2016年 月 日
●●●株式会社
代表取締役社長 ●●●● 殿
代表取締役社長 ●●●● 殿
2016年春闘要求書
私たち映画演劇労働組合連合会(映演労連)は、本年1月25日に第1回中央委員会を開き、以下の通り2016年春闘要求を決定しました。
映演労働者の労働条件改善と映画演劇産業の発展のため、貴社との団体交渉を申し入れるとともに、早急に誠意ある回答を要請します。
記
なお映演労連は、本年度の回答指定日を4月13日(水)に設定しましたので、各社とも4月13日に回答されるようお願いいたします
- 2. 賃上げと労働条件改善に関する要求
- 一昨年来の消費税増税と物価の上昇は実質賃金の低下とあいまって、私たちの生活を直撃しています。映演労働者の生活防衛、生活向上をめざし、「生計費原則」に基づいて映演各社とも積極的な賃上げを行うことを強く要求し、すべての映演労働者に15,000円以上の賃上げを行うよう要求します。また、すべての時間給労働者に「時給150円以上(昨年130円)」の引き上げを行うよう要求します。 (映演労連16春闘の重点要求)
- 映演産業の産業別最低賃金と企業内最低賃金を、月額19万5千円以上、日額9,750円以上、時給1,300円以上(=いずれもキャリア・ゼロの場合、昨年は月18万・日9000円・時1200円、全労連13年公表による家計調査=25歳単身者16.8万/月も根拠)とし、企業内最低賃金協定を締結するよう要求します。(映演労連16春闘の重点要求)
- 定期昇給を制度化している企業は、定期昇給の維持とベースアップを要求します。また、四月昇給を実施していない企業は、直ちに四月昇給を実施するよう要求します。
- 別紙提出の「産別統一労働協約案」「パワハラ防止規程案」に基づき、貴社と映演労連との統一労働協約の締結を要求します。 (映演労連16春闘の重点要求)
- 「成果主義賃金」と「裁量労働制」の導入に反対するとともに、すでに導入した企業は制度の見直しを要求します。
- 映演労働者の生活防衛、生活向上のため、夏季―時金については昨年を上回る一時金を支給するよう要求します。契約社員、契約労働者、アルバイト労働者、パート労働者などにも夏季―時金を支給してください。
- 労働契約法20条の趣旨をふまえ、非正規労働者と正規労働者との均等待遇をはかるよう要求します。
- 契約社員、契約労働者、アルバイト労働者、パート労働者に、労働条件の最低基準を定めた労働基準法を適用するよう要求します。「業務委託契約」を口実にした偽装請負などは直ちに改善してください。
また、加入条件を満たしている契約労働者、アルバイト労働者などを雇用保険に加入するよう要求します。 - 映演各社ともメンタルヘルス・ケアに努め、有給休暇の消化と長時間労働の解消に努力してください。
週休2日制・週実働35時間・年間所定内労働時間1800時間以下の実現をめざすとともに、ワーク・ライフ・バランスを就労の原則とし、ディーセントワークが実現するよう努力してください。
具体的には全事業所での36協定締結(無原則な特別条項の導入をしないこと)、月45時間を超える超過勤務の割増率を50%、、未払い残業・サービス残業の根絶、継続作業15時間以内、非召集(インターバル)11時間以上、週の実労働時間60時間以内、週1回以上の休日に向けて制度改善するよう要請します。(映演労連16春闘の重点要求) - 高年齢者雇用安定法を遵守し、定年延長も含め、雇用と年金の連携がはかれるよう60歳代前半の雇用を確保するよう要求します。60歳以降の賃金は、60歳時と同等とするよう要求します。
- 映演各社とも改正・男女雇用機会均等法に則り、性差別禁止、間接差別の禁止、安心して妊娠・出産・育児ができる職場環境を作るよう要求します。併せて、介護離職者ゼロの実現を目指した措置を講じ、職場と家庭の両立が可能な労働諸条件整備を進めてください。
- 育児・介護休職制度の見直しと子育て支援制度の充実を要求します。改正育児・介護休業法に積極的に対応し、職場と家庭の両立が可能な労働諸条件整備を進めてください。
- 人員不足による労働強化と職能継承の危機は、企業そのものを疲弊させていきます。映演各社とも、人員補充と人材育成に真剣に取り組んでください。
- 住宅手当・家族手当の増額、退職金制度の維持拡充、福利厚生の充実を含めた職場環境の改善などの諸要求についても、誠意をもって回答されるよう要求します。
- 映演各社は十分な防災対策、震災対策を講じて下さい。
- 労働者派遣法の抜本的改正、最低賃金・全国一律時給1,000円以上の実現にご協力ください。
- 3. 女性労働者の地位向上と母性保護に関する要求
- コース別採用差別、昇進・昇格・昇給格差をなくすよう要求します。
- 生理休暇、出産休暇、育児休暇、介護休暇、有給休暇などの社内諸制度について、契約社員、契約労働者、アルバイト労働者、パート労働者などにも適用するよう要求します。特に、育児・介護については今国会における改正案を上回る内容で改善し、仕事と家庭の両立実現を目指してください。
- 女子保護規定を遵守し、母性保護の拡大など女性労働者の労働環境改善をめざすよう要求します。また、女性労働者の深夜労働を減らすよう要求します。
- 4. リストラ「合理化」反対、雇用と経営に関する要求
- 映演各社は雇用に責任をもち、雇用の継続を最優先するよう要求します。
- 経営のツケを労働者にしわ寄せしないよう要求します。労働者犠牲の一方的なリストラ「合理化」は行わず、「整理解雇の4要件」を守り、従業員に経営展望を示すよう要求します。希望退職の募集や早期退職優遇措置の開始にあたっては、当該労組と事前の協議を尽くすことを要求します。
東映は東映ラボ・テック労働者の雇用に責任を持つよう要求します。また、東映太秦映像スタッフの雇用継続に責任を持つよう要求します。
KADOKAWAに対しては更なる希望退職や退職強要をしないよう求めます。また、全従業員の労働条件均衡を図る際には事前協議を厳守し、不利益変更を行わないよう要求します。また、角川大映スタジオ従業員との間でも格差が生じないよう要求します。
日活は撮影所運営について撮影機能の維持拡充とともに、職能の維持に努めるよう要求します。(映演労連15春闘の重点要求) - 「派遣切り」や有期契約労働者の「雇い止め」を行わず、アルバイト労働者、契約労働者、派遣労働者の雇用と権利を守るよう要求します。
有期労働契約は臨時的・一時的業務に限定し、1年以上、または2回以上契約更新した契約労働者は、常用雇用労働者としてください。また、契約社員等の社員登用制度を実施してください。特に青年労働者を正社員として雇用するよう努力してください。
- 映演各社は労働者を雇用する際、必ず雇用契約書を結んでください。少なくとも、全ての事業所で働く方に労災保険が適用されるよう、芸能労災連が要望している「雇い入れ通知書」を発行してください。
- 映演各社は労働者を雇用する際、直接雇用を原則とすることを要求します。また、派遣先会社は派遣労働者との団体交渉に応じて下さい。(映演労連16春闘の重点要求)
- 映演各社は社会的責任(CSR)を自覚し、法令遵守(コンプライアンス)の立場を明確にするよう要求します。世間で言われている「ブラック企業」にはならないでください。
- 不当労働行為はいっさい行わないよう要求します。
- 5. 映画・映像・演劇の文化と産業の振興に関する要求
- 映画各社は日本のフィルム映画文化の維持と、デジタルデータを含めた映画原版保存のために最大限の努力をしてください。
- 映演文化予算の縮減に強く抗議し、経営側も日本映画への公的助成の拡大をめざして積極的に行動してください。
- 日本の撮影所を守り、撮影所機能を強化するよう要求します。撮影所への公的支援に向けて、業界を挙げて努力するよう要求します。また、映画映像製作に携わる人材の育成と職能の継承に努めてください。松竹は、労使協定に基づいて新撮影所の早期建設に全力を傾注してください。
- 映演産業に働くフリー契約労働者、不安定雇用労働者、俳優などの権利確立と社会的地位向上、労働保険(労災保険、雇用保険)の適用などに向けて、業界として努力するよう要求します。
- 労働災害を防止するために全力を傾注し、受動喫煙の防止などを含め職場環境と作業環境を改善し、「安全衛生委員会」を必ず設けてください。また、業界全体の労使で構成する「労働災害防止委員会」を設置するよう要求します。
- テレビ局に「優越的地位による不公正な契約関係の押し付け」をやめさせ、番組制作について公正なビジネス関係を作り上げるとともに、充実した番組作りに努力するよう要求します。改正下請二法を守り、守らせてください。
- 日本のアニメ産業の歪みを正し、空洞化を防ぐために、アニメ産業改革に向けた行動を起こしてください。
- 舞台芸術・伝統芸能等への公的支援の大幅縮減に抗議し、企業・劇団サイドも演劇文化への公的助成の拡大をめざして積極的に行動してください。
また、伝統演劇の後継者育成、舞台美術スタッフの人材育成、劇団活動に対する公的施設の利用規制の緩和と設備の拡充、観客の料金負担軽減のための税制優遇措置などについても、行政などに支援を要請してください。 - 演劇文化の質的向上には、演劇人が演劇で自活できることが必要不可欠です。企業・劇団は、雇用条件・職場環境の改善に努力するよう要求します。
- 映演各社とも、下請法の順守はもとより、グループ内取引も含めて下請け単価引き上げに努めるなど、産業全体の底上げ実現を目指してください。
- 6. 平和と民主主義、国民生活向上に関する要求
- 日本の立憲主義を否定する安保関連法の施行は、平和と民主主義に立脚する私たち文化産業の存続を脅かすものと考えます。特定秘密保護法も含めて、いわゆる戦争法の廃止に向けた労働組合の取り組み(3月17日の統一行動ほか)についてご理解いただくとともに、協力と共同を要請いたします。
- 原発ゼロと再生可能エネルギーへの転換をめざして、ともに行動してください。また、核兵器のない世界を作るためにともに行動してください。
- 被災者本位の復興事業の実現と被災者への十分な補償が行われるよう、経営側も行動を起こしてください。
- 更なる消費税増税は映演産業に致命的な打撃を与えます。消費税10%への増税と社会保障制度の改悪、TPP参加に反対し、国民生活向上に向けてともに行動するようするよう要請します。
以上