映演労連第54回定期大会報告

この国を「戦争する国」にしてはならない。九条を死守しよう!
映演労働者の拠り所として、さらに強くなろう映演労連!

 私たち映演労連は去る2005年10月17日中央区月島区民館において第54回定期大会を開催しました。映演総連から映演労連に名称を変更してから1年、この間にも様々な闘いや活動に取り組みました。組合潰しの偽装廃業撤回を求めた中央興業闘争、撮影所建設の協定破りを糾弾した松竹闘争、そして「株は買えても従業員は買えない」を合言葉に企業の一方的なM&Aを阻止した日活闘争などが勝利的に解決。国内初となる映画・アニメスタッフの実態アンケート調査も文化庁の重い腰を突き動かし実施させました。その他精力的に取り組んだ1年間の活動内容を総括し、新たな方針についても決議しています。

組織の強化・拡大をめざした方針について

 映演労連では各単組代表者を中心に「組織委員会」を開催し個人加盟労組への組織転換について議論を重ねてきた。正社員を基本とした企業内組合の集まりでは産業的課題に立ち向かうどころか、組織の維持すらままならない。組合員数1,300名程度の映演労連だけでも、そこに働く労働者は管理職や契約・アルバイトを含めると7,000名を越えている。圧倒的多数が未組織の労働者で構成される産業は映画・演劇に留まらず全産業に及んでいる。その構成比率は21世紀を迎えて益々顕著となっており、組合組織率低下の最大要因でもある。こうした中、映演労連の個人加盟への組織転換は日本の労働運動にとっても先駆的な実験であり、意義ある挑戦と言えよう。

全労連への正式加盟が投票行為により採択

 昨年大会で投げかけていた全労連への正式加盟は、各単組の職場討議にはじまり、大会内での意見交換、そして投票行為を経て無事に可決。11月現在、全労連事務局と正式加盟に向けた手続きを進めている。来年予定の全労連大会で映演労連から幹事を送り出す用意があることも伝えている。組合費については方針通り、現行の経常予算内で捻出可能であることから正式加盟による組合費の変更はない。今後は全労連への積極的な提言、より密な意見交換が可能となる環境が整いつつある。

映演労連から映演労組へ(個人加盟組合への組織転換)

 単組代表者を中心とした組織委員会の議論を基に、今後は職場レベルの討議を進める。個人加盟組織への具体的な変更方法については未整理な部分や困難な事態も予想されるが、まずは組織転換の主旨や必要性について相互の理解が深まらないと先に進むことはできない。組織委員会で構想の具体化を進める一方、各職場では組織転換の意義について活発な議論を開始する。

映演労連 第54期役員
中央執行委員長
高橋 邦夫 (全東映労連)
中央副執行委員長
海老原 卓生 (日活労組)
金丸 研治 (松竹労組)
田口 仁 (全東映労連)
平井 恒男 (舞台芸術家組合)
伊橋 達彦 (大映労組)
書記長
梯 俊明 (松竹労組)
書記次長
飯野 高司 (日活労組)
坂西 勝 (全東映労連)
佐々木 晴彦 (大映労組)
中央執行委員
河内 正行 (全東映労連)
神之田 勝博 (松竹労組)
渡辺 あずさ (松竹労組)
木伏 博 (舞台芸術家組合)
小林 義明 (映演労連フリーユニオン)
溝口 真也 (関西地連担当/松竹労組)
会計監査委員
渡辺 敏雄 (全東映労連)
瀧口 貴子 (松竹労組)
組織問題アドバイザー
今井 一雄 (出版労連顧問)
第54期中央委員
松竹労組(5名)
土山 正人、山田 聡、山田 秀文、川又 裕一
全東映労連(2名)
沼子 哲也、溝口 玄
舞芸(2名)
岩上 亨 (歌舞伎座舞台)、森崎 幹子 (荒馬座)
日活労組(2名)
久野 博人、田中 誠一
大映労組
清水 俊
歌舞伎座労組
歌舞伎座事業労組
共同映画労組
柴田 聡
国際放映労組
近江 周太
国際放映管理職労組
中野 英紀
イマジカ労組
藤井 光子
映演労連フリーユニオン
安村 重幸

大会宣言

 9・11総選挙は、他の国民的課題を置き去りに「郵政民営化こそが改革の本丸である」という一点の連呼と、マスコミによる「刺客候補」など扇情的演出のもとで実施された結果、小泉与党が衆議院の3分の2の議席を占めるにいたった。与党離脱を恐れる反対派議員は手の平を返すかのように法案賛成を表明、勢いを駆って早速再提出された郵政民営化関連法案は10月11日午後の衆院本会議で、賛成多数で可決、異例のスピード通過の勢いを駆って14日午後参議院本会議でも可決、同法案は成立した。多数派が少数意見を封殺する翼賛体制化が一気に進行しようとしている。政府はまた、550を超える対象犯罪について実行されなくても謀議に加わるだけで処罰可能とする「共謀罪」を盛り込んだ組織犯罪処罰法などの改正案を10月4日閣議決定した。一方アメリカではハリケーンがミシシッピ州などに大きな被害をもたらすとともに、「小さな政府」がいかに弱者切捨ての政策を遂行してきたのかが明らかとなり、また非常の災害時の政府の対応の遅れが一層被害を増大させた。加えてイラク政策の失敗からブッシュ政権は急速に支持率を失っているにもかかわらず、大統領は敢えて事態の泥沼化望むかのように、「勝利するまで撤退はない」と断言した。テロの蛮行は世界各地に飛び火し、7月ロンドンで、10月バリ島で多くの一般市民が犠牲となっている。もはや迷走としか言いようのない米国の愚考に対して、小泉連立内閣は、ひたすら盲従の姿勢を崩さず、自衛隊イラク派兵延期が決定される見通しである。圧倒的議席多数に恃んで押し進められる翼賛体制化の総仕上げは、第9条をターゲットとした憲法改悪であることは明白である。「憲法調査特別委員会」が設置され、国民投票法案の国会提案に向けて動き出すなど、改憲の動きは加速され、日本は「アメリカのために戦争する国」へと作りかえられようとしている。

 私たちは今大会で、緊急課題として憲法改悪阻止の取り組みを強化していくことを確認した。平和を愛する日本の映画人、映画愛好者とともに、まもなく結成1周年を迎える「映画人九条の会」の運動を一層拡大し、平和憲法の改悪を絶対に阻止しよう。

 また、私たちの生活を守るたたかいも重要な局面を迎えている。郵政民営化論議の陰に隠れて、年金改悪、医療費の負担増、社会保障費の大幅負担増に加え、サラリーマン増税や消費税増税も法案提出準備が着々と進められている。経済闘争においては、業界再編の動向がめまぐるしい現状であるが、あくまでも生計費原則にもとづいた闘いを構築し、05秋闘、06春夏闘の中で要求を実現させよう。

 この1年、私たち映演労連は、偽装廃業・組合員全員解雇撤回を求め闘った中央興業闘争、新撮影所早期建設を目指し闘った松竹闘争、USENへの企業売却反対をかかげ闘った日活闘争の各争議において勝利解決を果たすとともに、フリーユニオンの仲間が闘う個人争議においても東京朝日照明では勝利和解を勝ち取ることが出来た。益々厳しさを増す情勢を跳ね返し、今後もすべての争議勝利を目指そう。また、念願であった映画・アニメスタッフの実態調査が実施された。この成果を踏まえ、フリースタッフの組織化、労働条件改善を前進させよう。産別課題に関しては、今後も文化庁交渉を継続し、公的支援の拡充、映振懇「12の提言」の具体化と早期実施、「提案・日本映画振興基金」「2005年映画進行に関する要望書」の早期実現を目指そう。

 私たち映演労連は本日第54回定期大会を大きく成功させることが出来た。昨年第53回定期大会で決議された「映演総連」から「映演労連」への改称に続き、1年間の組織討議を経て今大会で全労連への正式加盟を決議した。加えて、映演労連の個人加盟方式による単一労組化「映演労組」への組織転換についても、2年後の実現をめざして、一層の学習と具体的な討議を前進させていくことを確認した。私たち映演労連はその力以上に、大きな役割と期待を担っている。憲法改悪阻止を闘いの中心に据え、平和と自由、真の映画・演劇文化発展を目指そう。「映演労組」化を実現し、映演産業における私たちの基盤を一層強固なものとし、更なる団結力と、闘争力を高め、大いに運動を発展させよう。

 全労連、MIC、地域やあらゆる市民グループとの連帯を強化し、労働者の生活権利、国民的要求の実現、平和と民主主義、言論表現の自由、憲法改悪阻止にむけて、結集する全組合員の団結をもって闘い抜こう。

 以上宣言する。

 2005年10月17日

映画演劇労働組合連合会 第54回定期大会