映演労連 '14 春闘方針

2014年1月29日 映演労連第1回中央委員会

憲法改悪阻止、平和と生存権をかけた闘いとして'14春闘を闘い抜こう!
産別春闘をさらに進め、すべての映演労働者の労働条件向上と雇用確保のために闘おう!

I. '14春闘をめぐる情勢

1. 政治・経済の情勢

 衆参のねじれ状態を解消した安倍政権は、当面選挙がないことを良いことに国民の声を無視し、集団的自衛権の行使容認や日本版NSCの創設、武器輸出三原則の緩和、そしてマスコミや多くの国民が疑問や反対の声を上げながらも強行採決で押しきった秘密保護法の成立など、一挙に右傾化の政策を猛進させている。

 そして普天間基地の辺野古埋め立て案をゴリ押しし、沖縄県の仲井真知事に容認させた後、ついに昨年12月26日には靖国神社に参拝した。これには中国や韓国が猛反発したのはもちろん、安倍の言う最大の同盟パートナーであるアメリカさえも怒らせ、今回の安倍の行為に「失望した」との異例の声明を発表する事態となった。また中国との関係から比較的日本に近い台湾や東南アジア各国、EU各国も批判し、東アジアの緊張状態が加速化するのを憂慮している。

 中・韓など対立する国に対しては挑発を重ねる一方で、「対話の窓口は常に開かれている」と繰り返す安倍の支離滅裂な外交姿勢は、関係改善を模索する動きが出始めた矢先の靖国参拝で完全に水を刺し、外交面での国際社会との関係からもいっそう孤立させる事態になっている。

 そのような安倍の不安定な外交姿勢もあって円高・ドル安が進み、安倍自身が自信を見せている「アベノミクス」による経済効果も陰りが見え始めているが、しかしながら経団連は「アベノミクス」による景気回復をいまだ信じている。

 内閣府発表による1月の月例経済報告は4ヶ月ぶりに上方修正した。消費税増税前の駆け込み需要や緩やかな景気の回復により高額商品が売れ始めている、との根拠を示しているが、そのこと自体は過渡的なものである。円安などによってすでに生活物価は上がっており、消費税率が8%に引き上げられたら、物価は更に高騰し、国内の景気が悪化するのは目に見えている。

 14春闘についても経団連は、いままで徹底して受け容れなかったベースアップに関しても、企業の状況によっては容認するとの動きを見せ、3%程度の賃上げ要求をする労働組合や、実際ベースアップを打ち出した企業も出始めているが、それはグローバル企業などの業績が好調な大企業であって、ほとんどの中小企業はベアどころではない。また賃金格差のさらなる拡大にもつながる恐れがある。さらに言えば、賃上げやベースアップの見返りとしての労働法制改悪が狙われている。

 そのような中で昨年末、猪瀬東京都知事が徳洲会問題で辞任し、2月9日に都知事選が行われる。2020年東京オリンピックが決定した後での選挙になるが、安倍暴走政権の流れを変えることができるか注目されている。映演労連は前回都知事選に続き、宇都宮健児氏の支援を決めた。

2. '14春闘をめぐる経済界、労働界の動き

(1) 経済界の動き

 2014年1月に連合の新年交歓会に招かれた経団連の宮原副会長は、「会員企業に『収益の改善を雇用や賃金の改善といった人的投資にも』と呼びかける」と挨拶した。

 安倍政権の富裕層と大資本に有利な政策方針への期待を隠さない経団連だが、発表された2014年版経労委報告での賃金の項目では、“総額人件費は企業が生み出す付加価値”であり、“企業の安定的な成長を確保”、つまりあくまで企業の取り分を充分に確保した上で人件費は分配されるもの、という姿勢を崩さず、また内部留保については“企業の持続的成長に不可欠”として更なる上積みの姿勢を隠していない。政府へ法人実効税率の引き下げを請いつつ、賃上げについては“業績が好調な企業は賃金の引き上げについて、ここ数年と異なる対応も選択肢となり得よう”と、消極的な表現しかされていない。

 2013年11月13日の読売新聞の企業調査によれば、たとえ「給与額を2%増やした企業の法人税を減税する」との制度導入がなされたとしても、「賃上げする」との回答は25.5%に過ぎず、大企業に至っては17.1%と、中小企業よりも低い回答である。経団連副会長の挨拶とは裏腹に、企業が賃上げを前向きに考えているとはとても言えない状況である。

(2) 労働界の動き

 連合は、今年の春闘では5年ぶりに「ベア要求」を打ち出した。平均ベア1%以上を獲得するとし、中小企業では9,500円(定昇4,500円+ベア5,000円)を勝ち取るとしている。消費税増税による物価影響分2%よりも低く、企業の「好況」におもねる形での統一ベア要求であり、甘利明経済財政・再生相、菅官房長官といった政府要人は「政・労・使の連携の動きに沿うものだ」として、つましいベア要求への歓迎を表明した。しかし2014年経労委報告の中身は依然として賃上げには慎重な態度をとっており、連合は批判している。

 昨年末から労働法制改悪を推奨する報告を繰り返す厚労省・労働力需給制度部会では、連合役員が労働者代表として出席しており、賃上げと引き換えに労働法制改悪への譲歩があったのではないかと見られている。連合としては「約束が違う」といったところではないだろうか。

 全労連・国民春闘共闘は例年通り「ベア要求」と「ベア獲得」を掲げ、特に統一要求目標については消費税増税に対する生活防衛として、従来の「底上げ要求」に増税の物価影響分2%を上乗せし、「誰でも時間額120円以上、月額16,000円以上」のアップを統一要求目標とした。全国最賃については「時間額1,000円以上、日額8,000円以上、月額17万円以上」を要求額としている。

 また、労働者の人権を侵害する「ブラック企業」の横行を許さず、企業の社会的責任を問い、憲法27条の具体化である「ディーセントワーク」の実現に力を入れるとしている。あわせて安倍政権が用意する雇用破壊、社会保障改悪、原発再稼働、憲法改悪など数々の悪法、法改悪の政治的暴走に対抗し、「たたかいとろう大幅賃上げ、くいとめよう憲法改悪、許すな雇用・くらし破壊の暴走政治」のスローガンを打ち出している。

3. 映画・映像産業の情勢

(1) 映画産業の情勢

 1月に映連から発表された2013年全国映画概況によると、2013年の入場人員は1億5588万8千人と前年比100.5%の微増であったが、興行収入は1942億3700万円で前年対比99.5%と若干減る結果となった。しかし、ODS関連の興収が76億4000万円と前年比160%の伸びを見せ、劇映画の落ち込みを補う形となった。

 邦洋合わせた作品別興収のトップ3は、1位『風立ちぬ』(120億2000万円)、2位『モンスターズ・ユニバーシティ』(89億6000万円)、3位『ONE PIECE FILM Z』(68億7000万円)とアニメ作品が占めた。邦画だけを見ても、上記2作品に『映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館』(39億8000万円)、『名探偵コナン 絶海の探偵』(36億3000万円)の2作品を加え、上位4本がアニメ作品となり、12年の特徴として挙げた「健闘」ではなく、もはや興行界の中軸になった印象である。

 次いで、実写も含めた邦・洋それぞれの作品別興収上位10作品について触れていく。12年はTV局主導のシリーズもの作品が絶好調だった邦画だが、13年はシリーズものの強力作品が少なく、フジテレビ作品の『真夏の方程式』(5位、33億1000万円)、『映画 謎解きはディナーあとで』(6位、32億5000万円)はヒットしたが、他局の作品は上位に食い込めなかった。海外でも評価が高かった『そして父になる』(7位、32億円)は大健闘したが、残りの上位作品も『劇場版ポケットモンスター ベストウィッシュ 神速のゲノセクト ミュウツー覚醒』(8位、31億7000万円)、『ドラゴンボールZ 神と神』(9位、29億9000万円)とアニメ作品が占めた。10位にかろうじて『清須会議』(29億6000万円)が入ったが、TV局主導作品のヒット数の減少が、すなわち実写邦画作品の低迷につながったのは何ともさびしい限りだ。映画会社の奮起が望まれる。

 ここ数年元気のない洋画だが、13年もいまいち奮わなかった。前半こそ『レ・ミゼラブル』(2位、58億9000万円)、『テッド』(3位、42億3000万円)とヒット作品が続いたが後半にかけて失速し、トップは『モンスターズ・ユニバーシティ』と2年ぶりの80億円オーバーの作品はあったものの、大作と期待された『007 スカイフォール』(5位、27億5000万円)、『アイアンマン3』(6位、25億7000万円)、『ローン・レンジャー』(8位、20億9000万円)、『ダイ・ハード/ラスト・デイ』(9位、20億6000万円)、『ワイルド・スピード EURO MISSION』(10位、20億2000万円)、『ワールド・ウォーZ』(11位、19億3000万円)、『パシフィック・リム』(15位、15億5000万円)と30億円を超える作品がなく、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』(20位、10億8000万円)に至ってはかろうじて10億円台に乗せた有様だった。本国の成績が必ずしも日本でのヒットにつながらないのが現状だ。4位は『シュガー・ラッシュ』(30億円) 、7位は『怪盗グルーのミニオン危機一発』(25億円)とアニメ作品だった。日本を舞台にした2作品は明暗が分かれ、敗戦直後の日本を描いた『終戦のエンペラー』(12億円)は健闘したが、忠臣蔵から題をとった『47RONIN』(2億9500万円)は散々な結果に終わった。

 邦画興収が1176億8500万円(前年比91.8%)、洋画興収は765億5200万円(前年比114.2%)となり、その比率は邦画が60.6%、洋画が39.4%と、前年よりも多少差は縮まったが、洋画の大ヒット作品がないと興行の活性化につながらない。東宝は、洋画で2・3・7・10・11位を占めた東宝東和作品と合わせて全体の46%の売上を占め、今年も寡占傾向にあった。

 スクリーン数は3年ぶりに回復し、28スクリーン増え、13年末時点での全国映画館数は3318スクリーンとなった。スクリーンのデジタル化は95%を超えたそうだが、本場アメリカですらスクリーンのデジタル化は60%台であり、急激なデジタル化は弊害を生む危険性がある。耐震性強化・デジタル化の投資を断念した既存館の閉館は2013年も続いた。シネコンの新規出店数は5年ぶりに2ケタに乗せたが、10サイト増に留まり、今後も厳しい競争が予想される。

 環境の変化に目を移すと、次世代放送サービスのロッドマップが示され、14年に4K試験放送、16年に8K試験放送、東京オリンピックが開催される20年には4K・8Kの本放送が始まる。劇場では画質での優位性が薄れ、立体音響や動く座席、風・水・香りなどの演出面での差別化が図られている。また、劇映画とODSの区別が曖昧となり、劇映画・アニメ作品でもODS形態の公開が増えている。イオンエンターテイメントによるVODサービスを映画館に提供する「U-NEXT」の取り組みは、今後の劇場の行方に一石を投じるかもしれない。14年4月に迫った消費税アップへの対策も喫緊の課題である。

 フィルム業はいよいよ佳境に追い込まれ、生フィルムの価格上昇により、作業費もアップしている。アーカイブとしてフィルムに残す方法で生き残りをかけるが、作品のほとんどが製作委員会方式の現状では、アーカイブを見越した予算建ては厳しく、簡単な道のりではないと思われる。ボーンデジタル作品と呼ばれる新作においては、原版の定義すら決めぬまま走っており、長期保管・今後の利活用について、業界全体での熟議が必要とされる。現場での原版認識の欠如が、細かい事故・トラブルを生んでいることも挙げておく。 業績の良いアニメ映画だが、制作現場の重労働・低賃金問題は一向に改善されていない。「クールジャパン」の一環としてアニメ作品の輸出は国もバックアップしているが、その一部でも足元の制作現場に還元する施策が強く求められる。

 デジタル化によって恩恵をうける人がいる一方、損害を被る人もいる。本来、デジタル化は映像文化のより良い発展であるべきだったが、効率ばかりを追い、映像文化の進化には及んでいない。フィルムの良さとデジタルの良さは併存すべきである。より良い映像文化の発展のために、ひとりひとりが考え、声を上げていく行動が求められる。

(2) 映像ソフト業界の状況

 JVA(日本映像ソフト協会)発表の2013年1月から11月のビデオソフト売上累計は2,215億3,400万円(前年同期比99.0%)で、内訳はDVD売上が1,446億4,800万円(構成比65.3%)、BDが768億8,600万円(構成比34.7%)。

 DVDにおいてはセルが866億4,800万円で前年同期比88.5%、レンタルは571億4,400万円で前年同期比90.1%と、ピークであった2004年より連続しての下降傾向が続き、厳しい状況が続いている。

 BDにおいてはセルが728億5,200万円で前年同期比126.5%、レンタルが39億3,200万円で前年同期比106.0%と増加傾向にある。リリースタイトル面では、BDはセルが前年同期比124.2%の15,052タイトル、レンタルは前年同期比101.9%の1,713タイトルが発売された。セルに関しては順調に推移したアニメ映画と過去の名作をBD-BOXなどに仕様を変え、再リリースをする施策が功を奏したといえる。またレンタルに関しては残念ながら今までの盛り上がりに陰りが見えてきた結果となった。

 一方、レンタルビデオに着目してみると、レンタルDVDの数量は26,184,000枚(前年同期比91.4%)、レンタルBDの数量は1,713,000枚(前年同期比101.9%)と微増に留まる結果となった。しかし、1泊2日の新作料金が2004年以降初めて上昇し、薄利多売についに歯止めがかかった。貸出金額単価を見てみると、新作1泊2日の平均で336円となり、前年よりプラス6円(前年比101.8%)となった。ただし、旧作については1週間料金単価が132円で前年からマイナス15円になるなどしており、メリハリをつけた料金設定となった。料金設定に関しては2014年4月以降の消費税増税によりまた一つ転換期を迎えるであろう。

 映像コンテンツの楽しみ方が多様化する中、「BDやDVDを購入する・レンタルする」というハードルはますます高くなってきている。このような状況を打破するためには魅力的なコンテンツの拡充はもとより、ネット配信やモバイルサービスなど新規の映像メディアとの積極的な協力体制を築き、各々のメディアが持つメリットを提供し合い、デメリットを補完し合いながら、付加価値を高めていかなければならない。

 映像配信における目下の課題としては、インターネットを通じて海外から配信される電子商取引に消費税が課されていないことである。この問題の解消は2014年4月の消費税率引き上げには間に合わず、国内配信企業は海外企業との価格競争上、ますます不利な立場に立たされることとなった。2015年度中に課税する方針を打ち出しており、その動向を見守っていく必要がある。

(3) アニメ業界の状況

●本数が増加したテレビアニメ
 2014年1月17日現在のテレビ地上波アニメ番組は週58本(東映アニメ調べ、再放送、再編集番組を除く)で、昨年の8月の53本から5本増えた。製作会社別には東映アニメーションとトムス・エンターテイメントが5本と、大手プロダクションのシェアが増えている。テレビ東京系列は26本。土日の放映は29本となっている。深夜アニメは18本で、これも昨年8月の12本から6本も増えている。

●邦画を牽引する劇場アニメ
 今年の正月映画の劇場アニメでは、『ルパン三世VS名探偵コナンTHEMOVIE』が1月7日現在ベストテン2位で興収35億円、観客動員数300万人突破と、ダントツの強さを見せている。他にも『HUNTER HUNTER the LAST MISSION』が6位と、テレビアニメの劇場版が続いている。さらにスタジオジブリの高畑勲監督が新しいアニメ表現を確立させた『かぐや姫の物語』が9位に入っている。 昨年も『風たちぬ』の興収120億円を筆頭に、『ワンピースフィルムZ』68億円、『名探偵コナン 絶海の探偵』36億円、『ドラゴンボールZ神VS神』興収29億円など、劇場アニメは邦画を牽引する存在となっている

●ブラック企業化するアニメ会社
 テレビアニメの本数は増え、劇場アニメも好調を続け、クールジャパンを代表するアニメ業界だが、低賃金と長時間労働により新人の定着率が悪く、製作現場の人員構成は40歳以上のベテランと、数年で入れ替わる20歳代の新人という歪な構造となっている。 大手アニメ会社でも30代の中堅スタッフが育ちにくくなっており、アニメ会社が若者を使い捨てるブラック企業化が進めば、技術継承はおろか製作現場の担い手の確保も難しくなるだろう。

4. 演劇界の情勢

 歌舞伎界は、年末には福助の病気による歌右衛門襲名延期、三津五郎病気などの事態になったものの、2014年に入って正月公演は一定の盛況をみせた。歌舞伎座、浅草公会堂、国立と三座に渡っていたが、初芝居ということもあり、観客動員を確保していた。珍しく歌舞伎座の演目として井上ひさし原作の新作がかけられた。

 関西では大阪松竹座が玉三郎の舞踊公演、京都南座で前進座の初春公演が初芝居を飾った。二月歌舞伎座は花形歌舞伎公演、演舞場は獅童座頭で藤山直美、水谷八重子まで参加して、マキノノゾミ作演出の喜劇作品をかけている。新派と新喜劇の座頭級の役者を二人も含んだ座組まで組まざるを得ない状況なのであろうか。松竹でも今までとは少し角度を変えた企画が試されているということかも知れない。

 何れにしても今後は、どの座も新作の企画に苦慮することになっていくと思われる。低迷しつつある観客動員をどういう演目で食い止めていけるのか、模索の年となっていくであろう。

 新劇は、今年に入っての手打ち公演はあまりなかったが、劇団俳優座が創立70周年記念の第一弾として、鶴屋南北の歌舞伎を脚色した「東海道四谷怪談」を上演して、日々満席の盛況をみせた。しかし、新劇は全体としては相変わらず観客動員が減り続けており、4月に消費税が上がればいっそうその方向に拍車がかかっていくことは必至だ。各劇団とも劇団経営の上で死活問題となっている。

 また、昨年の秘密保護法をめぐる問題では、近年になく50劇団におよぶ多くの劇団が反対の声を明確にあげた。法案通過後も「多くの劇団は稀代の悪法『特定秘密保護法』の成立に反対してきましたが、これからは撤廃に向けて、粘り強くそして強い意志を持って運動を広げていくことを連名でここに表明するものです」とあらためて声明を発表し、運動の継続を宣言した。消費税の時ですらこれだけ多くの劇団が明確に意思表示したことはなく、演劇人の中でも安倍自民党政権に対する批判が広がっていることを示している。

 児童青少年演劇の分野では、学習指導要領の改定に伴うゆとり教育の見直しなどの影響もあって、学校での芸術鑑賞教室の減少が青少年演劇を主体とする劇団の経営を圧迫しつつある。一時増えつつあった、学校を訪問しての演劇や太鼓などのワークショップも、多くの学校で取りやめる動きが出ている。ますます学校の管理教育が強まる傾向にある。また当然、消費税増税は大きく経済的影響を受けることになる。

 新劇や青少年演劇の劇団にとって、試練の年となるだろう。経済的にも創造的にもどう苦境を乗り越え、生き抜いて行くかが問われている。最早一劇団で生きていける状況にはない。劇団どうしを結びつけ、共同して経済的苦境に対していくために、演劇界唯一の労働組合である映演労連・舞芸の活動が今までにも増して求められてくるだろう。

II. '14春闘の課題と取り組み

1. '14春闘の基本的な構え

  1.  憲法改悪、消費税増税、原発再稼動・海外輸出、TPP、映演産業と映演各社の経営危機などに立ち向かい、平和と生存権をかけた闘いとして2014春闘を闘う。
  2.  全単組でのベースアップ獲得と大幅賃上げ、非正規労働者の雇用と労働条件改善をめざして闘いを強化し、本格的な産別春闘をさらに進める。

2. '14春闘の基本要求

  1.  生計費原則に基づいて活発な要求討議を行い、生活防衛、生活向上に足る賃上げ、一時金の獲得をめざして'14春闘を粘り強く闘っていく。
  2.  産別賃上げ要求では、消費税増税による物価影響分を2%と試算して例年要求に加味し、「映演労働者に誰でも13,000円以上」の大幅賃上げ、すべての時間給労働者に時給120円以上の賃上げを勝ち取る。
     一時的な「利益減少」に惑わされず、内部留保や溜め込んだ資産、含み資産を明らかにするなど、正確な経営分析に基づいて賃上げ、一時金の抑え込みをはね退ける。
  3.  定昇制度を確立している企業に対しては定昇の維持とベースアップを要求する。また、4月昇給を実現していない企業に対しては直ちに4月昇給を実現するよう要求する。
  4.  産別最賃制は、1日8時間、週5日間労働で最低限年収200万円を確保する水準として、月額17万円、日額8,500円、時給1,200円(=いずれもキャリア・ゼロの場合)とし、映演各企業との協定化を迫る。企業内最賃制の確立を各単組の春闘要求書に盛り込む。
  5.  映演各社の労働条件調査を進めて「映演労連2014春闘要求書」と「産別統一労働協約案」を充実させ、映演産業の労働諸条件、諸制度の均一化と底上げをめざす。「パワハラ防止規定」の制度化をさらに進める。
  6.  派遣切りや改正労働契約法を悪用した有期雇用の雇い止めを許さず、非正規労働者の雇用と権利を守る闘いに全力をあげる。
     映演産業を支えるフリー契約者、非正規労働者がまともに生活できる労働条件をめざして、賃金アップ、均等待遇の実現、労働基準法適用、社会保険の適用など労働条件と雇用契約の改善を要求していく。特に労基法適用闘争を重視し、「業務委託契約」を口実にした偽装請負を糾弾する。契約社員等の社員登用制度を各企業に迫る。また、映演各社に直接雇用を原則とすることを求める。
  7.  '14春闘アンケートの長時間労働などの結果を重視し、長時間労働とサービス残業の解消をめざす。全事業所での三六協定締結を迫る。「継続労働15時間」「インターバル11時間」「週の実労働時間60時間以内」「週1回の休日」を映演産業のルールとさせる。またワーク・ライフ・バランスを就労の原則にさせるとともに、ディーセントワークの実現、年間所定内労働時間1800時間以下の実現をめざす。
  8.  映演各社に、十分な防災対策、震災対策を講じるよう求める。
  9.  「労働者派遣法の大改悪、限定正社員制度、ホワイトカラーエグゼンプション、職業紹介業務の規制緩和、解雇の金銭解決など、労働者を奴隷化する安倍政権の雇用破壊政策に断固反対しこれを阻止する。

3. '14春闘の具体的な取り組み

  1.  '14春闘の産別統一スト権を早期に確立する。
  2.  各労組の要求書はできるだけ早めに提出し(2月下旬か3月初旬)、スタート良く闘う。
     映演労連団交は各単組の回答が出る前に行い、今年も3月中の開催をめざす。また各単組の団交には、必要に応じて映演労連役員が参加する。
  3.  3月13日の「映演労連14春闘の集い」を必ず成功させる。また当日は、映演労連ニュース特別号(黄色ビラ)を全組合員に配布する。
  4.  2月28日の「MIC2014春闘決起集会」、3月6日の「国民春闘決起中央行動」、3月9日の「原発ゼロ!大統一行動」、3月13日の「映演労連14春闘の集い」(映演労連統一行動)、4月4日の「夜の銀座デモ」(映演労連統一行動)、4月15日の「映演労連産別スト」(映演労連統一行動/予定)、5月1日「第85回メーデー」(映演労連統一行動)などに積極的に取り組み、産別統一行動を強化して'14春闘を盛り上げていく。5月連休明けの闘いも重視する。
     政府・経団連などへの要請行動にも取り組む。今年も厚労省に「要請書」を提出し、3月段階で厚労省交渉を行う。
  5.  
  6.  国民春闘共闘の回答指定日は3月12日だが、映演労連の一斉回答指定日は今年も現実的に考えて4月14日(月)に設定し、4月15日(火)に産別統一スト(10分間程度/映演労連統一行動)を構えて、映演各社に一斉回答を迫る。その意思統一と準備のために、オルグ・教宣活動を積極的に展開する。また、妥結日も揃えるよう努力する。回答速報体制を強化し、映演各社の労働条件調査を充実させる。
  7.  
  8.  組合員全員で闘う春闘をめざし、全組合員が一度は春闘行動に参加することを組織する。
  9.  
  10.  「労働者派遣法の抜本的改正」「最低賃金・全国一律1,000円」の実現に向けて行動し、全労連や国民春闘共闘委員会が提起する行動に最大限参加する。
  11.  
  12.  映演各社に、高齢者雇用安定法を積極的に活用し、定年延長も含め、雇用と年金の連携がはかれるよう60歳代前半の雇用確保を要求する。60歳以降の賃金は、60歳時の70%以上とするよう要求する。
  13.  
  14.  映演産業に致命的な打撃を与える消費税増税と社会保障制度の改悪、国内産業と国民生活を破壊するTPP参加に反対する。

4. リストラ「合理化」、雇用破壊に反対し、職場と権利を守る闘い

  1.  映演各企業の経営危機には機敏に対応し、雇用と職場の確保を第一に闘いを構築する。資本の勝手なM&Aは許さない。リストラ「合理化」攻撃に対しては、産別ストを背景に闘う。各企業ごとの経営分析・対策会議を再開する。日ごろから経営チェック能力を高めるとともに、事前協議制を確立する闘いを進める。また、経営責任・雇用責任を厳しく追及する。経営者の横暴を許さない闘いを強化する。
     労基法違反、労働契約法違反、派遣法違反、不当労働行為などの違法・脱法行為の一掃を目指す。契約労働者の労働基準法適用を闘い取る。
  2.  東映太秦映像スタッフの雇用確保を求める闘い、東映ラボ・テック労働者の雇用を守る闘い、東映アニメ派遣切り撤回闘争など、リストラ「合理化」に反対し職場と雇用を守る闘いに全力をあげる。KADOKAWA全従業員の労働条件整備に際して、不利益変更や角川大映スタジオ従業員との間で格差の発生を許さない闘いを構築する。
  3.  スタジオ・イースター闘争などフリーユニオン争議を全面的に支援し、早期の勝利解決を目指す。
  4.  産別組織映演労連として労働相談を本格化させ、映演産業労働者の雇用と職場確保とともにいっそうの団結を図る。
  5.  JAL、IBM不当解雇撤回の闘いや、MIC争議団、全労連争議団の勝利をめざして、積極的に支援する。

5. 映演産業の基盤拡充と映演文化発展をめざす闘い

  1.  フィルム映画文化の維持と映画原版保存に関して、映演労連内で議論を深め、映画各社や業界団体、関連省庁との協議・意見交換を継続する。文化芸術議連にも働きかけ、国と産業全体で原版保存問題の解決に向けた道筋をつけさせる。
  2.  長らく続く映演文化予算の縮減傾向に強く抗議し、日本映画への公的助成の拡大をめざす。映画の表現の自由を守り、公的助成の拡大を進めるために、多くの映画人、映画団体と共同して闘う。
  3.  「映画振興要望書」や「日本映画振興基金」「映画原版保存要請書」の背景となる運動を強化するため、映職連や日映協、アニメーター演出協会、映連などとの懇談を進める。製作・配給・興行の現場で働いている組合員を集めた部門別会議や産業政策委員会を行う。
     それらの活動の成果を活かして経産省と文化庁に対する「映画振興要望書」を作成し、5〜6月段階で経産省交渉と文化庁交渉を行う。
  4.  映演労連の中で、演劇文化と舞台美術の振興に関する議論をもっと喚起する。
  5.  アニメ分野の活動を強化する。
  6.  放送局の一方的な番組製作費削減や権利剥奪など、放送局と番組制作会社の不公正な支配関係の改善をめざして行動する。

6. 憲法改悪阻止と、平和と民主主義を守る闘い

  1.  憲法改悪を阻止する闘いを'14春闘の最重要課題に位置づけ、それを中心に平和と民主主義を守る闘いを創意工夫して進める。
     「映画人九条の会」の発展に向けてよりいっそう努力する。かがやけ憲法署名に積極的に取り組む。憲法改悪(明文改憲・解釈改憲)の策動に断固反対して闘う。集団的自衛権の行使容認、議員比例定数削減等に反対し、国民主権を取り戻し、平和と民主主義を守るために闘う。
  2.  国民の知る権利や言論表現の自由を奪い、日本を監視社会化させる秘密保護法の施行を許さず、廃止させる取り組みに全力を傾注する。国家安全保障基本法案に断固反対する。
  3.  欠陥機オスプレイの配備に反対し、普天間基地の無条件返還を求める。アメリカ追従の外交政策に反対して日米安保条約の廃棄をめざす。
  4.  原発ゼロをめざす諸行動に積極的に参加するとともに、原発依存のエネルギー政策を再生可能な自然エネルギー利用へ抜本的に転換することを求める。震災復興に乗じた大企業中心の「構造改革」強行に反対し、被災者本位の復興事業を実現させる。

7. 組織拡大と組織改革の闘い

  1.  組織人員を1300人台に戻す中期計画を実践する。各単組は会社従業員の過半数の組織化をめざす。
  2.  映演労連フリーユニオンの拡大と、多発するフリーユニオン争議に対応できる体制をつくる。
  3.  教宣活動を重視し、「映演労連ニュース」「映演労連ホームページ」「パソコン・ネットワーク」をより充実させる。

III. 産別スト権の確立

 '14春闘では産別スト権を確立して闘う。高率での確立をめざす。

IV. '14春闘の主な闘争スケジュール

予定
2月 7日 映画産業政策委員会(18:45〜映演労連)
9日 都知事選投票日
10日 産別スト権投票開始、松竹映像センター団交
14日 スタジオ・イースター東社長責任裁判(10:30〜地裁524号法廷)
19日 映演労連第4回中執(15:00〜映演労連)
20日 第14回スタジオ・イースター裁判(10:30〜地裁13階民事11部)
22日 憲法闘争の発展をめざす全国交流集会(11:00〜ヒューリック浅草)
25日 映演労連フリーユニオン第4回執行委員会(18:45〜映演労連)
26日 映画人九条の会講演会「自衛隊協力映画の急増を考える」(18:50〜文京シビック4階ホール)
28日 MIC春闘決起集会(18:30〜四谷区民ホール)
3月 初旬 各労組春闘要求書提出
6日 14国民春闘中央行動
9日 原発ゼロ!大統一行動(13:00日比谷野音〜国会)
12日 14国民春闘回答指定日
13日 14国民春闘総行動 映演労連14春闘の集い「労働法制大改悪&ブラック企業とどう闘うか」(18:50〜文京シビックセンター5C) 【映演労連統一行動】
20日 産別スト権集約日
27日 映画人九条の会「密約」上映会(18:50〜文京シビック小ホール)
28日 映演労連中央闘争委員会(18:50〜文京区民センター3D)
4月 4日 夜の銀座デモ 【映演労連統一行動】
11日 MIC争議支援総行動+DPNファイン争議・大日本印刷デモ
14日 映演労連回答指定日
15日 映演労連一斉ストライキ(予定) 【映演労連統一行動】
25日 MIC争議支援パーティー
5月 1日 第85回メーデー 【映演労連統一行動】
以上