声明
─社長の暴力禁止を求めたラピュタ支部に、画期的な労働審判下る!─
東京地裁(民事11部佐村裁判官)において、(株)ラピュタ(社長:川邊龍雄、通称:才谷遼)における暴言暴行の禁止を求めていた労働審判は本年1月22日に審理が終結し、組合側主張を全面的に認めた勝利審判が下されました。本事件は、(株)ラピュタの社長自らが従業員に対して暴言および暴力行為を繰り返したことから、従業員が組合を結成して立ち上がり、裁判に訴え出ていたものです。
下された審判は、申立人だけでなく全従業員に対する暴言・暴行・精神的圧迫について言及された画期的内容となっています。主文では次の5項目が告知されました。
- 相手方(株式会社ラピュタ 代表取締役川邊龍雄)は、申立人に対して、名誉を毀損する発言をしない。
- 相手方は、申立人に対して、暴力をふるわない。
- 相手方は、従業員に対する暴言、暴行、その他精神的圧迫を与える言動により申立人らの就業環境が害されることのないよう雇用管理上必要な配慮を行う。
- 相手方は、本件解決金の支払義務があることを認め、本審判確定後に直ちに支払う。
- 申立人らは、相手方に対し本件申立に係るその余の請求を放棄する。
職場は日本映画の旧作名作を上映する名画座として、地元のみならず広く映画愛好家に親しまれる「ラピュタ阿佐ヶ谷」という映画館。06年4月、その映画館ロビーで社長が女性従業員の襟首を掴んだまま、何度も壁に叩き付けるという暴力事件が起きました。それまでも過度の暴言や拳で女性従業員の頭を殴るといった社長のパワハラが続いていたことから、ついに従業員が立ち上がり、06年6月に映演労連フリーユニオン・ラピュタ支部(組合員6名)を結成しました。しかし、団体交渉で暴力禁止を約束させても社長は守ろうとせず、新宿労基署が臨検監督に訪れても追い返すという暴挙ともいえる行動に出ました。昨年は、社長が支部委員長との同席を拒んで、組合との団体交渉まで拒否していました。
社長は、従業員の組合活動が活発化すればするほど「レッドパージを開始する」であるとか、「組合を抜けるか、会社を辞めるか」「組合員は配転させて減給だ」と、組合を目の敵にした言動を激化させ、精神的にも肉体的にも従業員を痛めつけたのです。
また昨年5月には、ラピュタの親会社であり同社長が経営する「(株)ふゅーじょんぷろだくと」に働いていたAさんが04年10月に亡くなった事件が、過労自殺であるとの認定が下されました。認定に際し、Aさんが亡くなる直前に、社長による深夜までの長時間におよぶ叱責があったことが重視されたのです。
にも関わらず、その後も「ふゅーじょん」ならびに「ラピュタ」で前述のようなパワハラが繰り返されたことは、社長の無反省と社会的道義的責任の欠如を証明することに他なりません。
今回の労働審判では、こうした事実を全面的に認めた上で、社長の暴言・暴力を禁じた画期的審判を下しました。
今後私たちは、社長に対して下された審判内容の誠実な履行を求めるとともに、健全で映画愛好家に親しまれる職場の確立に邁進する決意です。