憲法違反の「駆けつけ警護」任務付与を糾弾する声明
11月15日、安倍内閣は、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣する陸上自衛隊に対し、憲法違反の「戦争法」を発動させ、「駆け付け警護」任務を付与することを閣議決定した。今月20日から順次現地に派遣される陸上自衛隊交換部隊要員約350名は、殺し殺される「戦闘」の只中に送り込まれることになる。
私たち映演労連は平和憲法を破壊し、自衛隊員の命を危険に曝すこの暴挙を満身の怒りをもって糾弾する。
政府は「駆けつけ警護」について「@自衛隊から離れた場所で襲撃を受けている国連職員やNGO関係者などの要請を受けた場合、武器をもって救出に向かう。A他国軍の警護は想定されない。」と説明しているが、南スーダンでは2013年の内戦勃発以降5万人以上が死亡、避難民は230万人を超え、7月には首都ジュバで大規模な戦闘が発生して300人以上が死亡するなど治安が悪化、その後も各地で武力衝突が続き、政府軍が国連施設を攻撃し、国連や援助関係者をレイプ、暴行する事態も発生している。
このような状況下で新任務を遂行すれば、「集団的自衛権の行使」に他ならない他国軍警護の可能性も否定し得ないし、政府軍との交戦にともなう「海外での武力行使」も十分に想定される。いずれも重大な憲法違反であり、決して許されるものではない。
一方、安倍首相は国会で7月の大規模戦闘について「戦闘行為の定義には当たらない」「衝突」であると答弁し、稲田防衛相や柴山首相補佐官は首都ジュバの治安状況は「落ち着いている」と口裏を合わせた報告を行っているが、国連のアダマ・ディエン事務総長特別顧問は直近の状況を「対立は激化しており、民族紛争が起きかねない状況だ」と述べ、「このままでは民族対立の激化に伴って大量虐殺につながるおそれがある。」と警告している。
交戦権を持たない日本の自衛隊員は、首相が「衝突」と呼ぶ戦闘に巻き込まれ、拘束されるようなことになっても、戦闘員ではないためジュネーブ条約上の「捕虜」として扱われず、虐待や拷問、殺害といった非人道行為から保護されない深刻な危険に曝される。
安倍政権は立憲主義を蔑ろにして集団的自衛権行使容認を閣議決定し、議会制民主主義を踏み躙って憲法違反の「戦争法」を強行成立させるなど、平和国家である日本を「戦争する国」へと作り替えようとする暴走を繰り返してきた。
常軌を逸した政権の、現状を完全に見誤った判断に基づく閣議決定によって、自衛隊員が生命の危険に曝される戦地に送り込まれるようなことは断じて許されない。
私たち映演労連は直ちに閣議決定を撤回し、駐留中の陸上自衛隊部隊の早期撤退を決断するよう強く求めるものである。
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