働く者のいのちを奪う労働法制大改悪に抗議する

 6月29日参議院本会議で与党と一部野党の賛成によって「働き方改革」関連一括法案が可決成立した。私たち映演労連は法案強硬成立による戦後最悪の労働法制大改悪に満身の怒りを持って抗議する。

 8本の法改正を一括法案に取りまとめ本法案は、「現在の奴隷制度」「過労死促進制度」とも呼ぶべき実態を含むものであり、私たち映演労連は、強く廃案を求めてきた。

 「高度プロフェッショナル」制度は、労働者に「働き方の裁量」を与えることもなく、時間外・深夜割増手当も支払わずに、週休2日=年間104日の休みさえあれば、24時間労働を48日間連続させても、年間6144時間の就労を命じても合法となる。
 また、時間外労働と休日労働の上限規制は、過労死ライン(月100時間、2〜6ヶ月平均80時間)である上、月末・月初に残業を集中させれば月160時間もの長時間労働を行わせうることが明らかとなった。

 有期・パート労働法、労働者派遣法の規定では正規・非正規賃金格差が容認され、労働政策総合推進法は労働者保護法が適用されない「非雇用型就労」の普及・促進を謳っている。

 これら働く者のいのちを奪う大改悪を断じて許すわけにはいかない。

 データ捏造に始まった国会審議の場では、加藤厚労相や山越労働基準局長が「ごまかし、すり替え、はぐらかし」の答弁を繰り返してきたが、高度プロフェッショナル制度に関する聞き取り調査が法案要綱提出後に企業の人事担当同席の下で行われた後付けの調査であり、労働者側の「ニーズ」はなく、立法事実が完全に崩壊していることが明らかとなった。
 一方、過労死遺族との面会を拒否し続けた安倍首相は、参議院予算委員会で「経団連会長等の経営団体の代表からは高プロ制度を導入すべきとのご意見を頂いている」と答弁した。   

 産業競争力会議民間議員の竹中平蔵パソナ会長は新聞取材に対し「時間内に仕事を終えられない、生産性の低い人に残業代という補助金を出すのも一般論としておかしい」と語っている。
 モラルの破綻した政財界は産業の根幹をなす労働者のいのちを毫も顧みない。

 法案の採決強行は過労死遺族の目の前で行われた。日本で初めて労働時間、休日、休憩、深夜業、一切の労働時間規制がない労働者が誕生する。

 私たち映演労連は働く者のいのちを奪う労働法制大改悪に抗議するとともに、高プロ制度の映演産業への導入を許さず、稀代の悪法の廃止に向け全力を尽くすものである。
以上
2018年07月03日
映画演劇労働組合連合会
中央執行委員長 金丸 研治

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