映演労連 '15 春闘方針

2015年1月27日 映演労連第1回中央委員会

改憲NO!戦争NO!原発NO!労働法制破壊NO!平和と生存権をかけた闘いとして2015春闘を闘い抜こう! 映演労連を拡大強化し、要求実現力を強化して産別春闘に取り組み、すべての映演労働者の労働条件向上と雇用確保のために闘おう!

I. '15春闘をめぐる情勢

1. 政治・経済の情勢

 今年は戦後70年という節目の年だが、昨年12月の総選挙で争点を「アベノミクス」による景気回復だけに絞ってなんとか議席を維持した安倍政権は、総選挙が終わるや否や「戦後以来の政治改革の道をまっすぐ進めと、国民から力強く背中を押してもらった」として、新たな暴走宣言を口にした。
 今後、日米ガイドラインの「改定」や、集団的自衛権の行使容認を具体化する関連法案の上程、明文改憲の具体化など、安倍政権は「戦争する国」づくりに向けてまっしぐらに突き進んでくるだろう。2015春闘では、国民世論と民主主義を無視するアベ・ファシズムを絶対に許さない闘いが求められる。

 安倍政権は、先の臨時国会で再び廃案になった労働者派遣法の改悪案をはじめ、残業代ゼロ法案や金銭による解雇自由化法案などの労働法制の全面改悪を、通常国会にまた持ち出してくることは明らかだ。15春闘では、労働法制改悪との闘いも重要になってくる。

 総務省が発表した2014年11月の消費者物価指数は、価格変動が大きい生鮮食料品を除いて前年同月比で2.7%上昇した。18ヶ月連続である。年明けから値上げラッシュが続いているので、物価は今後さらに上昇するだろう。
 その原因は消費税の増税であり、「異次元」の金融緩和や大型公共事業への財政出動などによる株価のつり上げと円安政策によるものだ。しかしそれで得をしているのは輸出大企業やゼネコン、海外の機関投資家だけである。日本総研理事長の寺島実郎氏も、「今の日本経済はいわば『つり天井の経済』で、株価がつり上げられ景気が良くなっていると錯覚を起こすが、実は実体経済の柱や土台がない。株価をつり上げているのは海外の投資家であり、世界経済の動向次第でこの天井はすぐにつぶれかねない」と指摘している。
 安倍首相は「アベノミクス」しか景気回復の道はないと言っているが、異次元緩和(第1の矢)と財政出動(第2の矢)を繰り返すだけで、第3の矢(成長戦略)はいつまで経ってもその姿すら見えない。
 さらに言えば、大企業が儲かればやがて庶民も潤う、などという「トリクルダウン」は大間違いである。労働総研によれば、2013年度の大企業(資本金10億円以上)の内部留保は13兆円増えて285兆円。全企業では509兆円だ。麻生副総理でさえ「守銭奴」と言っている。

 厚労省が昨年発表した2014年11月の実質賃金指数は、前年同月比4.3%減という大幅な落ち込みとなり、17ヶ月連続の減少となった。年収200万円以下の民間労働者は24%に達した。働くものの生活が苦しくなっているのは当然だ。
 15年春闘は「春闘60年」に当たると言う。15年春闘では、春闘の原点に立ち返って、何としてもすべての労働者の大幅賃上げを勝ち取らなければならない。

2. '15春闘をめぐる経済界、労働界の動き

(1) 経済界の動き

 経団連では昨年6月に榊原定征氏(東レ会長)が新会長に就任。そして9月には「政治との連携強化に関する見解」を発表した。簡単に内容を解説すると経団連の意を汲む政党には企業・団体献金を積極的に行うことを呼びかける、というもの。これを発表した翌10月には、「原発再稼働」「消費税増税」「法人税減税」「TPP早期妥結」といった市民感覚では受け入れ難い政策を推し進める政党(自民・公明)を高く評価する「主要政党の政策評価」も発表。経団連が企業献金に関与するのは5年ぶりであり、金で政治を買うという民主主義を否定するやり口の復活である。
 機を同じく昨年9月には、内閣府・経済財政諮問会議の民間議員として榊原経団連会長が就任するなど、政財界の癒着ぶりは余りにも露骨だ。
 15春闘については、政府の要請を受ける形で賃上げに向けた最大限の努力を図ることに合意し、事あるごとに企業の収益拡大と賃金引上げを強調しながら、ベア容認の姿勢を見せてきた。しかし、年を開けた榊原会長の発言では、消費税を除く物価上昇率は1%未満であるとして、企業体力に応じた賃金引き上げであって、昨年並み(2.28%の賃上げ率=約0.4%のベア)に期待する、と低調な方針であることを明らかにした。1月20日に発表された「経労委報告」でも、ベアはあくまで「選択肢の一つ」としている。最賃引き上げも均等待遇も批判し、内部留保の取り崩しまでも競争力の低下を理由に否定する経労委報告には、デフレ脱却に水を差す経団連の姿勢が如実に表れている。

(2) 労働界の動き

 連合 は、昨年10月開催の中央執行委員会で定昇確保を前提に2%以上の賃上げ要求(定昇相当分と賃上げ額を加え4%以上)の方針を確認した。2%以上の要求方針は98年以来となる。
 また、格差是正と底上げを企図して賃上げ要求額の最低到達水準を初めて設定し、中小労組については10,500円以上の引き上げや非正規の時給37円以上の引き上げ要求なども確認している。2013年までの5年間に渡ってベア要求を放置し続けてきた連合であるが、ようやく「底上げ」「デフレ脱却」に向けて重い腰を上げつつある、というところだろうか。
 制度要求については「ワークルールの取り組み」「ワーク・ライフ・バランスの実現」など、法令遵守と時短の取り組みを強調している。

 全労連・国民春闘共闘は、15春闘の4つの基調として「賃上げ春闘」「暴走政治ストップ」「職場の活性化と組織拡大」「地域春闘と一斉地方選挙」を掲げ、全員参加型の統一闘争を投げかけている。
 賃上げについては、消費税増税を含めた大幅な物価上昇下での春闘であることを踏まえ、統一要求基準「月額2万円以上、時間額150円以上」を提起。集中回答日を連合に先駆けて3月11日に設定し、産別・地域・官民の立場を超える多面的な統一行動として50万人総行動(3/12〜13)を予定している。
 政治の暴走については安倍雇用破壊、消費税増税、社会保障解体、「戦争する国」づくり、原発再稼働など憲法の趣旨に反する政策に正面から対峙することを決意し、一斉地方選挙も視野に安全・安心の地域づくりの強化を目指している。
 逓減傾向が続く組織課題については、150万全労連への拡大・強化を目指す一環として職場・地域レベルでの対話と共同を呼び掛けるほか、次世代幹部の系統的育成を企図して本年6月より初級教育制度の開講を、7月には次代の幹部を対象とした労働組合幹部セミナーの開催を予定している。

3. 映画・映像産業の情勢

(1) 映画産業の情勢

 1月27日に映連が発表した2014年全国映画概況によると、2014年の興行収入は4年ぶりに2000億円を超えて2070億3400万円(前年比6.6%増)。入場者数も若干増えて、1億6111万6000人(前年比3.4%増)であった。興収の邦洋比は邦画58.3%、洋画41.7%で、『アナ雪』効果によって洋画が2.3ポイント増えたものの、相変わらず邦画が優位を保った。

 スクリーン数は、丸の内ルーブル、新宿ミラノ座、三軒茶屋シネマ、新橋文化、新橋ロマン、吉祥寺バウスシアターなどの閉館があったものの、シネコンが9サイト増えて、トータルで3,364スクリーンとなり、前年比で46スクリーン増えた。特に注目を集めたのが昨年3月に開業した「TOHOシネマズ日本橋」で、初年度から100万人近くを動員した。

 昨年4月の消費税増税に伴い、レディスデーやシニア割引などこれまで1000円であった各種割引が1100円に引き上げられた。映画産業への大きな影響が懸念されたが、2014年前半の『アナと雪の女王』メガヒットの華やかな話題が、その懸念を押し流した。

 作品別興収のトップ10は、1位が『アナと雪の女王』254.8億円で、2位以下を大きく引き離した。2位2位『永遠の0』87.6億円、3位『STAND BY ME ドラえもん』83.8億円、4位『マレフィセント』65.4億円、 5位『るろうに剣心 京都大火編』52.2億円、6位『テルマエ・ロマエ II』44.2億円、7位『るろうに剣心 伝説の最期編』43.5億円、8位『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVlE』42.6億円、9位『名探偵コナン 異次元の狙撃手』42.1億円、10位『ドラえもん 新・のび太の大魔境 〜ペコと5人の探検隊〜』35.8億円(東宝)。

 アニメ優位が続いているが、そこで働いている労働者の労働環境は劣悪なままで、アニメ労働者の貧困は続いている。一時隆盛を誇ったTV局主導の映画は、2014年はやや後退した。

 1位『アナと雪の女王』の突出したヒットは、最近の一極集中の流れを象徴的に表している。観客が映画を選ぶ際の判断基準が「話題になっているか」「多くの人が観ているか」になり、人気作に更に観客が集中する構図となっている。また、メガヒット作の多くが東宝配給作品であり、東宝の年間興収はまたも700億円を超えた(4回目)。
 2014年初頭に意欲的な製作本数を発表した松竹は、『好きっていいなよ。』(興収11億万円)、『小さいおうち』(12億6000万円)、『超高速!参勤交代』(15億5000万円)、『ホットロード』(24億7000万円)、『白ゆき姫殺人事件』(10億円)と、近年にないヒット本数を打ち出した。

 海外のアニメ製作はすでに多くが3DCGだが、日本では2Dアニメの人気が根強く、3DCGアニメの需要は薄いと言われてきた。しかし『STAND BY ME ドラえもん』は、大方の不安をよそに 83億8000万円の興収で3位に食い込み、3DCGアニメ不人気論をくつがえした。

 ここ数年翳りを見せていた洋画は、『アナと雪の女王』とそれに続く『マレフィセント』などのヒットにより、盛り返しを見せた。しかし、洋画全般をみると依然として厳しさは続いており、興収20億円を超えた洋画作品は6本で、前年より4本減った。

 映画原版の保存については、内閣府知財戦略本部の「知的財産推進計画2014」に「アーカイブの利活用促進に向けた整備の加速化」が記載され、ようやく動き出した感があるが、具体的な動きには至っておらず、引き続き大きな運動が必要である。

(2) 映像ソフト業界の状況

 JVA(日本映像ソフト協会)発表の2014年1月から11月のビデオソフト売上累計は2,039億0,900万円で、前年の同期と比べても92%と数字を落としている。内訳はDVD売上が1,226億1800万円で前年同期比84.8%とシェアを下げ、BDが812億9,100万円で前年同期比105.7%とこちらは5%程度伸びている。シェア率はDVD60%、ブルーレイ40%となっている。

 DVDにおいてはセルが714億3,600万円で前年同期比82.4%、レンタルは504億1,000万円で前年同期比88.2%と、10%〜20%弱まで数字を落としている。

BDにおいてはセルが772億3,400万円で前年同期比106%、レンタルが40億0,400万円で前年同期比101.8%と増加傾向にはあるが、年ごとの伸びに鈍化が見られ、市場の底上げには至っていない。貸出料金にも消費増税が微妙に影響を及ぼしている。

 有料動画配信市場はおよそ600億円と推計。映像ソフトの中でのシェアは6.3%で、男性が6割、DVD・BDと比べて40代以上が圧倒的に多い統計となっている。外資の事業者(iTunes、Google、アマゾン等)や国内の通信事業者が軒並み参入し乱立状態になっており、コンテンツホルダーも旧作の再活用などライセンスビジネスが活況を見せている。

 また放送局も独自のオンデマンドサービスを始めており、自前のコンテンツの再配信などを行なっている。昨年にも米大手配信サービス「Hulu」を日本テレビが買収するなど、合従連衡や統合の動きもこれから加速するであろう。

(3) アニメ業界の状況

●本数が増加したテレビアニメ
 1月16日現在のテレビ地上波作品は週52本(東映アニメ調べ。再放送、再編集番組を除く)で、昨年8月の57本から5本減だが、1月中に放映開始の新番組が数本予定されている。
 52本のうち、土日放映22本、深夜枠15本。またテレ東系22本となっている。少子化や、DVDの売上が減少しているなか、地上波テレビの放映本数はテレビ東京を中心に週50本以上を続けているのである。 製作会社では、大手の東映アニメとトムスがそれぞれ6本を制作している。

●邦画を牽引する劇場アニメ
 2014年12月20日公開された「映画妖怪ウオッチ 誕生の秘密だニャン!」が1月19日現在で興収68億円の大ヒットとなっている。同日公開のディズニーのフルCG作品「ベイマックス」も同日現在で興収61億円を挙げ、正月興行をリードしている。
 他にも「THE LAST NARUTO THE MOVIE」「アイカツ!」などもヒットしており、正月興行もベストテン上位をアニメ映画が占めている。

●ブラック企業化するアニメ会社
 アニメ大手の東映アニメーションが、昨年12月に公正取引委員会から是正勧告を受けた。昨年4月の消費税8%への増税後も原画、動画などの委託料に増税された3%分を上乗せせず、増税前と同額のままで支払っていたことが、「消費税転嫁特別措置法」で禁止する「買いたたき」にあたると指摘されたのである。明らかな優越的地位の濫用である。
 現在は増税分も含めた額に委託用を引き上げ、未払い分もさかのぼって支払っているというが、アニメ最大手の東映アニメが「買いたたき」を行っていた事実は、アニメ業界全体の問題としても懸念される。

●TAAF、映画祭として3月に開催
 「東京国際アニメフェア」(TAF)は昨年から「東京アニメアワードフェステバル(TAAF)」とタイトルを改め、“見本市”から“映画祭”となった。映画祭として2回目になる今年も、3月19日から23日までTOHOシネマズ日本橋で開催される。若手の発掘や育成などは、TAFから引き継がれる。

●荒廃する現場への対応? 日本動画協会、杉並区が人材育成セミナー
 日本動画協会が「若手アニメ制作人のためのキャリアアップセミナー」と題し、アニメ業界経験3年から10年の若手に向けて、アニメの企画から海外展開までの連続講座を1月16日から始めた。アニメ制作会社の経営者団体である日本動画協会が人材育成を主にしたセミナーを行うのは、初めてと思われる。
   杉並アニメミュージアムや多くのアニメスタジオの所在地である杉並区も、アニメ業界の若手経験者とアニメ業界への就職希望者を対象にした「杉並アニメ人材育成セミナー」を2月7日、8日に行うと発表した。杉並区が主催し、地域の活性化を目指すとしている。
 しかし、過労死が出るような過酷な制作現場では、制作進行をはじめとする若手スタッフの定着率は改善しておらず、人手不足の状態が続いている。製作現場で新人を育てるシステムが崩壊しているなか、経営者団体や行政が若手の育成やアニメ業界への就業支援を始めたことは歓迎できるが、スタッフの待遇改善を後回ししていると、製作現場の荒廃がさらに進むことが懸念される。

4. 演劇界の情勢

(1) 商業演劇の状況

 松竹の昨年9月以降の概要は次の通り。歌舞伎座は、10月に十七世・十八世中村勘三郎の追善公演、11月に初世松本白鸚・三十三回忌追善公演「顔見世」を行い好評だった。歌舞伎座の法人向け年間シートに新しいコースを追加するなどして、団体客の拡充もねらっている。また、シネマ歌舞伎も拡充していくことになる。
 新橋演舞場では、「新派特別公演」に勘九郎・七之助兄弟が初めて参加した。
 大阪松竹座では、片岡愛之助主演で「GOEMON」を上演し、年明けの初春歌舞伎は、中村鴈治郎襲名披露興行となった。
 南座では昨年9月、市川海老蔵の通し狂言を上演し、10月は松本清張の「疑惑」を舞台化、11〜12月は恒例の「顔見世興行」を上演した。
 正月の「新春浅草歌舞伎」は、尾上松也などの若手花形俳優で上演した。

 東宝では、帝国劇場の9月は「DREAM BOYS」、10月は松任谷由実と帝劇のコラボレーション第2弾「あなたがいたから私がいた」、11月から12月には豪華キャストが集結する「モーツァルト!」を上演した。
 シアタークリエでは9月に「シェルブールの雨傘」と音楽朗読劇「SOUND THEATRE eclipse」、10月はオリジナル・ミュージカル「道化の瞳」、10月から11月にはノンストップ・コメディ「夫が多すぎて」、11月から12月にかけては「ファースト・デート」、12月は「ロンドン版ショーシャンクの空に」を上演し、今年1月は「クリエンターレ!」と大人のコメディ「スタンド・バイ・ユー−家庭内再婚−」、2月は「SHOW-ism [」「クリエ・ミュージカル・コレクション2」と話題作を提供している。
 日生劇場では12月は宮本亜門演出の「ヴェローナの二紳士」を上演し、2月は日本初演30周年を迎える「ラ・カージュ・オ・フォール籠の中の道化たち」を上演し、社外公演では「Endless SHOCK」「売らいでか!」「菊次郎とさき〜北野家の逆転!?金メダル狂騒曲!〜」等を積極的に全国へと展開しようとしている。

(2)劇団をめぐる状況

 この間の劇団をめぐる環境の中で、紀伊國屋サザンシアターの閉館や青山劇場閉館など、今まで現代演劇上演のステータスとなっていた劇場が相次いでなくなることになるという残念なニュースが伝わった。
 また、演劇集団円では、今まで浅草田原町にアトリエ公演もできるビルを借りて活動していたが、家主の都合で取り壊しになり、三鷹まで劇団を移さざるを得なくなった。
 各劇団の経営状態は、4月の消費税率アップが大きく響いて、今年度の決算がかなり厳しい状況になってくると思われる。
 児童青少年演劇の活動でこの間の注目すべきことは、福島の原発問題を扱った篠原久美子作の「空の村号」が、2年前の発表以降、17の団体で上演されるという広がりを見せていることだ。篠原さんの自由に上演してほしいという呼びかけに応えて、子どもの目線から原発の問題を描いた芝居が全国に広がっている。今後も芝居という表現世界でこうした社会的問題をアピールしていくことは、大切な運動になっていく。 財務省が学級編成を40人に戻せ、というような要求を出していることが伝えられた。子どもたちをめぐる文化状況は、ますます悪化していくおそれがある。学校教育の中での舞台芸術の役割が試されていく年になっていくと思われる。

II. '15春闘の課題と取り組み

1. '15春闘の基本的な構え

  1.  憲法改悪、労働法制破壊、消費税増税、原発再稼動・海外輸出、TPP、映演産業と映演各社の経営危機に立ち向かい、平和と生存権をかけた闘いとして2015春闘を闘う。
  2.  映演労連を拡大強化し、要求実現力を強化して、単組でのベースアップ獲得と大幅賃上げ、非正規労働者の雇用と労働条件改善をめざし、本格的な産別春闘をさらに進める。

2. '15春闘の基本要求

  1.  産別賃上げ要求では、消費税増税などによる物価上昇分を3%と試算して底上げ要求10,000円に加味し、「映演労働者に誰でも15,000円以上」の大幅賃上げ、すべての時間給労働者に時給130円以上の賃上げを勝ち取る。
     映演労連主催の執行委員セミナー・経営分析連続講座開催のほか、各単組の団体交渉能力向上のための取り組みを全力で支援する。
  2.  定昇制度を確立している企業に対しては定昇の維持とベースアップを要求する。また、4月昇給を実現していない企業に対しては直ちに4月昇給を実現するよう要求する。
  3.  産別最賃制は、1日7.5時間、週5日間労働で最低限年収200万円を確保する水準として、月額18万円、日額9,000円、時給1,200円(=いずれもキャリア・ゼロの場合)とし、映演各企業との協定化を迫る。企業内最賃制の確立を各単組の春闘要求書に盛り込む。
  4.  映演各社の労働条件調査を進めて「映演労連2015春闘要求書」と「産別統一労働協約案」を充実させ、映演産業の労働諸条件、諸制度の均一化と底上げをめざす。「パワハラ防止規定」の制度化をさらに進める。
  5.  派遣切りや改正労働契約法を悪用した有期雇用の雇い止めを許さず、非正規労働者の雇用と権利を守る闘いに全力をあげる。
     映演産業を支えるフリー契約者、非正規労働者がまともに生活できる労働条件をめざして、賃金アップ、均等待遇の実現、労働基準法適用、社会保険の適用など労働条件と雇用契約の改善を要求していく。特に労基法適用闘争を重視し、「業務委託契約」を口実にした偽装請負を糾弾する。契約社員等の社員登用制度を各企業に迫る。また、映演各社に直接雇用を原則とすることを求める。
  6.  '15春闘アンケートの長時間労働などの結果を重視し、長時間労働とサービス残業の解消をめざす。全事業所での三六協定締結を迫る。「継続労働15時間」「インターバル11時間」「週の実労働時間60時間以内」「週1回の休日」を映演産業のルールとさせる。またワーク・ライフ・バランスを就労の原則にさせるとともに、ディーセントワークの実現、年間所定内労働時間1800時間以下の実現をめざす。
  7.  映演各社に、十分な防災対策、震災対策を講じるよう求める。
  8.  「正社員ゼロ」をもたらす労働者派遣法の大改悪、サービス残業を合法化する「残業代ゼロ制度」「解雇の金銭解決制度」など、労働者を奴隷化する安倍政権の雇用破壊政策に断固反対し、これを阻止する。

3. '15春闘の具体的な取り組み

  1.  '15春闘の産別統一スト権を早期に確立する。
  2.  各労組の要求書はできるだけ早めに提出し(2月20日前後)、スタート良く闘う。 映演労連団交は各単組の回答が出る前に行い、3月〜4月中旬までに集中させ、産別春闘の実効性をさらに向上させる。また各単組の団交には、必要に応じて映演労連役員が参加する。
  3.  3月12日の「映演労連14春闘の集い」を必ず成功させる。また当日は、映演労連ニュース特別号を全組合員に配布する。
  4.  2月24日の「MIC2015春闘決起集会」、2月18日、3月5日の執行委員セミナー連続講座「決算書を読み解く」、3月12日の「映演労連15春闘の集い」(映演労連統一行動)、3月27日の「夜の銀座デモ」(映演労連統一行動)、4月15日の「映演労連産別スト」(映演労連統一行動/予定)、5月1日「第86回メーデー」(映演労連統一行動)などに積極的に取り組み、産別統一行動を強化して'15春闘を盛り上げていく。5月連休明けの闘いも重視する。
     政府・経団連などへの要請行動にも取り組む。厚労省交渉、経産省交渉、文化庁交渉等に継続的に取り組む。
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  6.  国民春闘共闘の回答指定日は3月11日だが、映演労連の一斉回答指定日は今年も現実的に考えて4月14日(月)に設定し、4月15日(火)に産別統一スト(10分間程度/映演労連統一行動)を構えて、映演各社に一斉回答を迫る。その意思統一と準備のために、オルグ・教宣活動を積極的に展開する。また、妥結日も揃えるよう努力する。回答速報体制を強化し、映演各社の労働条件調査を充実させる。
  7.  
  8.  組合員全員で闘う春闘をめざし、全組合員が一度は春闘行動に参加することを組織する。
  9.  
  10.  「労働者派遣法の抜本的改正」「最低賃金・全国一律1,000円」の実現に向けて行動し、全労連や国民春闘共闘委員会が提起する行動に最大限参加する。
  11.  
  12.  映演各社に、高齢者雇用安定法を積極的に活用し、定年延長も含め、雇用と年金の連携がはかれるよう60歳代前半の雇用確保を要求する。60歳以降の賃金は、60歳時の70%以上とするよう要求する。
  13.  
  14.  映演産業に致命的な打撃を与える消費税増税と社会保障制度の改悪、国内産業と国民生活を破壊するTPP参加に反対する。

4. リストラ「合理化」、雇用破壊に反対し、職場と権利を守る闘い

  1.  映演各企業の経営危機には機敏に対応し、雇用と職場の確保を第一に闘いを構築する。資本の勝手なM&Aは許さない。リストラ「合理化」攻撃に対しては、産別ストを背景に闘う。各企業ごとの経営分析・対策会議を再開する。日ごろから経営チェック能力を高めるとともに、事前協議制を確立する闘いを進める。また、経営責任・雇用責任を厳しく追及する。経営者の横暴を許さない闘いを強化する。
     労基法違反、労働契約法違反、派遣法違反、不当労働行為などの違法・脱法行為の一掃を目指す。契約労働者の労働基準法適用を闘い取る。
  2.  映演関連争議などリストラ「合理化」に備え、争議対策委員会を設置し、職場と雇用を守る闘いに全力を挙げる。募集数300人というKADOKAWAの大規模な希望退職募集に反対し、退職強要を許さない闘いを構築する。KADOKAWA・DWANGO全従業員の労働条件整備に際しては、不利益変更や角川大映スタジオ従業員との間で格差の発生を許さない闘いを構築する。
  3.  フリーユニオン争議を全面的に支援し、早期の勝利解決を目指す。
  4.  産別組織映演労連として労働相談を本格化させ、映演産業労働者の雇用と職場確保とともにいっそうの団結を図る。
  5.  JAL、IBM不当解雇撤回の闘いや、MIC争議団、全労連争議団の勝利をめざして、積極的に支援する。

5. 映演産業の基盤拡充と映演文化発展をめざす闘い

  1.  フィルム映画文化の維持と映画原版保存に関して、映演労連内で議論を深め、映画各社や業界団体、関連省庁との協議・意見交換を継続する。文化芸術議連にも働きかけ、国と産業全体で原版保存問題の解決に向けた道筋をつけさせる。
  2.  長らく続く映演文化予算の縮減傾向に強く抗議し、日本映画への公的助成の拡大をめざす。映画の表現の自由を守り、公的助成の拡大を進めるために、多くの映画人、映画団体と共同して闘う。
  3.  「映画振興要望書」や「日本映画振興基金」「映画原版保存要請書」の背景となる運動を強化するため、映職連や日映協、アニメーター演出協会、映連などとの懇談を進める。製作・配給・興行の現場で働いている組合員を集めた部門別会議や産業政策委員会を行う。
     それらの活動の成果を活かして経産省と文化庁に対する「映画振興要望書」を作成し、5〜6月段階で経産省交渉と文化庁交渉を行う。
  4.  映演労連の中で、演劇文化と舞台美術の振興に関する議論をもっと喚起する。
  5.  アニメ分野の活動を強化する。
  6.  放送局の一方的な番組製作費削減や権利剥奪など、放送局と番組制作会社の不公正な支配関係の改善をめざして行動する。

6. 憲法改悪阻止と、平和と民主主義を守る闘い

  1.  憲法改悪を阻止する闘いを'15春闘の最重要課題に位置づけ、それを中心に平和と民主主義を守る闘いを創意工夫して進める。
     「映画人九条の会」の発展に向けてよりいっそう努力する。全労連「かがやけ憲法署名」に積極的に取り組む。憲法改悪(明文改憲・解釈改憲)の策動に断固反対して闘う。
  2.  解釈による憲法破壊である集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回させ、国民主権を取り戻して平和と民主主義を守るために闘う。
  3.  集団的自衛権行使のための関連法(自衛隊法、武力攻撃事態対処法、周辺事態安全確保法、PKO法など)の改定、及びこれを前提とした日米ガイドライン改定を阻止するため、積極的な行動を起こす。
  4.  普天間基地の無条件返還を求め、辺野古への基地移設強行を断固として阻止する。欠陥機オスプレイの基地配備を撤回させ、アメリカ追従の外交政策に反対して日米安保条約の廃棄をめざす。
  5.   
  6.  国民の知る権利や言論表現の自由を奪い、日本を監視社会化させる秘密保護法の発動を許さず、廃止させる取り組みに全力を傾注する。国家安全保障基本法案に断固反対する。
  7.  原発ゼロをめざす諸行動に積極的に参加するとともに、原発依存のエネルギー政策を再生可能な自然エネルギー利用へ抜本的に転換することを求める。震災復興に乗じた大企業中心の「構造改革」強行に反対し、被災者本位の復興事業を実現させる。
  8.  地球温暖化防止の運動を盛り上げるため、公害・地球懇が製作し、映演労連が制作協力したDVD「地球の温暖化をとめて2 未来につなげ!」の普及と上映運動を進める。

7. 組織拡大と組織改革の闘い

  1.  組織人員を1,200人台に戻す計画を策定し春闘で実践する。各単組は会社従業員の過半数の組織化をめざす。「組織拡大ロードマップ」を各単組で責任を持って具体化し、実践するとともに、毎月の進捗を点検する。
  2.  映演労連フリーユニオンの拡大と、多発するフリーユニオン争議に対応できる体制をつくる。
  3.  教宣活動を重視し、「映演労連ニュース」「映演労連ホームページ」「パソコン・ネットワーク」をより充実させる。
  4. 各労組とも、6月からスタートする「全労連・初級教育制度」の受講者を拡げる。

III. 産別スト権の確立

 '15春闘では産別スト権を確立して闘う。高率での確立をめざす。

IV. '15春闘の主な闘争スケジュール

予定
2月 3日 フリーユニオンPAC団交(18:30〜京橋プラザ)
9日 産別統一スト権投票開始
18日 映演労連執行委員セミナー「経営分析講座1」(18:50〜文京区民センター3C)
20日頃 各労組15春闘要求書提出
24日 MIC15春闘決起集会(18:30〜文京区民センター2A)
26日 映演労連第4回中執(16:00〜映演労連)、第1回争議対策委員会(18:30〜映演労連)
3月 4日 国民春闘中央行動/大幅賃上げ・労働法制改悪ストップ決起集会
5日 映演労連執行委員セミナー「経営分析講座2」(18:50〜文京区民センター3D)
11日 14国民春闘回答指定日
12日 14国民春闘総行動 映演労連15春闘のつどい「団体交渉」(18:50〜文京シビックセンター5C) 別統一スト権投票集約日
24日 映画人九条の会「猫は生きている」上映会(18:50〜文京区民センター3A)
25日 映演労連中央闘争委員会(18:50〜文京区民センター3D)
27日 夜の銀座デモ18:30〜銀座公園)【映演労連統一行動】
4月 10日 MIC争議支援総行動(12:00DNPデモ〜各所)
14日 映演労連一斉回答指定日
15日 映演労連一斉ストライキ(予定)【映演労連統一行動】
5月 1日 第86回メーデー 【映演労連統一行動】
3日 憲法集会
以上