特定秘密保護法の施行に抗議し、同法の廃止を求める声明
昨日12月10日、特定秘密保護法が全面施行された。
昨年12月6日、多くの反対世論や国会審議を踏みにじって強行採決された同法に対しては、即座に抗議の声があがり、見直しや廃止を求める幅広い層による運動が全国に広がった。「戦争をする国づくり」にむけ暴走を続ける安倍政権は同法に対する批判をかわそうと「運用基準」を閣議決定し、秘密の範囲をある程度限定するなど法律の「適正な運用」を強調してきたが、同法が根本的に孕んでいる違憲性、反人権性などの重大な問題はなんら解決されていない。
政権や官僚による恣意的な秘密指定、反復指定と首相同意による廃棄で半永久的な情報隠蔽の可能性があること、漏洩に対して最高懲役10年、共謀、教唆、扇動に対して同5年という過度な厳罰規定があること、秘密管理を行う公務員や民間事業者に対する「適正評価」と称して、政府によって行われる人権侵害ともいえる情報収集があることなど、いずれも、国民の知る権利を著しく阻害し、且つ言論表現の自由を大きく毀損する内容ばかりであり、日本国憲法が保障する基本的人権を蹂躙する法律であることは明白である。秘密指定の監視機関として内閣府に「独立文書管理監」が、内閣官房に「内閣保全監視委員会」が設置されるが、いずれも身内の機関である上に閣僚や省庁に秘密提供の拒否権限が認められており、国会内に設置される「情報監視審査会」は秘密提供に関する改善勧告権限はあっても強制力はない。いずれの監視機能もおよそ期待などできない。
特定秘密保護法は、戦前の「軍機保護法」や「治安維持法」と類似性が指摘されている。国家による言論統制は戦争準備以外の何物でもない。わたしたちは、「治安維持法」の直後に制定された「映画法」によって、「作品の検閲」、「映画人の登録制と技能審査」「国策による企業の整理統合」が強制される中で、多くの映画人の先達が戦時体制への翼賛を強要された辛苦と悔悟の経験を決して忘れることはできない。 私たち映演労連は、平和な社会にあって初めて成り立つ映画演劇産業に働く者として、改めて特定秘密保護法の施行に抗議するとともに、廃止を強く求めるものである。
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