重点支援2分の1縮減に抗議する声明

 私たち映画演劇労働組合連合会(映演労連)は、昨年10月16日の第58回定期大会で、「映画演劇文化への公的支援拡充を求める特別決議」を採択し、その決議文を文化庁をはじめ関係諸団体に送付した。しかし民主党政権は映演文化への公的支援の拡充どころか、それと反対の政策を推し進めようとしている。

 昨年の「事業仕分け」では、科学予算や文化予算がやり玉にあげられ、文化予算は「予算の縮減」と判定された。文部科学省は「事業仕分け」に対する国民の意見を募集したが、文化分野については約11万件の意見が寄せられ、文部科学省によれば「そのほぼすべてが事業仕分けの結果に反対するもの」であり、「文化支援は国の責務であり、費用対効果で考えるものではない」といった意見が多数だった。

 しかし文部科学省は、こうした国民の声には耳を貸さず、昨年12月25日には「事業仕分けへの対応」として「優れた芸術活動への重点的支援については3年間で2分の1まで縮減する」とする方針を打ち出した。

 そして平成22年度予算では、文化庁予算の「優れた芸術活動への重点的支援」は、前年より4億1900万円減って45億9800万円となった。その中の「映画製作支援」は7億1200万円と変わらなかったが、3年で2分の1縮減となれば、来年度10億円、再来年度もさらに10億円程度が削られることになり、「映画製作支援」も大きく削られるおそれが十分にある。これは由々しき事態である。

 映画演劇産業は今、経済不況に喘いでいる。製作プロダクションや配給会社、劇団の倒産・解散が相次ぎ、大幅なリストラが断行され、映画の製作本数は減り、テレビ番組の制作費も大幅に削減され、映演労働者の不安定雇用と貧困化は進むばかりである。人材育成はなおざりされ、職能の継承は寸断されようとしている。

 いまこそ映画演劇など芸術文化に対する公的支援の拡充が必要な時はない。その時に公的支援を削ることは、映演文化の衰退を招き、産業基盤をもガタガタにさせることになる。このままでは鳩山首相が施政方針演説で述べた「文化立国」は、名ばかりのものになってしまう。

 「文化芸術振興基本法」はその前文で、「現状をみるに、経済的な豊かさの中にありながら、文化芸術がその役割を果たすことができるような基盤の整備及び環境の形成は十分な状態にあるとはいえない。二十一世紀を迎えた今、これまで培われてきた伝統的な文化芸術を継承し、発展させるとともに、独創性のある新たな文化芸術の創造を促進することは、我々に課された緊要な課題となっている」としている。

 私たち映演労連は、映画演劇文化への公的支援の柱である「優れた芸術活動への重点的支援」の2分の1縮減方針に強く抗議するとともに、政府が「文化芸術振興基本法」の原点に立ち返って2分の1縮減方針を撤回するよう強く求めるものである。また、映画演劇関係の諸団体が「優れた芸術活動への重点的支援」の2分の1縮減の撤回を政府に働きかけるよう、切に望むものである。

2010年3月月26日
映画演劇労働組合連合会
中央執行委員長 河内 正行

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