映演労連 '05 春夏闘方針

2005年2月7日 映演労連第1回中央委員会

憲法改悪阻止を中心課題に、映演労連が大きく前進する春闘を!

はじめに

 今年2005年は敗戦60年、被爆60年の年であり、'05春闘は春闘開始50周年にあたる。この節目の年に、私たち映演労連は大きく前進する春闘を展開したい。

 '05春闘の中心課題は、経済要求的には賃上げ闘争だが、私たちは憲法改悪阻止を'05春闘の中心課題に掲げたい。9条を中心に憲法が改悪されたら、労働組合活動の基盤も、基本的人権も、根本から崩されることになるからだ。

 幸い、私たちは昨年11月24日に他産業に先駆けて「映画人九条の会」を結成できたし、'05春闘を前にして新撮影所建設を求める松竹闘争と、偽装廃業・全員解雇と闘った中央興業闘争を勝利和解することができた。この勢いで'05春闘を突っ走りたい。

 日活などで新たな大規模リストラ「合理化」も予想される。映演労連フリーユニオン内の一人争議も増えてきそうだ。映画の公的支援拡充の運動も、新たな方向性を探る段階に来ている。厳しさは変わらない。

 全労連への正式加盟、個人加盟方式単一組織「映演労組」への組織転換に向けて本格的な討議を開始しつつ、不断に映演労連の力を強化し、映演労連の存在意義を内外に大きく示しながら、'05春闘を闘いぬき、勝利しよう。

I. '05春夏闘をめぐる情勢

1. 政治・経済の情勢

 第2次小泉内閣の発足以降、情勢は着実に右旋回しており、創憲・改憲のフレーズの陰で、憲法改悪の下地作りが進められている。

 政府は武力行使必須の国連常任理事国入り表明に続き、与党が支持する米国ブッシュ大統領が再選を果たすと、昨年末自衛隊イラク派兵延長を国会討議も無く閣議決定のみで承認した。そして'05年に入るとアメリカ支持の姿勢を強烈に示し、「国連決議無し」での海外派兵を可能にする恒久法案策定が明らかとなった。また、今夏には「日米新安保宣言」を策定する方針も固められた。

 今国会には憲法改正のための国民投票法案(改悪との報道を規制する項目もあり)も提出され、いよいよ戦争国家への第一歩を踏み出そうとしている。この動きと同調するように、教育基本法の改悪も「愛国心」の扱い等、具体的な項目に絞られてきた。そして、イラクの報道協定でマスコミのコントロールに成功した政権は、次は市民団体や共産党のビラ配布等を標的にするなど、戦前の特高的弾圧も強められている。

 極めつけは自民党若手議員の南京大虐殺を描いたコミックへの圧力や、先ごろ明らかになったNHK戦争慰安婦問題を扱った番組への介入など、メディア弾圧・規制も顕著になって来た。対アジアでは靖国問題・潜水艦領海侵犯等により中国との関係が急速に悪化しており、防衛綱領でも警戒すべき国に中国が上げられる情勢になっている。また、北朝鮮に関しては、拉致被害者問題の停滞から経済制裁が声高に叫ばれている。

 経済面では西武鉄道の不祥事のような企業の法令遵守が問われる一方、経団連も憲法改悪・労働法制改悪を提言しつつ、政治献金強化を打ち出しており、政財界腐敗・右傾化の一翼を担っている。

 庶民の暮らしでは減税廃止・年金取得者への課税、消費税増税論議等と歩調を併せるように、景気の停滞が指摘され始めている。また、国民不在の「郵政民営化」も今国会で強行されようとしている。

2. '05春闘をめぐる経済界、労働界の動き

*日本経団連

 2004年12月、日本経団連は“経営団体の05春闘方針”である「経営労働政策委員会報告」を取りまとめた。同報告は冒頭で企業経営の課題に触れ、経済が回復基調にある今こそ「攻めのリストラ」が必要であると宣言、「交易立国」「科学技術創造立国」推進のため「人材力強化」が必須条件であり、従業員自身も、自らの意志で成長していく姿勢が必要であることを強調している。さらに労働者が自らの意志によって容易に転職することが可能となるような仕組みを作り上げることが重要であると続け、雇用流動化をいっそう促進させようとの姿勢を明確に打ち出している。

 労働法・労働行政への対応についても、規制緩和の方向での「裁量労働制の大幅な見直し」、一定の限られた労働者以外のホワイトカラーを原則として労働時間規制の適用除外とする制度(ホワイトカラー・エグゼンプション制)の導入を標榜、労働者派遣法については、派遣先への派遣労働者の雇用契約の申し込み義務規制の撤廃や派遣期間制限の期間延長、最低賃金制度については、「産業別最低賃金制度の廃止が求められる」など、容易に労働者を使い捨てることが出来る法改悪を全面的に求めている。

 さらに「法令遵守(コンプライアンス)は使用者の当然の責務である」と断りながらも、「最近の労働行政は、企業の労使自治や企業の国際競争力の強化を阻害しかねないような動きが、とりわけ労働時間をめぐる労働監督行政において顕著である」と労働行政への不満を吐露して憚らない。

 春闘に対する経営側の姿勢および今後の労使協議のあり方については、「業績回復がみられる企業が、労使の責任のもとで賃金水準を引き上げることは自由である」としつつも、「定期昇給制度が、毎年誰もが自動的に昇給する制度として未検討のまま残っているとすれば、廃止を含めて抜本的な改革を急ぐべき」であり、ベースアップ要求をめぐる労使交渉も賃金管理の個別化が進む中、一律的底上げという趣旨での役割を終えており、今後、賃金の引き上げ・引き下げは「賃金改定」と称すべきと主張している。加えて短期的な企業業績の成果については、賞与・一時金への反映を協議すべきとし、最後に「春闘」はすでに終焉しており、今後は、春季の労使討議の場として「春討」が継続・発展することに期待したい。──と結んでいる。

 同報告書において経団連が打ち出した方針は、50年を迎える春闘を完全に過去のものとし、働くものの生活と権利を省みることなく、国際競争力強化のためのコマとして自発的に「成長」することを強要するものに他ならない。私たちはいまこそ春闘の原点に立ち返った運動を構築し、こうした企業側の攻勢をはね返し、真に安心して働ける労働環境を実現しなければならない。

*連合

 連合は統一ベア要求を4年連続見送った。自動車総連、電機連合、基幹労連など主要労組も同様な動きで、笹森会長は「企業の業績回復は、一時金ではなく基礎賃金に反映させるべきだ」とは言うが、1兆円を超える利益を上げている優良企業がベア見送りでは、「春闘」にはならない。

*全労連、国民春闘共闘委員会

 国民春闘共闘委員会は2005年1月13日、単産・地方組織代表者会議を東京都内で開き、'05春闘方針を確認し、春闘勝利へ決意を固めた。方針では戦後60年、春闘発足50年の節目の'05春闘をたたかうに当たり1990年結成の原点に立ち返り、

  1. 職場の実態やとりくみについての交流と激励をすべての労働組合を対象に行なう。
  2. すべての労働者を視野に生活と労働の実態に根ざした要求づくり。
  3. 「一致する要求」に基づき、その実現にむけた「力の集中」と共同行動。
  4. 国民の諸要求を総結集し、支持・共感される「国民春闘」の追求。

──を掲げ、「21世紀の新たな国民春闘の前進」にむけ、職場・地域をはじめ地方、中央での幅広い労働者、労働組合との「対話・共同」、新たな総結集を呼びかけている。

 重点課題としては、

  1. 賃下げ攻撃を許さず、すべての組合で賃上げを実現する。統一要求基準として、「誰でも月給10,000円以上、時間給50円以上の賃金引き上げ」「月額15万円、日額7,400円、時間給1,000円以上の最低賃金」を要求してたたかう
  2. まともな雇用と働くルールの確立、大企業の社会的責任の確立を求める。企業の社会的責任(CSR)明確化を求める運動、サービス残業、過労死の根絶、健康・メンタルヘルス対策の強化、06年4月からスタートする「労働審判員制度」の積極的活用。
  3. 社会保障、消費税など国民共同のとりくみ
    社会保障闘争を「第二の賃金闘争」と位置づける。定率減税の廃止は景気悪化を将来する実質賃金切下げであり、連動する消費税増税にむけた動きを許さない国民的な闘いの強化。
  4. 憲法改悪阻止、核兵器廃絶をめざす大運動
    「9条の会」の呼びかけに賛同する全国的なネットワークづくりのため、 広範な労働組合・組合役員の賛同を広げ、憲法改悪を許さない「国民過半数署名」を軸とした運動推進に積極的な役割を果たす。
  5. 要求実現に執着し、一致する要求で共同を広げる
    職場から生活と労働の実態を要求としてまとめあげ、全ての組合での要求確立・提出に全力をあげる。

──などを提起、確認されている。

 また全労連は1月27日、28日に第36回評議員会を開催、「もう一つの日本は可能だ! 05春闘の前進で安心・平等・平和な社会に」をスローガンとした「05春闘方針」を決定し、労働者の統一闘争と国民との共同が春闘勝利のカギであることを確認した。

*MIC

 MICは2004年12月19日の春闘討論集会を開催、各単産より05春闘にむけての取り組みの報告や意見交換を行い、05春闘を始動させている。

 1月19日幹事会において、05春闘スローガン「平和と正義のためのMIC '05春闘 No War ! More Justice !」、サブスローガン「憲法改悪、教育基本法改悪を許さない」「知る権利と表現の自由を守ろう」「9条を世界に広めよう」を提起。

 具体的な取り組みとしては、上記スローガンに基づいた05春闘リーフレットづくりに取り組み、各単産の春闘に活用すべく2月中に完成させ配布する予定である。さらに3月17日は昼デモ(神保町)と、夜はMIC春闘決起集会を豊島公会堂で開催、4月1日には夜の銀座デモ、4月8日にはMIC争議支援総行動を実施することが確認されている。

3. 映画・映像産業の情勢

(1) 映画産業の情勢

 映連が1月31日に発表した2004年の映画統計によると、邦画実写では「世界の中心で愛を叫ぶ(興収85億円)」、アニメでは「ハウルの動く城(200億円)」などが健闘し、洋画メガヒットと併せて、興収では史上最高の2109億1400万円(前年比3.8%増)、映画人口は1億7009万2000人(前年比4.8%増)を記録した。

 洋画では「ラストサムライ(137億円)」「ハリーポッターとアズカバンの囚人(135億円)」「ファインディング・ニモ(110億円)」「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還(103.2億円)」などに興収が集中した。寡占化傾向が叫ばれるようになって久しいが、その深刻度は軽減されるどころか益々悪化している。

 スクリーン数の増加具合はこの数年やや落ち着いているとはいえ、増加傾向は続き、93年以降の12年間で1091増(162.9%)の2825スクリーン(前年比144スクリーン増)となった。シネコンの比率は、63%に達している。

 シネコンが初登場した93年当時(1734スクリーン)の年間興収は1637億円、1スクリーン当たり9441万円を稼ぎ出していた計算となる。ところが2000スクリーンを突破した99年以降、劇場数の増加に興収は追いついておらず、現在では1スクリーン当たり7466万円へと下降している。

 また、10億円以上のヒット作(邦20本・洋31本)で興収全体の8割を占めている現状のマーケットに、これ以上のスクリーンを投下し続けることは、受け手である観客にもメリットがあるとは思えない。むしろ強化すべきは肥大化したマーケットにどういった商品を供給するか、ここに力が注がれるべき時が来たのではないか。

 目新しいSC(ショッピングセンター)に最新設備を持ったシネコンが登場し、これまでにない観客層の掘り起こしに成功した映画興行。だが結果は、メガヒット作で寡占化したいびつな状況を生み出した10年でもあり、与えられた作品を観る、といったシネコン黎明期であったと言えはしないか。そして今後は、観客が情報の多様化が進む時代に応じて選択の幅を求める成熟期へと移行するよう、製作・配給側が力をつけるべき時が来たのではないか。

 国内の製作・配給の状況は、ハリウッドや諸外国のそれと比較して、そして現状のマーケットに対しても、依然として脆弱なままである。

 04年に公開された劇場用映画は、邦画310本(前年比23本増)、洋画339本(前年比4本増)の合計649本(前年比27本増)。これだけの作品数がありながら、現実には興収10億円以上を稼ぎ出す僅か51作品に、全興収の8割が占められている。また、日本映画の興収ベスト20のうち、16本が東宝配給作品であった。

 中小プロダクションが製作・配給する作品は、観る側が努力しない限り観ることができないという状況は(観る努力をしても見られない状況は)、シネコン時代に入ってより顕著となりつつある。肥大化したマーケットに対抗できる手段を、公的支援や新たな規制といった面からも検討が開始される必要があるだろう。

 しかし映画は、アニメの海外輸出拡大とあいまって国の政策としても注目されているものの、一昨年文化庁が提起した「日本映画振興のための12の提言」は具体的な進展がなく、専ら「著作権保護」や「産学連携」、観光開発中心の「フィルムコミッション」に力点が置かれ、実際の映画製作に資する施策はあまり進んでいない。

 文化庁の17年度映画支援予算案は24億7000万円となり、昨年度25億100万円から減少に転じた。職員が11人しかいないフィルムセンターの増員要求(概算要求時にはあった)も、切られた。わずか6団体への団体助成だった映画製作への重点支援が、作品への直接支援(14作品)に変更されたことは、私たちの要求が叶ったものであるが、演劇への支援まで団体から公演支援へと変更されたことは、その影響が心配される。

 文化庁の施策が力を失いつつある中で、知財本部や経産省、経団連主導での産業振興策が推進されている。昨年12月6日、映画映像産業の支援・振興を目的に「映像産業振興機構(理事長・迫本淳一松竹社長)」が設立された。映画を支援する独立機関の設立は多くの映画人の願いであったが、この「映像産業振興機構」は、政府の知的財産推進計画に基づいて日本経団連のエンターテインメント・コンテンツ産業部会主導で作られたもの。理事のほとんどが大手映画会社や放送局などの経営者で占められている。財界主導で日本映画は真に発展するとは思えない。

 東宝、東映、角川映画は撮影所のリニューアルを行ったが、映画製作と人材の拠点であるべき撮影所への公的な支援はまったく進まず、公設オープンセットの建設も提案の域を脱していない。


 東宝は、巨費を投じての撮影所リニューアル、東宝プロパー作品の拡大といった製作強化以上に、配給事業の強化でマーケットの独占を狙うかのような勢いを持続している。

 「世界の中心で愛を叫ぶ」「いま、会いに行きます」「ハウルの動く城」などの大ヒット作に恵まれ、平成17年2月決算の業績予想はこれまでの記録である第113期の営業収入984億400万円を超え、初めて1000億円の大台に到達することも夢ではない状況である。

 東映は、ようやく不良債権処理が終わって「ゼロからのスタート」。テレビ事業、ビデオ事業、版権事業は好調だが、肝心の映画事業の番組力が弱く、今年も邦画のブロック・ブッキングチェーンに洋画の「マスク2」が掛かる。昨年末からは直営劇場従業員に希望退職を募集した。

 松竹は、昨年来の映画興行の好調さを持続、新たにアニメ事業本部を立ち上げ、「忍SHINOBI」では初の個人向け映画ファンドを開始するなど、新機軸も打ち出した。1月26日には、来年にかけて邦画27本を含む56本ものラインナップ発表を行っている。創立110年を意識した動きとも取れるが、皮肉にも06年予定の「鬼太郎」実写版ばかりが注目された。

 撮影所問題では1月17日に都労委で和解が成立、今後は建設に向けた具体的な協議へと移されるものの「今後2年間で」という会社方針を握る鍵はラインナップの動向とも言える。

 角川映画は2004年4月、角川大映映画から「角川映画」に社名を変更。角川グループの一員であることがより鮮明となった。また、日本ヘラルドの株式取得、ユナイテッド・シネマへの住友商事との共同出資、ビデオ販社・角川エンタテインメントの設立、ドリームワークスとの提携など、角川グループの映像部門の拡充が進んだ(なお、日本ヘラルドおよびユナイテッド・シネマへの出資は、角川映画による出資である)。

 そうした中、持ち株会社角川ホールディングスが2004年東証一部に上場。環境が激変する中、角川映画に労基署の査察が入り、残業手当の見直しや、36協定の締結が急務となった。

 また、それに端緒を発し、給与制度全般の見直しや、フレックス制度、裁量労働制などの導入まで視野に入れた大きな労働条件の変更が、現在、会社、組合双方の話し合いの中で急ピッチに進もうとしている。

 角川大映スタジオにおいては、第一次のリニューアルを終え新たなるスタートを切ったが、2004年11月、第3ステージ内のセットが全焼する火事があり、新たな設備投資の必要に迫られている。

 日活は、久々の大作として「レディ・ジョーカー」を送り出したが、結果が伴わず経営的にも厳しい局面を迎えている。衛星事業とともに稼ぎ柱となっていたパッケージ部門も今期は厳しく、一連の経営責任を追及する声が上がっている。親会社ナムコは「日活がナムコの足を引っ張っている」と言い放ち、日活経営陣は資産の切り売りなどで2月決算の「黒字」化と保身に躍起になっている。某社への身売り説まで浮上し、日活は今また大きな経営危機に直面している。

(2) 放送界の現状

●地上デジタル放送問題

 地上デジタル放送は、現在NHKハイビジョンと民放各局で、東名阪で放送が開始され、今年末からは中核都市でも始まり、それ以外の地域でも随時開始される。そして当初の予定通り、2011年7月24日には全ての地上波アナログ放送が停波することになる。

 景気の緩やかな回復を基に、家電業界の買い替え需要も顕著で、液晶テレビの廉価も加速し売れ行きも好調、地上デジタル放送チューナー搭載のモデルも増え、一般家庭にも地上デジタル放送を視聴できる世帯が増えてきている。

 しかし、ハードの普及とは逆に、ソフト面での供給がどう推移するのか注目されている。現在、デジタル放送への移行を前提として、これからはより独自性を発揮するような番組制作が求められる。

 そのため放送各局においては、番組制作費の増加が懸念され、経営体力への圧迫が起こり得るであろう。また、デジタル放送におけるインフラの整備にも莫大なコストが掛かることも、それに拍車を掛けることが予想される。そのため資金調達力に差のある局が分かれる結果になり、放送業界でも大きな地殻変動が起こるとも言われている。

 昨年フジテレビが青海に巨大スタジオを建設すると発表したのも、先を見越しての経営戦略であると言われている。逆に急速な動きに対応できない局においては、何らかの人的リストラ、また電波の送信性による地方局の整理・統合などが起こり得るとも言われている。

 しかしそれ以上に深刻なのは、地上デジタル放送の概要がいまだ世間的に認知度が低いと言われている事である。このままの状態で6年後に現状の地上波アナログ放送が完全停波したとするならば、一般視聴者にかなりの混乱をもたらすことになるであろう。そのためにも受像機の価格下落や魅力的な番組供給などをし、普及に力を注ぐ必要があると言われている。なにより一般視聴者の負担を軽くし、デジタルへの移行を広く享受できるように進めるべきである。

●NHK問題

 プロデューサーの番組製作費流用問題を発端として、NHKの経営体質そのものを疑問視する問題が浮き彫りになった。マスコミは、不祥事がNHKの経営体質から来ているものであると指摘、その大元の責任として、海老沢会長以下の古い経営体質の存在が問題であると報道、海老沢会長の退陣を促す報道をしていたが、海老沢会長自身は不祥事の早期解明、体質改善を行なう事を根拠に会長職の続投に意欲を示し、開き直りの姿勢を見せた。そのために、不透明な部分を打ち消すべく、海老沢会長出演による検証番組などを放送したが、内容的には実にお粗末な内容で、これにますます怒った視聴者の受信料支払い拒否も増加(全国で30万件以上が発生)、ますます窮地に陥った。

 NHK内部最大の労働組合である日放労も海老沢会長の退陣要求を掲げ、シンポジウムなどでアピールした。

 そののちNHKは経営委員会のメンバーを刷新し、古い体質の改善に向け歩み始めた。冒頭の席で海老沢会長は、暗に自主的な辞任を匂わす方向に変化し、辞任は時間の問題とされた。

 その騒動のさ中、朝日新聞が4年前のNHK・ETV特集「問われる戦時性暴力」(2001年1月30日放映)で、政治家による不当な介入があったとする内部告発を報じた。その中で名前の出た安倍晋三、中川昭一の両政治家による事前検閲、そしてNHK幹部による内容改ざんの疑いがかけられた。両氏は揃って各メディアにおいて疑惑を否定したが、その後プロデューザーによる実名告発の会見が開かれ、疑惑はいっそう深まっていった。

 政治家らは「公平な立場での報道を求めたに留めた」と弁明しているが、その連中のした事前の圧力自体が、まさに「報道の自由」を侵害する大問題であり、なおかつNHKという公共放送が、かのようなネオコンサバティブの権力者の意向でいかようにも改ざんすることが出来る、という事実が裏付けられたとも言える。非常に恐ろしい事態である。

 また、予算承認で政府与党に常に睨みを効かされているせいか、政府与党政治家への放送内容の事前報告を当然のこととし、現場の自主性を尊重せず、平気で内容改ざんを命じるという、NHK幹部連中の報道の自由への認識の欠如、足腰の弱さが如実に顕れた結果である。この組織はすでに内部から瓦解しているのである。

 かのような不祥事が重なり、海老沢会長はようやく辞任を発表したが、直後に顧問として残るという事実が発覚し、それが元で視聴者からの大量の抗議FAXが舞い込み、すぐに辞退を申し出るという体たらくであった。

 かくしてNHKの一連の不祥事は、今後の公共放送のあり方を含め、いろいろな問題を提起する結果になったが、これ以降も内部の組織を守るばかりに終始し、視聴者の目線に立って報道する姿勢を亡くしているのなら、転落する日は近い。

 今年2月5日、市民団体が「『女性国際戦犯法廷』とNHK・ETV特集/緊急集会in東大」を計画したが、NHKは著作権を盾に「問われる戦時性暴力」の上映を許可しなかった。

(3) 映像ソフト業界の状況

 2004年に入り、DVDビデオの販売枚数は前年と比較して依然として増加傾向にある。先頃日本映像ソフト協会が発表した2004年1月〜11月の売上累計実績(報告31社)では、映像ソフト全体で3,234億2100万円。内訳はビデオカセット508億500万円(15.7%)、DVDビデオが2,726億1600万円(84.3%)となっており、前年同期比ではビデオカセットが62.3%、DVDビデオが122%となっている。

 特筆すべき点としては、レンタル店用のDVDビデオタイトル枚数と売上が昨年に比べて2倍に増えており、レンタル市場でのDVD導入に拍車が懸かっている。

 また、今後5年間のビデオソフト市場の推移についての調査結果では、2005年にはビデオソフト市場は4,000億円超、2008年には販売用DVDの低下はみられるものの市場規模は拡大し、レンタル市場においてはビデオカセットが減少するもののDVDが伸び、約5,000億円に近い規模になると予測している。

 ハード面では、2004年末のDVD再生機器の世帯普及率は55.4%で、2008年末には82%に上昇すると予測している。大容量のHDD付DVDレコーダーが急速に普及し始め、家電店間での販売競争の激化により、販売価格帯もかなり下がってきている。

 次世代DVDを巡る動向について、先頃米映画大手会社に大きな動きが見受けられた。東芝、NEC、三洋電機が推す「HD DVD」陣営にパラマウント・ピクチャーズ、ユニバーサル・ピクチャーズ、ワーナーブラザーズ、ニューラインシネマから支持を獲得。ソニー、松下電器産業が推す「ブルーレイ・ディスク」には20世紀フォックス、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)、ディズニーより参加表明があり、両規格ほぼ互角の争いとなっており、今後の展開が注目される。

(4) アニメ産業の状況

●テレビアニメ

 05年1月現在のテレビアニメーションは地上波放送で週71番組。相変わらずの作品数である。DVD販売を目的にした。深夜作品(9から13本で完結)ばかりではなく、ゴールデンタイム付近の番組も昨年より若干増えている。土、日曜日の午前中のアニメを含む子供番組の時間は定着化している。地上波とCS、BSも含めた1月の新番組は12作品。

●劇場アニメ

 宮崎監督の「ハウルの動く城」が昨年11月20日から全国448スクリーンで公開され、1月2日まで44日間の観客数は、1010万6284人。日本映画の動員歴代記録は、2350万人だった宮崎監督の前作「千と千尋の神隠し」で、配給の東宝では「前作と同規模のヒット、あるいは歴代1位の座も狙える」として、相変わらずの一人勝ち状態である。

 同じく東宝配給の「映画 犬夜叉 紅蓮の逢莱島」「劇場版 とっとこハム太郎 ハム太郎とふしぎのオニの絵本塔」も大ヒットしている。

 今年も日本映画のベストテンもアニメーションが常連どころかドル箱になっている。また海外では、昨年日本でも公開された押井守監督の「イノセンス」がアカデミー賞候補作品に選ばれた。

●初めて労働実態調査

 のびのびになっていたアニメスタッフの労働実態調査が、アニメーターの実態調査として実施されることになった。調査項目も決まり、2月10日、芸団協から日本動画協会傘下のプロダクションを通じて行われる。

●課題とこれからの闘い

 一方、製作現場のアニメーター不足は解決していない。製作、市場とも海外を抜きには考えられなくなっている。特に、3日で1万枚の動画、仕上げがあがると言われる中国は、単なる下請けではなく、製作のハンドワーク部門を支えているのが実情である。国内で描けるアニメーター確保のために月極め雇いをするプロダクションもあると聞く。

 海外では、中国は、国内でのブランドの確立を目指し、12月7日に「国家アニメ産業基地」と「アニメ産学研究基地」が設立され、アニメの本格的国家支援がはじまった。韓国では、すでにマンガやアニメ、映画などを有望な輸出産業と認定して様々な支援を行っている。

 日本では、今年も3月31日から4月3日までの4日間、東京ビッグサイトで東京都主催の「東京国際アニメフェア2005」が行われる。見本市傾向が強まる中で、今回は、若手クリエーター発掘、支援の場として、「クリエーターワールド」「アニメルーキーズ」が設けられる。 行政や他業種からのアニメーションへの感心はあいかわらず高いが、DVD販売や版権収入など目先の利益への期待が強く、作品の質的向上やキャラクターや作家を育てるなどアニメーション産業の強化や人材育成に目が向いていないように思える。このままではそう遠く無い将来、アジア製アニメーションに日本が席巻されるかも知れない。

 またアメリカでは3次元アニメに移行しつつあり、ディズニーは2次元のアニメーターを解雇した。日本でもその流れが生じるかもしれない。

 日本のアニメ界には、東映動画労組以外にはわずかな労働組合員しかいない。アニメ界に力のある労働組合を打ち立てることは、日本のアニメ界にとって急務である。個人加盟の映演労連フリーユニオンに、アニメ労働者を大きく組織していこう。

4. 演劇界の情勢

 バブル崩壊後、各劇場・劇団ともに観客動員や企画に苦しむという状態が慢性化し、近年は伝統文化である歌舞伎や、ミュージカル公演が堅調に推移するという情勢が続いている。

 歌舞伎は2004年「十一代目海老蔵」襲名が各劇場で空前の大成功を収め、続いて2005年3月〜5月、3ヶ月連続の歌舞伎座を皮切りに全国各劇場にて行われる「十八代目中村勘三郎」襲名興行は、はやくもこれを凌駕するものにあるであろうと喧伝されている。さらに鴈治郎は、240年ぶりにその名跡を復活させることになる「四代目坂田藤十郎」を12月京都南座顔見世興行で襲名する。

 自ら演出を手がける俳優が人気を博し、世代別にも実力のある俳優が出揃い、磐石の体制を築いているようでもある。

 ただし、中長期的にみれば歌舞伎も緩やかな低落傾向にあり、現実的には、大名跡の襲名興行のあるなしによって業績は大きく左右される。

 2001年に発表された5つの襲名計画は「四代目坂田藤十郎」で終了するが、2005年が大盛況であったにしても、その後は再び緩やかに低落を始めるのではないかとの懸念はぬぐえない。また公演回数の高止まりが稽古時間の短さとメインテナンスの不行き届きを招来し、舞台スタッフは大道具、小道具など過酷な労働条件を強いられ、後継者不足が慢性化・深刻化している。

 ミュージカルでは専用劇場設立を続けていた劇団四季が、2004年東京、五反田に1983年以来公演を行っているブロードウェイミュージカル「キャッツ」の専門劇場「キャッツ・シアター東京」をオープンさせた。1953年の結成以来、専用劇場による日本発の欧米型無期限ロングラン公演やチケットの電話予約〜ネット予約を定着させ、6万人を超える会員組織「四季の会」を活用するなど、ショービジネス=演劇興行という不確定要因の強い分野において、ビジネスとして確実性を高める方策を常に打ち出し続けている「ライオンキング」「オペラ座の怪人」「マンマ・ミーア」などを成功させ、年間観客動員数は約250万人に及ぶ。

 帝国劇場は、演出を一新したミュージカル「エリザベート」の3ヶ月公演や、11年ぶりに再演のミュージカル「ミス・サイゴン」4ヶ月公演が好評を博している。

 宝塚歌劇は2003年創立90年を向かえて以降も高稼働を続けているが、歌舞伎同様トップスターのお披露目公演に興行成績が左右される傾向も顕著である。

 2003年11月に阪急電鉄に売却されて以降ドラスティックなリストラを実行してきた梅田コマ劇場は、2005年4月よりシアタードラマシティーとあわせた2館を「梅田芸術劇場」と改称する。

 東京・有楽町の東宝本社ビル再開発に伴い、2005年3月末をもって芸術座が閉館することが発表された。日比谷映画劇場・みゆき座の映画館2館も併せて閉館する。同ビルは築47年が経過し、老朽化のため建て替えが検討されていた。今年3月に上演1700回を達成した森光子主演の『放浪記』が、最後の上演となる。東宝は新本社ビルに芸術座と同規模の劇場を設置し、2007年11月にオープンさせる予定である。

●演劇産業の課題

 文化庁は文化芸術への重点支援を行う「文化芸術創造プラン」など文化芸術の振興施策を推進しているが、平成17年度の文化庁要求案は、「オペラ、バレエ、演劇等の重点支援による最高水準の芸術の創造」が99億2600万円(前年98億7500万円)。内訳は「芸術創造活動支援事業」67億円(5分野、697公演)、「芸術拠点形成事業」10億2300万円、「舞台芸術の国際フェスティバルの開催」3億3800万円、「優れた芸術の国際交流」18億6500万円となっている。

 映画同様、団体支援がなくなり公演支援となったが、映画と異なり、演劇分野においては団体にこそ支援されるべきである。公演ごとの支援となれば、697もの支援公演を公演ごとに審査しなければならず、大混乱と支援の停滞が予想される。

 また舞台製作現場を中心に、働く仲間は常に過酷な労働条件と危険な職場環境での就労を余儀なくされている。過労死・労災事故を防止するために、制度と環境の整備、すべての職場への労働基準法適用が急がれなければならない。

II. '05春夏闘の課題と取り組み

1. 憲法改悪阻止をめざす闘い

  1.  私たち映演労連は、憲法改悪阻止の闘いを'05春闘の中心課題に位置づけ、創意工夫した運動を展開する。
     「映画人九条の会」の事務局団体として、運動の発展に全力を傾ける。「映画人九条の会」は、会員1000人(2月7日現在739人)の早期達成をめざすとともに、3月3日に「映画人九条の会3・3映画と憲法対談集会/黒木和雄VS小森陽一」を行い、4月上旬に「反戦・反核映画上映会」を計画する。
     「九条の会」「憲法改悪反対共同センター」などとも連携し、憲法改悪阻止の闘いを映画演劇界、単組支部の隅々に広げる。
  2.  「憲法を守る有志の会」とともに、憲法改悪阻止の具体的運動論を各方面に提起する。また、憲法改悪のための国民投票法案を国会に提出させない運動を強化する。
  3.  政府与党は、今年の通常国会で教育基本法を改悪しようとしている。教育基本法は平和憲法と対を成すものであり、この改悪を断じて許してはならない。映演労連の中でも、早急に教育基本法問題への関心を高める。

2. 大幅賃上げ、高額夏季一時金の獲得、諸要求実現の闘い

  1.  経団連の'05春闘方針では、好調企業の賃上げを容認する半面、ベースアップ交渉の終えん、定期昇給制度の廃止を打ち出している。
     私たち映演労連は、「映演労働者に誰でも1万円以上」の産別底上げ要求基準に基づいて、多くの企業で賃上げ1万円台の復活をめざす。すべての時間給労働者に時給50円以上の賃上げを勝ち取る。
     また全国一律最賃制の確立(ナショナル・ミニマム)を軸に、産別最賃制(月額16万円、日額8,000円、時給1,000円=いずれもキャリア・ゼロの場合)を要求し、映演労連各社との協定化をめざす。
     成果主義賃金、裁量労働制などの導入に反対する。
  2.  労働者の年収がマイナスとなっているなかで、生活を守る一時金の獲得はかつてなく切実な要求となっている。夏季一時金の要求額は、「生計費原則」をもとに各労組で組合員が確信を持てる要求を作り上げ、粘り強く闘って高額生補金獲得をめざす。
  3.  「合理化」反対闘争と経営批判闘争、経営の民主化と再生に向けた闘いを映演労連 '05春闘の中心課題とし、経済闘争と結合しながら全力を挙げて闘う。
  4.  四月昇給、定年延長、65歳までの雇用保障、退職金制度の維持・拡充、福利厚生の充実など諸要求を重視し、前進を勝ち取る。「改正高年齢者雇用促進法」の施行に向けて、65歳までの雇用保障を求める闘いを緊急課題として取り組む。
     また女性労働者の労働環境改善をめざす。コース別採用差別、学歴差別、昇進・昇給格差など、あらゆる女性差別に反対し、真の男女雇用機会均等の実現、女性労働者の能力活用、職場での地位向上をめざす。育児休業制度、育児時短、看護・介護休職制度の実現と改善を進める。
     また、契約労働者への労働基準法適用運動を進め、東映アニメーション契約者の労基法適用労働者認定と退職金制度実現をめざす裁判闘争(準備中)を支援する。
  5.  20数年前の映演産業の斜陽化時代に各社にもたらされた残業代の頭打ち支給、減額支給、固定時間外などの負の遺産の解消をめざすとともに、36協定の締結、長時間労働の解消などを押し進める。
     週休2日制・週実働35時間の実現、不払い・サービス残業の一掃をめざす。
  6.  「映演労連'05春夏闘要求書」を豊かなものにし、映演各社との映演労連団交をいっそう重視する。映演労連フリーユニオンも組合員が働く企業に要求書を出し、交渉を行う。また、今年から「全労連'05春闘統一要請書」を映演各社に提出する。
     各労組の要求書はできるだけ早めに提出し(3月上旬)、スタート良く闘う。
  7. 3月中に「'05春夏闘勝利をめざす産別統一スト権」を確立して闘う(2月21日投票開始、3月18日集約予定)。
  8.  産別統一闘争を強化するため、3月3日「映画人九条の会3・3映画と憲法対談集会/黒木和雄VS小森陽一」、3月4日「3.4春闘一日総行動」3月17日「'05春闘第1次全国統一行動」「MIC昼デモ、MIC'05春闘決起集会」、4月1日「夜の銀座デモ」、4月8日「MIC争議支援総行動」、5月1日「第76回メーデー」などを【映演労連統一行動日】と設定し、全力で成功させる。
  9.  全労連、国民春闘共闘、MICなどと連帯し、CSR(企業の社会的責任)追及運動、増税反対、社会保障改悪反対、労働法改悪反対などに取り組む。各種集会・デモなどに積極的に参加する。

3. 「合理化」に反対し、職場と権利を守る闘い

  1.  私たちは'05春闘前に新撮影所建設を求める松竹闘争を勝利和解し、偽装廃業・全員解雇と闘った中央興業闘争も勝利した。松竹闘争は支援共闘会議を残し、撮影所建設着工まで監視を続ける。
     映演労連全体としては、今後は経営危機・撮影所存続などと闘う日活闘争に重点を移す。また、劇団四季舞台監督の解雇撤回闘争など映演労連フリーユニオン内の一人争議の勝利をめざして闘う。MIC争議団、全労連争議団の勝利をめざして、積極的に支援する。
  2.  一方的なリストラ「合理化」攻撃には臆せず毅然とした姿勢で対処し、産別の闘いに広げる。「解雇権乱用の禁止条項」や労基法改正案の国会付帯決議、「整理解雇の4要件」を生かし、解雇権の濫用を許さず、争議経験と教訓を結集して闘う。日ごろから経営チェック能力を高めるとともに、事前協議制を確立する闘いを進める。また、経営責任を厳しく追及する。
     また、パート労働者、アルバイト労働者の雇用と権利を守る。「不当労働行為」には機敏に反撃する。
     重大な「リストラ」「合理化」攻撃があった場合には、緊急に産別統一スト権を立てて闘う。
  3.  改悪労基法・改悪派遣法を職場に持ち込ませない闘いを重視する。また、更なる労働法制の改悪を阻止するため、全労連など全国の仲間と連帯して闘う。

4. 映演産業の基盤拡充と文化発展をめざす闘い

  1.  映画振興懇談会の「12の提言」と、映演総連の「日本映画に関する要望書」の早期実現を求めて、05春闘でも文化庁、経済産業省、映連、日本動画協会、映像産業振興機構などと交渉を行う。
     また昨年実現した映画アニメスタッフアンケート(文化庁が芸団協に委嘱、映演労連などが協力)の結果を活かすため、厚労省とも交渉を行う。
  2.  日本映画への公的支援拡充運動の新たな方向性を探るため、映演労連の産業政策委員会を開催し、検討を開始する。特に、撮影所への公的支援強化、公設オープンセット建設、人材育成、フィルム保存、フィルムセンターの独立行政法人・国立近代美術館からの独立、日本映画上映網の確立などについて議論を深める。
  3.  演劇についても「映演労連政策委員会」を設置し、「最高水準」の舞台芸術への重点支援に偏った「文化芸術創造プラン」の見直し、芸術文化振興基金の縮小反対などの「演劇支援要望書」を作成し、文化庁などに提出する。
  4.  日活調布撮影所の存続とリニューアル、松竹新撮影所の早期着工、東映京撮の縮小反対など、日本映画の製作基地確保の闘いを進める。
  5.  アニメ労働者の生活と権利を守り、日本のアニメ産業の空洞化を防ぐために、アニメ対策プロジェクトで「アニメ産業改革案」を作成し提言していく。日本動画協会との交渉も継続する。日本のアニメ労働者を組織するため、思い切った手を打つ。アニメ労働者の組織化を急ぐ。
  6.  フリー労働者の権利確立と生活保障、労働災害防止、労災保険、雇用保険、労基法適用の前進に向けて闘う。
  7.  終戦60年に向けて様々な「戦争映画」が作られている。歴史の真実を偽り、社会の現実をねじ曲げて国民の目を惑わす軍国主義的、右翼的な映画・映像・演劇については、毅然たる姿勢で批判して行く。
     映画の創造と普及・鑑賞の自由を守る闘いを進め、優れた映画・映像・演劇を推薦し普及する運動に協力して行く。
     日本映画復興会議の活動に積極的に参加する。3月26日予定の「日本映画復興会議・全国集会」を、昨年同様「映研集会」規模で成功させる。
  8.  舞芸の「芝居を見る会」、映演労連「舞芸劇団支部の舞台を観る会」も継続し、映演労連の文化活動を旺盛に展開する。

5. 平和と民主主義を守る闘い

  1.  憲法改悪阻止の運動を中心に、イラク戦争反対、自衛隊のイラクからの撤退など、反戦平和と民主主義を守る闘いを進める。
  2.  平和運動推進委員会による映演労連の反戦平和イベントを行う。MICが行う8月の「日韓交流フォーラム」「MIC長崎フォーラム」にも参加する。
  3.  1月早々から自民党の安倍晋三幹事長代理、中川昭一経済産業相がNHKに圧力をかけて番組内容を改ざんさせた問題が発覚し、またもNHKと自民党の底知れぬ腐敗の様相を見せつけている。自民党や安倍幹事長代理、中川経産相、NHKに抗議を集中し、厳しく批判して行く。

6. 組織強化と拡大の闘い

  1.  私たちは昨年10月の第53回大会で、名称を「映演労連」に改称した。また私たちは、今年秋の定期大会では全労連への正式加盟をめざし、3年後の個人加盟方式の単一組織「映演労組」への組織転換をめざすこと、組織方針として決定した。
     すでに2回の「組織改革委員会」を行っているが、この'05春闘から本格的な討議を開始し、「全労連正式加盟」については、'05春闘から教宣活動を始める。
  2.  魅力ある組合づくりを進め、'05春闘の中で不断に組織拡大を進める。企業系列内での組織拡大、未組織労働者の組織化などいっそうの組織拡大を進め、映演労連を中心にした産別の組識と運動をさらに前進させる。
     全映演との連携をいっそう強化し、「映演労連・全映演定期連絡会議」を充実させる。
  3.  組合に入っていない契約社員、アルバイト労働者、フリー契約者、管理職労働者を「映演労連フリーユニオン」に組織していく。また、アニメ労働者の映演労連フリーユニオンへの組織化を、今期も重要課題とする。
  4.  「映演総連カード(組合員証)」の活用地域を拡大し、「映演総連カード」を組織拡大の武器にしていく。
  5.  教宣活動を重視し、「映演労連ニュース」の月一回発行、「映演労連ホームページ」「パソコン・ネットワーク」の更なる充実をめざす。
  6.  映演労連内の連帯強化をめざし、各労組間の交流や学習会、決起集会、映演労連女性連絡会、青年部活動、文化部活動、平和運動などへの参加を強化する。映演労連女性連絡会の活動をなんとしても復活させる。
  7.  2月28日の第13回映演労連執行委員セミナー「団体交渉の進め方」を成功させる。

III. 闘いの主なスケジュール

予定
2月 21日 産別スト権投票開始
28日 第13回映演労連執行委員セミナー「団体交渉の進め方」 (18:45〜松竹13F)
3月 上旬 各労組要求書提出
3日 映画人九条の会3・3映画と憲法対談集会/黒木和雄VS小森陽一」
(18:50〜文京区民センター3A) 【映演労連統一行動日】
4日 3.4春闘一日総行動 【映演労連統一行動日】
日活支援共闘会議 (19:00〜日活)
8日 中央興業闘争勝利報告集会 (18:30〜建設プラザかながわ)
11日 映演労連第4回中執 (15:00〜文京区民センター2B)
13〜14日 舞芸春闘学習会
16日 集中回答日
17日 '05春闘第1次全国統一行動
MIC昼デモ(12:15〜錦華公演)
MIC'05春闘決起集会 (18:30〜豊島公会堂) 【映演労連統一行動日】
18日 産別スト権集約予定日
20日 国際反戦共同行動3.20集会 (13:30〜日比谷野音)
27日 日本映画復興会議全国集会 (10:00〜渋谷勤労福祉会館)
4月 1日 夜の銀座デモ (18:30〜銀座公園) 【映演労連統一行動日】
5日 マスコミ九条の会設立の集い (18:30〜文京シビック小ホール)
8日 MIC争議支援総行動 【映演労連統一行動日】
20日 '05春闘第2次全国統一行動
5月 1日 第76回メーデー (代々木公園) 【映演労連統一行動日】
7日 教員基本法改悪反対全国集会
20日 国民大集会(予定)
        
以上