1. 07秋闘に取り組むにあたって
映演産業の基盤は不安定で、企業間格差は広がり、非正規雇用労働者の労働条件改善はほとんど進んでいない。アニメ労働者やシネコンなどの劇場労働者の組織化は、端緒もつかめていない。個人加盟方式による単一労組「映演労組」化をめざした組織改革の議論も、なかなかレベルアップしない。映画への公的支援拡充を求める闘いも、要望事項を押し上げる運動とパワーが希薄になっている。
しかし、東映の退職金カット裁判闘争、マッスルミュージカル闘争、ラピュタ闘争、そして改憲手続き法案反対闘争など、映演労連のこの一年間の闘いは注目を集め、内外にその存在感を示した。私たち映演労連の運動は、映演産業と映演労働者にとって大きな意義を持つものである。映演労連の力は小さいが、映演労連が担うべき役割はきわめて大きいのだ。
憲法改悪阻止を闘いの中心に据えながら、足元を固め、組織改革に大きく踏み出し、力を拡大しよう。そして映演労働者の生活と権利を守るために、映演文化を守るために、映演労連のさらなる飛躍をめざして07秋闘を闘おう。
2. 07秋闘をめぐる情勢
政権を放り出す形で突然辞任した安倍首相に代わって9月25日、福田新首相が誕生した。しかし、国民がNOを突きつけたのは自民党政治そのものであり、新首相になっても国民と自民党政治の矛盾は解消しない。
07秋闘は、高額一時金獲得をめざすとともに、テロ特措法延長反対、格差と貧困、年金問題、政治腐敗、消費税増税などに対する国民的な闘いが重要な課題となる。また、ホワイトカラー・エグゼンプション、労働契約法制との闘いも急を要している。
33.2%にも膨れ上がっている非正規雇用労働者の格差解消も待ったなしの課題だ。格差社会を当然視する「希望の国」経団連会長にも、「美しい国」首相と同じように辞めてもらわなければならない。
財務省の06年度法人企業統計調査によると、資本金10億円以上の大企業の経常利益は前年度比11.6%増の32兆8342億円となり、バブル期の1.75倍になった。また国税庁の発表によると、民間企業に勤める人の06年の平均給与は、前年より19,000円減の4,349,000円で、9年連続して減少した。大儲けに浮かれているのは大企業だけである。
闘わなければ実利は得られない。好調企業と経営難に陥っている企業との格差も一段と開くだろう。映演労連産業内でも、企業間格差が拡大している。争議も多発するようになっている。“要求は闘い抜いて勝ち取る”という気構えとともに、経営者の横暴を許さない07秋闘を進めなければならない。
- 映演産業の情勢などは、映演労連第56回大会議案書を参照のこと。
3. 07秋闘の課題と取り組み
(1) 憲法改悪阻止に向けて
- 憲法改悪阻止の闘いを07秋闘の中心課題に位置づけ、創意工夫した運動を展開する。各地区・単組で憲法学習会を開く。一人ひとりが、ワッペン、署名、政治家やマスコミへのハガキ運動、集会・デモへの参加など、九条改憲に反対する意思をさまざまな形で表明する。
- 全労連の500万人署名運動に積極的に取り組む(目標/組合員1人当たり5筆)。
- 「映画人九条の会」の運動に全面的に協力するとともに、単組別、職場別に映画人九条の会(「映画人九条の会・○○」)を作る。
- 各放送局、民放連に対して、改憲有料CMについての公正な自主ルールの確立を求める。
- 全国の「九条の会」、マスコミ関連九条の会連絡会、憲法改悪反対共同センター、4団体会議などと連携し、憲法改悪反対の全国的なネットワークを広げる。
(2) 年末一時金の高額獲得をめざして
- 映演労働者の一時金は世間相場より低い。各労組は「生計費原則」をもとに、組合員が確信が持てる要求を作り上げ、11月上旬に早期要求提出し、“要求は闘い抜いて勝ち取る”という気概で高額生補金獲得をめざす。
全東映労連の主な単組が年間セットとなったが、年間セットの組合も個別課題、共通課題を持って産別秋闘に参加する。
また、非正規雇用労働者、フリー契約者の一時金獲得を重視する。 - 07秋闘は早期に闘争体制を組み、憲法改悪反対の闘い、反「合理化」闘争や経営批判闘争、産業基盤拡充の闘いなどとリンクして闘う。
- 「11・16 MIC 07年末闘争決起集会」 「11・20映演労働者の争議を支援する集い」 「11・22夜の銀座デモ」 「11・28 MIC 争議支援総行動」などを【映演労連統一行動日】と設定し、産別結集を強める戦術で闘いを盛りあげる。
- 悪政が次々と襲いかかって来ている今、企業内闘争だけでは生活改善は実現できない。全労連、国民春闘共闘委員会に結集し、「労働契約法制反対」「消費税増税反対」などの各種集会・デモなどに積極的に参加しよう。
- 今秋から「08春闘要求アンケート」運動を実施する。また各労組と連携し、主要労組の労働条件調査を開始する。
(3) 反「合理化」闘争、雇用と権利を守る闘い
- 経営者の横暴を許さない闘いを進める。東映退職金カット裁判闘争、マッスルミュージカル闘争、ラピュタ闘争を、映演労連としても全面的に支援して闘い、勝利解決をめざす。11月20日(火)夜に「映演労働者の争議を支援する集い」を行う。
また、日活の経営再建闘争を今後も支援するとともに、資本の勝手なM&Aを許さない闘いを進める。MIC争議団、全労連争議団の勝利をめざして、積極的に支援する。 - 「合理化」攻撃には臆せず毅然とした姿勢で対処し、産別の闘いに広げる。「解雇権乱用の禁止条項」や労基法改正案の国会付帯決議、「整理解雇の4要件」を生かし、解雇権の濫用を許さず、争議経験と教訓を結集して闘う。CSRやコンプライアンスの実行を映演各企業に強く求めていく。
- 重大なリストラ「合理化」攻撃があった場合には、緊急に産別統一スト権を立てて闘う。日ごろから経営チェック能力を高めるとともに、事前協議制を確立する闘いを進める。また、経営責任を厳しく追及する。
- 東映の「退職金カット裁判」闘争を支援するとともに、高齢者雇用安定法に基づいて希望者全員を対象とした60歳以上雇用延長を映演全社で実施させる。
- 「労働契約法制」、ホワイトカラー・エグゼンプション、就業規則による労働条件の一方的切り下げなどの労働法制改悪の阻止に向けて、労働組合としての存在意義をかけて反対運動に立ち上がる。
(4) 映演産業の危機打開と、映演文化の発展をめざす闘い
- 「12の提言」と、映演労連の「2007映画振興に関する要望書」の早期実現を求めて、文化庁交渉や経産省交渉、映連交渉を行う。要望事項の背景となる運動を強化する。
- 「演劇政策委員会」で作成した「2007年演劇文化振興に関する要望書」に基づいて文化庁との交渉を開始する。
- 「アニメ産業改革の提言」をアニメ関係者とアニメ業界に広め、大きな共同をめざす。アニメーターの協同組合作りも模索する。
- 多くの映画人、映画愛好者に訴えて日本映画の製作基地確保の闘いを進める。日活撮影所のリニューアルについては、日活経営陣と調布市などに積極的に働きかける。撮影所への公的支援についても、各方面に働きかけていく。松竹新撮影所建設については、運動を再点検・再構築し、早急な着手を要求する。
- 「時代劇復興委員会」が始めた「アピール/日本の時代劇文化を守ろう!」賛同署名を万単位で集め、テレビ局や映画会社、文化庁、地方自治体などに働きかける。
- 放送局の一方的な製作費削減の押しつけや権利剥奪、放送局と番組製作会社との不公正な支配関係の改善をめざす。民放労連とのキー局要請行動はオブザーバー参加する。
- 歴史の真実を偽り、社会の現実をねじ曲げて国民の目を惑わす軍国主義的、右翼的な映画・映像・演劇については、毅然たる姿勢で批判して行く。
(5) 平和と民主主義を守る闘い
- 憲法改悪阻止の闘いを中心に、平和と民主主義を守る闘いを進める。平和運動推進委員会の自主的な活動も強化する。
- マスコミの報道を監視し、不公正報道には機敏に抗議する運動を進める。ジャーナリズムの復権と自律性を求めていく。言論・表現に対するテロ行為は、これを絶対に許さない。
- 戦争反対、憲法改悪反対などの大集会に積極的に参加する。
- 「テロ特措法延長」「共謀罪法案」に反対し、阻止に向けて行動を起こす。
- ドキュメンタリー「もうひとつの日本を!」を積極的に活用する。
(6) 組織強化と拡大をめざして
- 個人加盟による単一産別労組 「映演労組」への組織転換をめざす4期目の活動を進める。「映演労組」化について共通の問題点を洗い出して議論を集中する。消極的な労組には個別にオルグを行う。可能性のある組合、危機感を持つ組合でワーキングチームを作り、「映演労組」化の具体的検討を開始する。
- 映演労連1400名の組合員維持を、今年も組織の決意として取り組む。
- 組合に入っていない契約社員、アルバイト労働者、フリー契約者、管理職労働者各単組OBを「映演労連フリーユニオン」に組織し、2年後に100人の組合をめざす。サポーター(他労組との二重加盟者)の位置づけを明確にし、映演労連フリーユニオンに専任役員を置くことも検討する。また、シネコンなどで働く劇場労働者とアニメ労働者の映演労連フリーユニオンへの組織化を重要課題とする。
- 魅力ある組合づくりを進め、未加盟組合の加盟促進、未組織労働者の組織化、企業系列内での組織拡大などいっそうの組織拡大を進めて、映演労連を中心にした産別の組識と運動をさらに前進させる。また、非正規雇用労働者の加入に向けて、単組規約、労協、ユニオンショップ協定などを見直す。
- 映演労連内部の連帯強化をめざし、各労組間の交流や学習会、決起集会、映演労連青年部活動、文化部活動、平和運動などへの参加を強化する。
- 映演労連傘下の全新入組合員を対象にした学習会を、今年も12月に行う。
- 教宣活動を重視し、「映演労連ニュース」「映演労連ホームページ」「パソコン・ネットワーク」をより充実させる。
- 単組の専従役員に頼った活動から脱却するため、財政強化策の検討を開始する。
4. 07秋闘の主な行動
月 | 日 | 予定 |
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10月 | 10日 | 第5回東映退職金団交(11:00〜) マッスル第4回都労委(13:30〜) |
15日 | 東映退職金裁判第10回審問(第3回和解交渉/13:00〜民事19部) | |
16日 | 映演労連第56回定期大会(10:30〜文京区民センター2A) | |
22日 | 東映退職金裁判闘争を支援する会要請行動(予定) | |
23日 | 映演労連第1回中執(15:00〜映演労連事務所) | |
24日 | 第22回組織改革委員会(18:45〜映演労連) | |
25〜26日 | 全労連・単産地方代表者会議 | |
27日▲ | 日活労組定期大会 | |
28日● | 10・28国民大集会(11:00〜亀戸中央公園) | |
31日 | 国民春闘共闘08年度総会 | |
11月 | 上旬 | 各労組07秋闘要求書提出 |
民放キー局要請行動(未定) | ||
10日▲ | マス九連学習集会「慰安婦問題」(13:30〜東京堂書店) | |
12日 | マッスル第5回都労委(審問開始/10:00〜都労委) | |
16日 | 07秋闘全国統一行動日、全労連争議支援総行動 【映演労連統一行動】 | |
MIC 07秋季年末闘争決起集会(18:30〜豊島公会堂) | ||
20日 | 映演労働者の争議を支援する集い(18:45〜全労連) 【映演労連統一行動】 | |
22日 | 夜の銀座デモ(18:30〜銀座公園) 【映演労連統一行動】 | |
24日▲ | 九条の会第2回全国交流集会(日本教育会館) | |
28日 | MIC争議支援総行動 【映演労連統一行動】 | |
12月 | 8日 | 映画人九条の会第2回交流集会(13:30〜文京区民センター2A) |