安倍壊憲を許さない特別決議

 日本国憲法施行70年を迎えた今年5月3日、安倍晋三首相は、改憲派民間団体の会合におけるビデオメッセージと読売新聞紙上で、「憲法9条1項2項はそのままにした上で新たに3項を加えて自衛隊の存在を明記する」、「高等教育の無償化についても改憲したい」と主張し、「東京オリンピック開催の2020年に新憲法施行をめざす」と改憲日程にまで言及した。

 2012年12月の政権交代後、2013年12月の「特定秘密保護法」成立強行、2014年7月の集団的自衛権行使容認の閣議決定、2015年9月「戦争法」成立強行、2017年6月「共謀罪法」成立強行と、議会制民主主義と立憲主義を踏みにじって憲法違反の法律を強行成立させてきた安倍政権による、戦争する国づくりの総仕上げとしての9条明文改憲着手宣言に他ならない。

 3項自衛隊明記の発案は極右団体日本会議によるものであり、関連機関紙には「自衛隊を明記した第3項を加えて2項を空文化させるべき」とその狙いがあからさまに語られている。「後法は前法を廃する」という法原則に照らしても、9条2項が相矛盾する3項によって廃止同然に空文化=死文化されることは明らかである。

 3項加憲は自衛隊の現状追認などでは全くない。戦力不保持、交戦権否認を規定した9条2項の統制下、辛うじて専守防衛の自衛力としてあった自衛隊を、集団的自衛権を認める戦争法を背負った存在として明記し、海外で無制限に武力行使できる軍隊へと完全に変質させる壊憲に他ならない。

 安倍首相は9月28日に召集された臨時国会冒頭、所信表明も行わず解散理由も説明せず、憲法第53条にも違反して疑惑追及をかわすためだけに衆議院を解散した。10月10日には第48回衆議院議員総選挙が公示されたが、自民党は政権公約に初めて改憲を盛り込み、「原案を国会で提案・発議し、国民投票を行い、初めての憲法改正をめざす」と強調し、改憲項目として「自衛隊の明記」「教育の無償化・充実強化」「緊急事態対応」「参院の合区解消」の4つを示している。公明、維新、希望など改憲諸党にも配慮し、連携して3分の2議席を確保した上で一気に改憲スケジュールを進めようとする姿勢が明白である。また9条改憲とセットで盛り込まれている「緊急事態条項」は戦時を第一に想定した「戒厳令」であり、ナチス台頭を許した「全権委任法」そのものである。

 安倍壊憲は戦後日本を支えてきた平和主義の理念を根底から覆す蛮行であり断じて許すわけにはいかない。

 私たち映演労連は平和と民主主義、個人の尊厳を取り戻すため、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」の提起する3000万署名に全力を挙げて取り組み、9条改憲をはじめとする、戦争する国づくりを断固阻止することを決議する。
以上
2017年10月19日
映画演劇労働組合連合会
第66回定期大会

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