など記録を更新。一方で、演劇界を牽引(けんいん)してきた第一人者の訃報(平幹二朗さんら)も相次ぎ、悲しみが広がった。

 東宝の昨年中間決算では演劇事業部門の収益は、自社公演のほか全国展開する社外公演も含め営業利益で130億300万円(同14.1%減)となっている。

 松竹では歌舞伎座再開場から3年が経過してもなお、演目の工夫や3部制興行の実施などにより、昨年中間決算で売上高118億7400万円(前年同期比8.4%減)、セグメント利益は7億5700万円(同32.0%減)と、南座の長期休館の影響を受けつつも一定の水準を維持している。

 首都圏でホールや劇場が改修などのため相次いで閉鎖する「2016年問題」が起きているが、大阪でも昨年5月末に大阪市中央区の劇場「シアターBRAVA!」が閉館するなど、消費税増税以降経営に苦しむ中小劇団にとって追い打ちをかける事態となっている。
芸団協も呼び掛ける「文化省創設キャンペーン」に舞台関係者も呼応しているが、そこで目指している文化芸術立国とは程遠い現実がある。

II. '17春闘の課題と取り組み

1. '17春闘の基本的な構え

  1.  戦争法の廃止、憲法改悪、辺野古の新基地・高江ヘリパッド建設、原発再稼働、労働法制大改悪の断固阻止、映演各社の経営危機打開、平和と民主主義を取り戻し、働く者の生活と権利を守るため、生存権をかけ'17春闘を闘う。
  2.  映演労連を拡大強化し、要求実現力を強化して、単組でのベースアップ獲得と大幅賃上げ、非正規労働者の雇用と労働条件改善をめざし、本格的な産別春闘をさらに進める。

2. '17春闘の基本要求

  1.  生計費原則に基づいて活発な要求討議を行い、生活防衛、生活向上に足る賃上げ、一時金の獲得をめざして17春闘を粘り強く闘っていく。
  2.  産別賃上げ要求では、「映演労働者に誰でも15,000円以上」の大幅賃上げ、すべての時間給労働者に時給150円以上の賃上げを勝ち取る。
  3.  定昇制度を確立している企業に対しては定昇の維持とベースアップを要求する。また、4月昇給を実現していない企業に対しては直ちに4月昇給を実現するよう要求する。
  4.  産別最賃制は、1日7.5時間、週5日間労働で、月額195,000円、日額9,750円、時給1,300円(=いずれもキャリア・ゼロの場合)とし、映演各企業との協定化を迫る。企業内最賃制の確立を各単組の春闘要求書に盛り込む。
  5.  映演各社の労働条件調査を進めて「映演労連2017春闘要求書」と「産別統一労働協約案」を充実させ、映演産業の労働諸条件、諸制度の均一化と底上げをめざす。「パワハラ防止規定」の制度化をさらに進める。
  6.  派遣切りや改正労働契約法を悪用した有期雇用の雇い止めを許さず、非正規労働者の雇用と権利を守る闘いに全力をあげる。
     映演産業を支えるフリー契約者、非正規労働者がまともに生活できる労働条件をめざし、賃金アップ、均等待遇の実現、労働基準法適用、社会保険の適用など労働条件と雇用契約の改善を要求していく。特に労基法適用闘争を重視し、「業務委託契約」を口実にした偽装請負を糾弾する。契約社員等の社員登用制度を各企業に迫る。また、映演各社に直接雇用を原則とすることを求める。
  7.  「映演産業からの過労死・過労自殺の根絶」を労働組合としての至上命題とし、長時間労働とサービス残業の解消をめざす。全事業所での三六協定締結を迫るとともに、特定条項の廃止に向けて議論を開始する。「継続労働15時間」「勤務間インターバル11時間※」「週の実労働時間60時間以内」「週1回の休日」を映演産業のルールとさせる。年間所定内労働時間1800時間以下の実現をめざす。
     ※勤務間インターバル…①終業時刻より連続した11時間の休息を保障する②インターバルが翌日の始業時刻に差し掛かる場合は労働したものとみなし賃金控除しない③インターバル内に就業させる場合は25%の割増賃金を支払う
  8.  映演各社に、十分な防災対策、震災対策を講じるよう求める。
  9.  安倍「働き方改革」の虚偽性を糾弾する。サービス残業を合法化する「残業代ゼロ制度」、首切り自由化を促進する「解雇の金銭解決制度」など、雇用破壊につながる労働法制の大改悪に断固反対し、これを阻止する。
  10.  

    3. '17春闘の具体的な取り組み

    1.  「映演労連17春闘要求の実現と産別統一労協の締結、リストラ合理化反対、戦争法廃止、過労死・過労自殺の根絶、労働法制改悪阻止、映演産業の危機打開のためのストライキ権」を2月下旬に確立する。
    2.  各労組の要求書はできるだけ早めに提出し(2月20日前後)、映演労連団交は各単組の回答が出る前の3月~4月中旬までに集中させ、産別春闘の実効性をさらに向上させる。また各単組の団交には、必要に応じて映演労連役員が参加する。
       労働条件改善要求の内、インターバル規制など、労働時間をテーマに17春闘の核となる重点要求を設定し、独自の制度案を策定・提示して各社に改善を迫る。
    3.   2月24日の「MIC2017春闘決起集会」、3月16日の「国民春闘共闘全国統一行動」「映演労連産別スト」(映演労連統一行動)、3月17日の映演労連17春闘セミナー「アベ働き方改革のウソを暴く」、4月7日の「夜の銀座デモ」(映演労連統一行動)、4月18日の「映演労連統一行動日」、毎月19日に取り組まれる「19日行動」、5月1日「第88回メーデー」(映演労連統一行動)などに積極的に取り組み、産別統一行動を強化して17春闘を盛り上げていく。5月連休明けの闘いも重視する。
       政府・経団連などへの要請行動にも取り組む。厚労省交渉、経産省交渉、文化庁交渉等に継続的に取り組む。
    4.  国民春闘全国統一行動に呼応し、3月16日に「17春闘要求実現、戦争法廃止、労働法制改悪阻止、過労死・過労自殺根絶」をメインテーマに産別統一スト(10~15分間程度/映演労連統一行動)を構える。併せて映演労連ニュース・スト特別号を全組合員に配布する。
       映演労連の一斉回答指定日は4月13日(木)に設定し、その4月18日(火)を映演労連統一行動日として単組独自のストを含め、昼休み集会や社前集会、時間内組合活動などを行い、映演各社に一斉回答を迫る。
       その意思統一と準備のため、オルグ・教宣活動を積極的に展開する。また、妥結日も揃えるよう努力する。回答速報体制を強化し、映演各社の労働条件調査を充実させる。
    5.  組合員全員で闘う春闘をめざし、全組合員が一度は春闘行動に参加することを組織する。
    6.  「労働者派遣法の抜本的改正」「最低賃金・今すぐ全国一律1000円、将来的に1500円」の実現に向けて行動し、全労連や国民春闘共闘委員会が提起する行動に最大限参加する。
    7.  映演各社に、高齢者雇用安定法を遵守し、65歳定年延長も視野に、雇用と年金の連携がはかれるよう60歳代前半の雇用確保を要求する。60歳以降の賃金は、60歳到達時と同等とするよう要求する。
    8.  映演産業に致命的な打撃を与える消費税増税と社会保障制度の改悪に反対し、国内産業と国民生活を破壊するTPP協定からの即時撤退を求める。

    4. リストラ「合理化」、雇用破壊に反対し、職場と権利を守る闘い

    1.  映演各企業の経営危機には機敏に対応し、雇用と職場の確保を第一に闘いを構築する。資本の勝手なM&Aは許さない。リストラ「合理化」攻撃に対しては、産別ストを背景に闘う。各企業ごとの経営分析・対策会議を再開する。日ごろから経営チェック能力を高めるとともに、事前協議制を確立する闘いを進める。また、執行委員セミナー「経営批判闘争の進め方」での学習を通じ、経営責任・雇用責任を厳しく追及する。経営者の横暴を許さない闘いを強化する。
       労基法違反、労働契約法違反、派遣法違反、不当労働行為などの違法・脱法行為の一掃を目指す。契約労働者の労働基準法適用を闘い取る。
    2.  映演関連争議などリストラ「合理化」に備え、争議対策委員会を継続し、職場と雇用を守る闘いに全力を挙げる。15年春にリストラ「合理化」を強行した㈱KADOKAWA及び親会社カドカワ㈱の動向を注視する。また㈱角川大映スタジオの組合への不当労働行為が再発しないよう注視する。㈱KADOKAWA全従業員の労働条件整備に際しては、不利益変更を生じさせない闘いを行う。また、㈱KADOKAWA従業員と(株)角川大映スタジオ従業員との間での格差の発生を許さない闘いを構築する。㈱角川大映スタジオでの組合への不当労働行為が再発しないよう注視する。
    3.  フリーユニオン争議を全面的に支援し、早期の勝利解決を目指す。
    4.  産別組織映演労連として労働相談を本格化させ、映演産業労働者の雇用と職場を確保するとともに、いっそうの団結を図る。
    5.  JAL、IBM不当解雇撤回の闘いや、MIC争議団、全労連争議団の勝利をめざして積極的に支援する。

    5. 映演産業の基盤拡充と映演文化発展をめざす闘い

    1.  2012 年11月29日付「フィルム映画文化の維持と映画原版保存に向けた要請書」に基づき、映演労連内で議論を深め、映画各社や業界団体、内閣府知財本部など関連省庁との協議・意見交換を継続する。文化芸術議連にも働きかけ、国と産業全体で原版保存問題の解決に向けた道筋をつけさせる。
    2.  長らく続く映演文化予算の縮減傾向に強く抗議し、日本映画への公的助成の拡大をめざす。映画の表現の自由を守り、公的助成の拡大を進めるために、多くの映画人、映画団体と共同して闘う。
    3.  「映画振興要望書」や「日本映画振興基金」「映画原版保存要請書」の背景となる運動を強化するため、映職連や日映協、JAniCA(アニメーター演出協会)、映連などとの懇談を継続する。製作・配給・興行の現場で働いている組合員を集めた部門別会議や産業政策委員会を行う。
       それらの活動の成果を活かして経産省と文化庁に対する「映画振興要望書」を作成し、5~6月段階で経産省交渉と文化庁交渉を行う。
    4.  映演労連の中で演劇文化と舞台美術の振興に関する議論を更に喚起し、「演劇文化振興に関する要望書」を策定したうえで文化庁交渉を実現する。
    5.  各省庁の対応を形式的な「要望への回答」に終わらせず、実情の改善につながる回答を引き出すよう工夫する。特に文化庁当局に交渉への真摯な対応を求める。
    6.  JAniCA(アニメーター演出協会)との懇談の成果を踏まえ、「アニメ産業改革の提言」をさらに充実させ、アニメ関係者とアニメ業界に広めて大きな共同を目指す。アニメ分野の活動を強化する。
    7.  放送局の一方的な番組製作費削減や権利剥奪など、放送局と番組制作会社の不公正な支配関係の改善をめざして行動する。

    6. 憲法改悪阻止と、平和と民主主義を守る闘い

    1.  戦争法廃止、憲法改悪阻止の闘いを'16春闘の最重要課題に位置づけ、それを中心に平和と民主主義を守る闘いを創意工夫して進める。平和を求めるすべての団体・組織・市民と連帯し、憲法違反の戦争法廃止を目指す。
    2. 「映画人九条の会」の発展に向けてよりいっそう努力する。総がかり行動実行委員会「戦争法廃止2000万人統一署名」、「19日行動」に積極的に取り組む。憲法改悪(明文改憲・解釈改憲)の策動に断固反対して闘う。
    3.  普天間基地の無条件返還を求め、辺野古への基地移設強行を断固として阻止する。欠陥機オスプレイの基地配備を撤回させ、アメリカ追従の外交政策に反対して日米安保条約の廃棄をめざす。
    4.  国民の知る権利や言論表現の自由を奪い、日本を監視社会化させる秘密保護法の廃止に向けた取り組みに全力を傾注する。メディアの報道を監視し、不公正報道には機敏に抗議する運動を進める。
    5.  国民の生命を危険に曝し続ける原発依存のエネルギー政策を、再生可能な自然エネルギー利用へ抜本的に転換させる。原発再稼働、海外輸出を許さず、原発ゼロの実現に全力を傾注する。
    6.  震災復興に乗じた大企業中心の「構造改革」強行に反対し、被災者本位の復興事業を実現させる。
    7.  地球温暖化防止の運動を盛り上げるため、公害・地球懇が製作し、映演労連が制作協力したDVD「地球の温暖化をとめて2 未来につなげ!」の普及と上映運動を進める。
    8.  平和運動推進委員会の自主的な活動を一層強化する。
    9.   国政選挙や地方選挙を通じて参政権を行使することが、平和と民主主義を破壊し生存権を脅かす悪政を正し、労働者・国民の声を実現する絶好の機会と位置付け、政党支持の自由・政治活動の自由を完全に保障しつつ組合での政治論議を強め、政治意識を高めて国民本位の政治の実現を目指す。

    7. 組織拡大と組織改革の闘い

    1.  組織拡大プロジェクトを再開し、組織人員を1,200人台に戻す計画を策定し春闘で実践する。各単組は会社従業員の過半数の組織化をめざす。「組織拡大ロードマップ」を各単組で責任を持って具体化し、実践するとともに、毎月の進捗を点検する。日本舞台芸術家組合の組織拡大・強化に力を集中する。
    2.  映演労連フリーユニオンの拡大と、多発するフリーユニオン争議に対応できる体制をつくる。
    3.  教宣活動を重視し、「映演労連ニュース」「映演労連ホームページ」「パソコン・ネットワーク」をより充実させる。調査活動については各労組と連携を強化し、産業情報の集中と主要労組の労働条件を集約し'16春闘の核となる重点要求設定に活用する。回答速報体制を強化する。
    4.  各労組とも、全労連初級教育制度「わくわく講座」の受講を拡げる。
    5.  映演労連事務所の移転を早期に計画し、6~7月を目途に実現する。

    III. 産別スト権の確立

     '17春闘では産別スト権を確立して闘う。高率での確立をめざす。

    IV. '17春闘の主な闘争スケジュール

    予定
    1月 25日〜26日 全労連評議員会
    30日 スト権投票開始
    31日 17国民春闘決起集会(19:00~杉並公会堂)
    31日 17国民春闘決起集会(19:00~杉並公会堂)
    2月 15日 第2回安倍「働き方改革」批判検討会(18:30~全労連)
    全労連民間部会ディーセントワーク街宣行動
    16日 五労組懇(19:00~東宝)
    19日 ●2・19総がかり行動─格差・貧困にノー!!みんなが尊重される社会を!─(13:30~14:30日比谷野音/終了後銀座パレード)
    20日頃 (18:50~日本橋公会堂)【映演労連統一行動日】
    24日 映演労連第4回中執(15:00~文京シビック3C)、産別スト権投票締め切り
    MIC17春闘決起集会(18:30~文京区民センター3A)
    27日 産別スト権集約
    3月 2日 映演労連第2回中央委員会/中央闘争委員会(18:45~文京シビック4B)
    4日 ▲反原発行動・日比谷野音(予定)
    8日 17春闘中央決起集会(12:15~日比谷野音、13:15~国会デモ)
    9日 映演労連フリーユニオン第4回執行委員会(18:45~映演労連))
    15日 17春闘集中回答日
    16日 17春闘50万人統一行動日・映演労連一斉ストライキ!【映演労連統一行動日】
    MIC17春闘デモ(18:45虎ノ門~国会)
    17日 映演労連17春闘セミナー「アベ働き方改革のウソを暴く」(18:50~文京シビック4B)【映演労連統一行動日】
    22日 第3回安倍「働き方改革」批判検討会(18:30~全労連)
    25日 ▲プリントパック争議支援市民集会(13:30~文京区民センター3A)
    下旬
    映演労連フリーユニオン第5回ワンコインミーティング
    (講師・神山征二郎監督/18:50~場所未定)
    4月 7日 DNP本社社前宣伝行動(昼)、MIC争議支援総行動(午後)
    13日 映演労連一斉回答指定日、MIC神保町デモ(12:10錦華公園集合、12:25デモスタート)
    18日 映演労連統一行動日【映演労連統一行動日】
    26日 労働法制の抜本改正を求める決起集会(18:30~全労連)
    5月 1日 第88回メーデー&映演労連大交流会【映演労連統一行動日】
    3日 ●憲法集会(13:00~有明防災公園)
    以上