東京都迷惑防止条例「改正」に抗議し
施行に反対する声明

 本日東京都議会本会議において、迷惑防止条例「改正」案(「公衆に著しく迷惑をかける暴力行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例案」)が日本共産党や一部会派を除く圧倒的大多数の賛成で採決された。

 同「改正」条例は旧条例の条文に「みだりにうろつくこと」「監視していると告げること」「電子メール(SNS含む)を送信すること」「名誉を害する事項を告げること」「性的羞恥心を害する事項を告げること」を付記し、これらの行為を規制対象とし、重罰を科するものであるが、憲法に違反し、憲法の保障する権利を侵害する危険性が極めて高いその内容は到底受け入れられるものではない。

 警視庁は「スマートフォン等の普及やSNSの利用者増加」を改正の理由としているが、既にストーカー規制法が改正され同様の行為の規制が可能となっている中、そもそも立法事実が極めて不明確である。

 一方、これまで「恋愛感情」を充たす行為に限定されていたストーカー行為が、「改正」条例では「ねたみうらみ悪意の感情」に対象が拡大され、しかも捜査機関の判断だけで告訴なく逮捕できることになる。

 また「みだりにうろつく」「名誉を害する事項を告げ、その知りえる状態に置くこと」の規制対象範囲についても、その判断は捜査機関に委ねられることになり、報道機関の取材行為、ビラまきやポスター張り、市民が国会前や路上で国会議員の批判をする、労働組合が会社前の集会で会社の批判をする、消費者が企業に対して不買運動をする、地域で住民がマンション建設反対運動をする、公害事件・薬害事件などで企業の批判をする、などの行為も規制対象とされかねない。
警視庁は都議会警察・消防委員会で正当な市民活動、組合運動、取材活動については対象ではない旨答弁したが、何が「正当な行為」かを決めることも現場の警察官の判断に委ねられており、恣意的な濫用を防止することは到底不可能である。

 また、仮に逮捕することはなくとも、「条例違反」を仄めかし、振りかざすことで、国民・市民の運動が萎縮・後退させられてしまう危険性はより一層高い。

 同「改正」条例は憲法28条が保障する労働基本権、憲法21条が保障する言論表現の自由、知る権利、報道の自由を侵害する危険性を強く孕むものであり、地方自治体の条例制定を法律の範囲内と定めた憲法94条にも抵触するものである。
私たち映演労連は東京都迷惑防止条例「改正」に強く抗議するとともに、その施行に断固反対するものである。
以上
2018年03月29日
映画演劇労働組合連合会(映演労連)
中央執行委員長 金丸 研治

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