集団的自衛権の行使容認は断じて許さない

──映演労連6・12声明──

 安倍晋三首相は集団的自衛権の行使容認を閣議決定しようと躍起になっている。
 発足当初から憲法改悪を声高に主張し、手を変え、品を変え憲法破壊への暴走を加速させ続けてきた安倍政権だが、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)が5月15日にとりまとめた「報告書」を受け、歴代政府によって確立した憲法解釈を変更して、集団的自衛権の行使容認を閣議決定しようとしているのである。
 集団的自衛権の行使とは、日本が攻撃されてもいないのに自衛隊員が武力攻撃に参加させられ、自らの生命を危険に曝しながら、外国人の生命を奪うことに他ならない。戦争はすべて「集団的自衛権」の名のもとに行われている。
 一つの内閣が、正当な手続き、国民的な議論を経ることなく、首相の私的諮問機関からの報告のみをお墨付きとして、閣議決定によって憲法解釈を変更することは、民主主義の破壊に他ならない。そもそも憲法99条で憲法尊重擁護義務を課されている国務大臣によるこのような策動は、立憲主義の否定である。国民の主権を踏みにじるこのような手法で、国の基本法である憲法が骨抜きにされれば、この国はもはや法治国家の体をなさなくなってしまう。
 「国民のいのちを守り抜くため」と首相は連呼し、15の活動事例を挙げて国民を言いくるめようとしているが、そのすべてが現実性が極めて乏しいか、個別的自衛権や警察権行使で対応可能な事例ばかりである。一方メディアは「限定行使容認」ありきの論調で、個別事例についての報道に終始している。
 しかし国会審議の中では、「武力行使してはならない」「戦闘地域へ行ってはならない」という憲法9条の歯止めを取り払おうとする政府の意図も明らかになりつつある。もし集団的自衛権行使が容認されれば、自衛隊が米国や多国籍企業の傭兵となり、米軍の盾となって武力を行使し、殺し合しあうことが可能になる。このことは独り自衛隊のみならず、日本国民の平和的生存権が蹂躙、剥奪されることに直結する。
 その上安倍政権は、「積極的平和主義」なる詭弁を弄して日本国憲法の基本理念である恒久的平和主義を毀損しようとしている。
 私たち映演労連はこの国の主権者たる国民を愚弄する暴挙を、平和と民主主義を圧殺する蛮行を断じて許さない。
 私たち映演労連は、解釈の変更によって憲法を破壊し、日本を戦争する国にしてしまう集団的自衛権行使容認に断固反対し、これを阻止するためのたたかいを広範な共同により構築し、全力を尽くしてたたかうことを誓うものである。

2014年6月12日
映画演劇労働組合連合会(映演労連)

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