1. 06秋闘に取り組むにあたって
この一年の映演労連の運動も、様々な展開があった。「金で株は買えても、金で従業員は買えない!」を合言葉に闘った日活闘争は、昨年11月1日に新体制をスタートさせた。
産業政策の分野では、「アニメ産業改革の提言」「2006年映画振興要望書」を作成・発表し、文化庁や知財推進事務局とも交渉を行った。演劇分野でも新たに「演劇振興要望書」の作成に取り組んだ。
また映演労連は、個人加盟方式による単一労組「映演労組」化をめざして第2次討議資料を作成し、2年目の議論を進めた。この一年は、映演労連フリーユニオンの運動も大きく前進した。
映演労連が事務局団体を担っている「映画人九条の会」も、活発な活動を展開することができた。
映演労働者を取り巻く情勢は相変わらず厳しいが、これらの展開は、映演産業と映演労働者の未来にとって大きな意義を持つものである。
私たち映演労連の力は小さいが、私たちが担うべき役割は大きい。憲法改悪が大きく動き出している今、憲法改悪阻止を闘いの中心に据え、平和と自由を守るために、映演労働者の生活と権利を守るために、映演文化を守るために、映演労連のさらなる飛躍をめざして06秋闘を闘おう。
2. 06秋闘をめぐる情勢
9月26日に誕生した安倍新政権は、臨時国会での教育基本法の改悪成立や、5年以内の改憲を明言するウルトラ右翼政権である。日本をズタズタにした小泉「構造改革」も引き継ぐという。
06秋闘は、高額一時金獲得をめざすとともに、安倍新政権と対決し、憲法改悪、教育基本法改悪、国民投票法案、共謀罪などに反対する国民的な闘いが重要な課題となる。また、ホワイトカラーの残業代をなくし、金銭による不当解雇の容認、労働組合を形骸化させる「労使委員会」制度を企む「労働契約法制」との闘いも急を要している。06秋闘の最重要課題である。
7〜9月期の法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況判断指数は10.5となり、4〜6月期に比べて8.7ポイント上昇した。しかし好景気なのは大企業だけで、庶民にその実感はない。また今年の春闘が証明したように、環境が良くなっても闘わなければ成果は勝ち取れない。闘わなければ、好調企業と経営難に陥っている企業との格差も一段と開くだろう。“要求は闘い抜いて勝ち取る”という気構えが重要である。
- 映演産業の情勢などは、映演労連第55回大会議案書を参照のこと。
3. 06秋闘の課題と取り組み
(1) 憲法改悪阻止に向けて
- 憲法改悪阻止の闘いを06秋闘の中心課題に位置づけ、創意工夫した運動を展開する。各地区・単組で学習会を開く。一人ひとりが、ワッペン、署名、政治家やマスコミへのハガキ運動、集会・デモへの参加など、九条改憲に反対する意思をさまざまな形で表明する。
- 改憲推進法案にすぎない「国民投票法案」を阻止するため、労働組合としてやるべきことに全力で取り組む。
- 「映画人九条の会」の運動に全面的に協力し、「九条の会」アピールを映画・映像・演劇界、単組支部の隅々に広め、賛同者を拡大する。
- 全国の「九条の会」、マスコミ関連九条の会連絡会、「憲法改悪反対共同センター」などと連携し、憲法改悪反対の全国的なネットワークを広げる。MICにも、憲法闘争についてもっと主体的な取り組みを求める。
(2) 年末一時金の高額獲得をめざして
- 06秋闘は早期に闘争体制を組み、憲法改悪反対の闘い、反「合理化」闘争や経営批判闘争、産業基盤拡充の闘いなどとリンクして闘う。秋闘での映演労連交渉(特に松竹との交渉)を組み、「夜の銀座デモ」などの統一行動で産別結集を強める。
- 労働者の年収が減少しているなかで、生活を守る一時金の獲得はかつてなく切実な要求となっている。各労組は「生計費原則」をもとに、組合員が確信が持てる要求を作り上げ、11月上旬に早期要求提出し、“要求は闘い抜いて勝ち取る”という気概で高額生補金獲得をめざす。
年末一時金が年間セットで決定している組合も、職場要求、制度・政策要求を確立し、産別に結集して闘う。
また、非正規雇用労働者、フリー契約者の一時金獲得を重視する。 - 「11.17全労連争議支援総行動」 「11.17 MIC 06年末闘争決起集会」 「11.21夜の銀座デモ」 「11.29 MIC 争議支援総行動」などを【映演労連統一行動日】と設定し、産別結集を強める戦術で闘いを盛りあげる。
- 悪政が次々と襲いかかって来ている今、企業内闘争だけでは生活改善は実現できない。全労連、国民春闘共闘委員会に結集し、「労働契約法制反対」「消費税増税反対」などの各種集会・デモなどに積極的に参加しよう。
- 今秋から「07春闘要求アンケート」運動を実施する。
(3) 反「合理化」闘争、雇用と権利を守る闘い
- 東映「退職金カット裁判」闘争を、映演労連としても全面的に支援して闘う。
映演労連フリーユニオン関連争議(ラピュタ支部や三百人劇場)を全面支援し、勝利解決をめざす。
歌舞伎座の建て替え(予定)による雇用危機に対しては、松竹労組、歌舞伎座事業労組、歌舞伎座舞台労組、歌舞伎座労組、そして松竹労連(オール松竹)を中心にして雇用確保の闘いを展開する。
また、日活の経営再建闘争を今後も支援するとともに、資本の勝手なM&Aを許さない闘いを進める。MIC争議団、全労連争議団の勝利をめざして、積極的に支援する。 - 「合理化」攻撃には臆せず毅然とした姿勢で対処し、産別の闘いに広げる。「解雇権乱用の禁止条項」や労基法改正案の国会付帯決議、「整理解雇の4要件」を生かし、解雇権の濫用を許さず、争議経験と教訓を結集して闘う。CSRやコンプライアンスの実行を映演各企業に強く求めていく。
- 重大なリストラ「合理化」攻撃があった場合には、緊急に産別統一スト権を立てて闘う。日ごろから経営チェック能力を高めるとともに、事前協議制を確立する闘いを進める。また、経営責任を厳しく追及する。
- 東映の「退職金カット裁判」闘争を支援するとともに、高齢者雇用安定法に基づいて希望者全員を対象とした60歳以上雇用延長を映演全社で実施させる。
- 「労働契約法制」は、労働契約法制とは似ても似つかない最悪の「労働ルール破壊法制」である。学習会などで「労働契約法制」の狙いを明らかにし、団対署名、パブリックコメントなどに取り組み、反対運動に立ち上がる。
(4) 映演産業の危機打開と、映演文化の発展をめざす闘い
- 多くの映画人、映画愛好者に訴えて日本映画の製作基地確保の闘いを進める。日活撮影所の存続・リニューアルについては、新生・日活と調布市などに積極的に働きかける。
撮影所への公的支援、公設オープンセットの建設についても、各方面に働きかけていく。
松竹新撮影所建設については、松竹内部で「早期建設見送り」となったが、運動を再点検・再構築し、都労委合意に基づいて、新撮影所建設の早急な着手を要求する。 - 「12の提言」と、映演労連の「2006映画振興に関する要望書」の早期実現を求めて、今秋も文化庁交渉、経産省交渉、映連交渉を行う。特に厚生労働省との交渉を実現させる。
- 前期に設置した「演劇政策委員会」で検討を続けてきた「演劇支援要望書」を早期にまとめ上げ、文化庁との交渉を開始する。人材育成の問題を含めて劇団、および全国舞台技術者連盟など演劇団体との連携をめざす。
- 今年1月23日に発表した「アニメ産業改革の提言」をアニメ関係者とアニメ業界に広め、大きな共同をめざす。また日本のアニメ労働者を「映演労連フリーユニオン」に組織するため、思い切った手を検討する。アニメーターの協同組合作りも模索する。
- 文化庁が要請し映演労連が全面協力した芸団協の「映画スタッフ・アニメーター活動実態アンケート」結果を、映画・映像に働くものの社会的地位の向上に活かして行く。
- 放送局の一方的な製作費削減の押しつけや権利剥奪、放送局と番組製作会社との不公正な支配関係の改善をめざすために、民放労連とのキー局要請行動への復帰を検討する。
- 歴史の真実を偽り、社会の現実をねじ曲げて国民の目を惑わす軍国主義的、右翼的な映画・映像・演劇については、毅然たる姿勢で批判して行く。
(5) 平和と民主主義を守る闘い
- 憲法改悪阻止の闘いを中心に、平和と民主主義を守る闘いを進める。平和運動推進委員会の自主的な活動も強化する。
- マスコミの報道を監視し、不公正報道には機敏に抗議する運動を進める。ジャーナリズムの復権と自律性を求めていく。言論・表現に対するテロ行為は、これを絶対に許さない。
- 戦争反対、憲法改悪反対などの大集会に積極的に参加する。ブッシュ大統領や安倍新政権などへの抗議行動を継続する。
- 治安維持法のような悪法である「共謀罪法案」、憲法を改悪するための「国民投票法案」、憲法改悪と軌を一にする「教育基本法改悪」の阻止に向けて行動を起こす。
- ドキュメンタリー「もうひとつの日本を!」を積極的に活用する。
(6) 組織強化と拡大をめざして
- 「映演労組」への組織転換をめざして、「組織改革委員会」は第3期の議論を進め、各単組・支部では「第二次討議資料」に基づいて職場討議を徹底して行う。
- 映演労連1400名の組合員維持を、組織の決意として取り組む。
- 組合に入っていない契約社員、アルバイト労働者、フリー契約者、管理職労働者を「映演労連フリーユニオン」に組織していく。該当する単組は、十分な指導とバックアップを行う。また、アニメ労働者の映演労連フリーユニオンへの組織化を、今期も重要課題とする。横浜支部を起点にして、シネコンなどの映画館労働者の組織化にも取り組む。
- 魅力ある組合づくりを進め、未加盟組合の加盟促進、未組織労働者の組織化、企業系列内での組織拡大などいっそう進めて、映演労連を中心にした産別の組識と運動をさらに前進させる。
- また、映演労連内部の連帯強化をめざし、各労組間の交流や学習会、決起集会、映演労連青年部活動、文化部活動、平和運動などへの参加を強化する。映演労連女性連絡会の活動を、なんとしても復活させる。
- 映演労連傘下の全新入組合員を対象にした学習会を、今年も12月に行う。
- 教宣活動を重視し、「映演労連ホームページ」「パソコン・ネットワーク」をより充実させる。
4. 06秋闘の主な行動
月 | 日 | 予定 |
---|---|---|
10月 | 16日 | 映演労連第55回定期大会 (10:30〜文京区民センター2A) |
20日 | 学校公演を考えるシンポジウム (19:00〜農協会館) | |
三百人劇場団交 (19:00〜映演労連) | ||
23日 | MIC第1回幹事会 (15:00〜) | |
25日 | MIC争議団会議 (18:30〜MIC) | |
26日 | 国民春闘共闘07年次総会 (13:00〜全労連)、全東映中央委 | |
27日 | 「もうひとつの日本を」中央行動 (12:00〜日比谷野音〜デモ) | |
凸版印刷争議勝利報告集会 (18:30〜如水会館) | ||
31日 | 映演労連第1回中執 (15:00〜映演労連事務所) | |
11月 | 上旬 | 各労組06秋闘要求書提出 |
1日 | 格差社会を考える11・1のつどい (18:15〜豊島公会堂) | |
8日 | 中労委公正任命裁判・判決 (13:30〜東京地裁710号) | |
東映裁判闘争を支援する会 (18:30〜映演労連) | ||
13日 | 東映裁判闘争11・13支援集会 (18:50〜文京シビック4Fホール) | |
16日 | 東映第2回裁判 (10:00〜地裁710号)、06秋闘全国統一行動 | |
17日 | MIC昼デモ (12:15〜錦華公園) 【映演労連統一行動】 | |
MIC 06 秋季年末闘争決起集会 (18:30〜豊島公会堂) | ||
21日 | 夜の銀座デモ (18:30〜銀座公園) 【映演労連統一行動】 | |
29日 | MIC争議支援総行動 【映演労連統一行動】 | |
12月 | 6日 | 映演労連新入組合員学習会(18:45〜場所・未定) |