「共謀罪」法案の国会提出に断固反対する!

 安倍政権は本年1月20日に開会した第193回通常国会において、「共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)」を新設するための法案を上程しようとしている。

 被害がないのに犯罪について話し合い、合意した事を処罰する「共謀罪」法案は、過去3度国会に提出されたが「目くばせでも共謀が成立する」との国会答弁などからもその危険性が明らかとなり、すべて国民の大きな反対によって廃案となった法案である。
私たち映演労連は重大な人権侵害を引き起こす危険性を孕んだ「共謀罪」法案の国会提出に断固反対する。

 まず「共謀罪」法案は、日本国憲法が保障する思想・信条・内心の自由を侵犯する法案である。近代刑法では、被害が生じた場合にその犯罪行為を処罰することが原則であり、通常の捜査は事件が起きて誰が犯人かを捜査するが、「共謀罪」は事件の前の合意を処罰するため、その内心(思想・信条)に踏み込んで捜査することになる。加えて、今回予定の法案は、話合い・合意だけでなく、準備行為を加え処罰条件を限定していると言われている。しかし、準備行為には限定がなく、準備行為に関与していない者も共謀していれば処罰できることから、結局は内心を侵す本質は変わらない。その上「共謀罪」の成立は捜査機関の恣意的判断に委ねられている。

 次に「共謀罪」法案はテロ対策とは無関係に広く市民・団体の監視を推し進める法案である。政府は、国連「国際組織犯罪防止条約」批准のための国内立法措置として、テロ対策のために「共謀罪」の新設が不可欠であるとし、安倍首相は「条約が締結できなければ東京オリンピック・パラリンピックを開けないといっても過言ではない」などと強弁しているが、条約は経済的利益を目的とする組織犯罪集団を対象とするものでテロ対策の条約ではなく、日本は国連のテロ防止関連条約のすべて締結し、国内法も整備されており、「共謀罪」をテロ対策とするのはこじつけ以外の何物でもない。また、600を超すといわれる対象犯罪がいかに絞り込まれようとも、対象となる「組織的犯罪集団」に市民団体や労働組合が恣意的に加えられる可能性は否定できない。

 さらに「共謀罪」法案は、警察の日常的監視、密告社会を招来する法案である。「共謀罪」が新設されれば、日常的に会話を盗聴する捜査が行われるおそれがある。戦前・戦中の治安維持法下の隣組のような市民同士の相互監視・密告社会を生み出す危険がある。おとりの捜査員を団体に潜入させ、共謀罪を成立させて、団体を潰すことに利用されかねない。

 私たち映演労連は日本国憲法の保障する基本的人権の侵害につながる「共謀罪」法案の国会提出に断固反対する。

以上
2017年1月31日
映画演劇労働組合連合会

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