日本ビデオ倫理協会に対する公権力弾圧への抗議声明

 2007年8月23日、警視庁生活安全部保安課は、表現物の審査任意団体である日本ビデオ倫理協会に対して「わいせつ図画頒布幇助」容疑の家宅捜索を開始した。以降警視庁は、半年もの長期にわたる事情聴取によって自主審査機関であるビデ倫を執拗に追い詰め、本年3月1日にはビデ倫審査員を逮捕拘留し、同月21日には東京地検への起訴を行った。

 表現物の自主規制機関に対する今回の公権力による弾圧は、1980年東京地裁で確定した映倫に対する無罪判決(わいせつかどうかの判断にあたっては映倫の審査を尊重するのが妥当)を無視したもので、表現者の自主規制すべてを頭から否定した暴挙である。これはまさに憲法21条で禁じている検閲行為にほかならない。

 また、表現の自由に対する弾圧は創作活動の萎縮を招くだけでなく、表現行為の自主的規制の概念そのものを瓦解させ、ひいては市民の文化権享受を奪うものとしても看過できない。

 こうしたメディアへの攻撃が容易に行われている現状に、私たちは多大な危惧を覚える。私たちは、この度の映像表現に対する公権力の介入は、戦前に全ての映画人を弾圧した「映画法」をも想起させる民主主義の冒涜と捉えており、映画演劇労働者の立場から断固抗議するものである。

 同時に、今回の事件が表現の自由に対する弾圧として徹底的に糾弾されるべき行為であることを、良識ある広範な人々に呼びかけるものである。

2008年3月27日
映画演劇労働組合連合会(映演労連)
中央執行委員長 高橋邦夫

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